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米大統領選後の株式市場の動きは、投票翌日の短期ではまちまちで、より長い期間では落ち着いた推移になりやすい傾向があります。代表的な米国株価指数であるS&P500(米主要500社の株価指数)は、1928年以降の米大統領選25回のうち、投票翌日に上昇したのは10回にとどまりました。一方で、1984年以降では「選挙日(投票日)から就任式まで」の期間に約80%のケースで上昇しています。本ガイドは、過去に何が起き、いつ動いたのかを説明します。将来の値動きを予測するものではありません。
選挙は「日程が決まっている嵐の警報」のようなものです。日付は誰もが事前に知っているため、開票結果が判明する頃には、多くの議論はすでに株価に織り込まれています(織り込み=市場参加者の予想が価格に反映されること)。そのため、当日に相場を動かす主因は「事前に分かっていなかった部分」です。だからこそ、同じ「選挙」という出来事でも、ある回は株高を促し、別の回は不安定化させることがあります。
以下の数値はすべて過去データで、各データは公表元を明記しています。公表元によって計測期間(例:投票日、翌日、就任式までなど)や算出方法(例:どの時点の終値を用いるか)が異なるため、数字が一致しない場合があります。
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重要ポイント
- 大統領選の翌営業日のS&P500(米国株の代表的な株価指数で、米国の大企業約500社で構成)は、上昇・下落がほぼ五分五分だった。2008年と2012年は大幅安、2020年と2024年は大幅高となった。
- ホライゾン・インベストメンツによると、1984年以降、選挙日(Election Day)から大統領就任式(inauguration)までの期間にS&P500は約80%で上昇した。例外は2回で、2000年と2008年の市場下落局面(相場が大きく下がる局面)だった。
- 初日の値動きは、その後4年間(次の任期)を占う確かな指標にはなっていない。複数のアナリストは、明確に読み取れるパターンは見当たらないとの見方を示している。
- CNNが引用したCFRAリサーチによると、2026年11月3日の中間選挙(midterms)後、ダウ工業株30種平均(ダウ・ジョーンズ工業株平均:米国の主要30銘柄で構成される株価指数)は、1982年以降の中間選挙後として最大の1日上昇を記録した。
- 選挙結果は多数ある材料の一つにすぎない。インフレ(物価上昇)、金利(借入や投資の基準となる利率)、企業利益(earnings:企業が稼いだ利益)、原油価格、地政学(geopolitics:国際政治・紛争など)が、勝者よりも同程度に重要となることが多い。
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選挙後の株式市場の動き:ひと目で分かるポイント
| 投票後の期間 | 過去データが示すこと | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 大統領選の翌日 | S&P 500は1928年以降の25回の選挙のうち10回で上昇(S&P 500=米国の代表的な株価指数で、米国の大企業約500社の株価の値動きをまとめた指標) | 振れ幅が大きい。2008年は5.3%下落、2024年は約2.5%上昇 |
| 投票日から就任式まで | 1984年以降、約80%の期間でプラス(就任式=当選した大統領が正式に職務を始める式典) | マイナスだったのは2000年と2008年の2回 |
| 大統領選後12カ月 | モーニングスターの例では、約6%下落から42%超上昇まで幅がある(モーニングスター=投資データや投資信託の評価情報を提供する調査会社) | 24回の選挙を通じて、はっきりした共通パターンは見られない |
| 大統領選後4年間 | 初日に下落して始まった15回の選挙のうち12回で、その後は上昇 | 景気後退(リセッション=景気が悪化し、経済活動が縮む局面)や政策サイクル(政策サイクル=政権や金融政策の方針転換が繰り返される流れ)と期間が重なりやすい |
| 中間選挙の翌日 | S&P 500は2022年に2.1%下落、2018年に2.1%上昇、2026年に1.6%上昇(中間選挙=米国で大統領任期の途中に行われる議会選挙) | 直近の観測例が少数にとどまる |
出所:Motley Foolが公表したブルームバーグおよびYChartsのデータ(2024年11月18日)、Advisor Perspectives経由のブルームバーグデータを用いたHorizon Investments、NBC NewsとCNBCが公表したMorningstar Directのデータ、AP通信の市場レポート、Fortune、CNN。詳しい内容と日付は以下の各セクションに記載。
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開票当日と翌日に何が起きるか
選挙結果が確定する前から、市場は動き始めることが多い。米国の株価指数先物(株価指数の値動きに連動する先物取引で、現物市場が閉まっている時間帯でもほぼ24時間売買される)はほぼ終日取引されるため、開票速報(開票が進む途中の暫定結果)を受けて夜間に価格が反応し得る。投票後の最初の通常取引(米国の通常の立会時間の取引)では、投資家が結果を「事前の想定(織り込み)」と比べてどう評価したかが表れやすい。
この最初の取引日を動かしやすい要因は、通常次の3つだ。
- 不確実性の解消。 明確な決着は「不透明感」という不確実性を取り除きやすい。一方、接戦や集計の遅れは不確実性を長引かせる。AP通信(Associated Press)によれば、2020年は開票が続く中でも11月4日(水)にS&P500種株価指数(米国の代表的な株価指数)が2.2%上昇した。
- 想定と実際の結果の差。 市場は事前に「もっともありそうな結果(予想)」を価格に織り込む。結果が想定どおりなら値動きは小さくなりやすく、想定外(サプライズ)であれば値動きが大きくなりやすい。
- 同日に起きるほかの材料。 原油価格、インフレ指標(物価上昇率を示す経済データ)、中央銀行の発表(利上げ・利下げなどの金融政策に関するニュース)、企業決算は同じ日に相次ぐ。初日の値動きは、選挙要因とそれ以外のニュースが混ざった結果になる。
公式日程も把握しておくとよい。2024年の選挙サイクルでは、米国立公文書館(National Archives)が、選挙日を2024年11月5日、選挙人(大統領選の間接選挙の仕組みで各州から選ばれるElectors)の投票日を2024年12月17日、連邦議会が選挙人票を集計する日(Congress counting electoral votes)を2025年1月6日、就任式(Inauguration Day)を2025年1月20日としている。別ガイドでは、次の米国選挙がいつ行われ、手続きがどう進むかを説明している。
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大統領選挙の翌日
モトリー・フールが2024年11月18日に掲載したブルームバーグおよびYCharts(株価などの投資データを提供するサービス)のデータは、1928年以降のすべての大統領選挙について、選挙翌日の最初の取引日(初営業日)におけるS&P 500(米国の代表的な株価指数)と、その前身指数の動きを追跡した。指数が上昇したのは25回中10回だった。表は1980年から2020年の選挙を示し、同じ表で報告された指数の4年後リターン(選挙から4年間の株価の変化率)も併記している。
| 選挙年 | 翌日のS&P 500 | 4年後のS&P 500 |
|---|---|---|
| 1980 | +1.8% | +32.1% |
| 1984 | -0.7% | +61.5% |
| 1988 | -0.7% | +52.6% |
| 1992 | -0.7% | +70.1% |
| 1996 | +1.5% | +100.5% |
| 2000 | -1.6% | -21.0% |
| 2004 | +1.1% | -11.0% |
| 2008 | -5.3% | +42% |
| 2012 | -2.4% | +49.8% |
| 2016 | +1.1% | +57.5% |
| 2020 | +2.2% | +71.6% |
出所:ブルームバーグおよびYCharts。モトリー・フール(2024年11月18日掲載)により公表。4年の期間は選挙から起算。株価のみ(配当を含まない)か、総リターン(配当などを含む)かといった測定方法は明記されていない。
目立つ点は2つある。第1に、初日の上げ下げ(プラスかマイナスか)は、その後4年間の結果ときれいに一致していない。2008年は初日が5.3%下落した一方で、その後4年は42%上昇した。逆に2004年は初日が1.1%上昇したが、その後4年は11.0%下落した。第2に、これらの期間には非常に異なる景気局面が含まれる。たとえば2000〜2002年の弱気相場(ベアマーケット:株価が長期間にわたり下落基調となる局面)や、2008年の金融危機などであり、選挙が原因で起きたものではない。
同じ情報源は、初日に指数が下落した15回の選挙のうち、翌4年間で上昇したのは12回(80%)だったとも報告した。また直近24回の「大統領任期4年」(各4年の期間)のうち、株式が上昇したのは19回だったとも述べた。筆者の結論は、選挙翌日の値動きは次の4年間を予測する強い材料ではない、というものだった。
2016年選挙と2020年選挙
2016年の選挙は、一晩で相場が反転した好例だ。CNBCは2016年11月11日、火曜の引け値からダウ平均(米国の主要株価指数)とS&P 500が約3%上昇し、選挙当日の夜間取引(通常取引時間外の売買)での急落から回復したと報じた。同記事は、1952年以降の「選挙から就任式まで」のS&P 500リターンの中央値(データを小さい順に並べたときの真ん中の値)が3.7%だったとも指摘し、見出しでは「選挙後の上昇はおそらく意味がない」と主張していた。
2020年は開票が数日続いた。AP通信は2020年11月4日(水)、S&P 500が74.42ポイント(2.2%)上昇して3,443.44となり、ナスダック総合指数(ハイテク株の比率が高い株価指数)が3.9%上昇して11,590.78、ダウ工業株30種平均が1.3%上昇して27,847.66になったと報じた。小型株(企業規模が小さい会社の株式)中心のラッセル2000は、ほぼ横ばいで0.1%未満の上昇にとどまった。
2024年選挙
AP通信は2024年11月6日(水)—投票日の翌日—、ダウ平均が1,508.05ポイント(3.6%)上昇して43,729.93になったと報じた。S&P 500は2.5%上昇して5,929.04、ナスダック総合指数は3%上昇して18,983.47、ラッセル2000は5.8%上昇して2,392.92となった。モトリー・フールの表ではS&P 500の上昇率は2.6%とされており、四捨五入や利用するデータ配信(データフィード)の違いにより、情報源によって0.1ポイント程度の差が生じうることを示している。
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選挙日から就任式まで
多くの調査は、投票日から就任宣誓(就任式での宣誓)までのおよそ11週間を対象にしている。実績のイメージをつかめる資料として、起点(いつから数えるか)が異なる2つの情報源がある。
- Horizon Investments(ブルームバーグのデータを使用)。 1984年以降、選挙から就任宣誓までの期間に株価が上昇(プラス)した割合は約80%で、2021年1月20日時点のデータ。下落で終わったのは2回だけで、2000年はIT(テクノロジー)バブルの崩壊過程(過熱した株価が調整して下がる局面)、2008年は世界金融危機(金融システムが不安定化し景気が大きく悪化した局面)だった。この2回を除くと、残りの期間はすべて上昇で終わり、平均リターン(平均の成績)は5.9%だった。
- CNBC(2016年11月11日)。 1952年以降、選挙から就任式までのS&P 500のリターンの中央値(データを小さい順に並べたときの真ん中の値)は3.7%だった。
この2つの数値は、起点、観測回数(データ数)、平均の取り方が同じではないため、単純比較はできない。ただ、大きな見取り図では一致している。1950年代以降の多くの期間は上昇で終わり、例外は経済が強い圧力(深刻なストレス)にさらされていた局面に起きた。これは過去の話であり、上昇で終わったという事実だけでは、次の期間がどうなるかは断定できない。
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投票日から12カ月後と4年後
期間を長く取るほど、選挙結果(投票箱の結果)よりも景気の動きを反映しやすくなる傾向がある。米モーニングスターのデータベース「Morningstar Direct」(投資信託や株価指数などのデータを集約したサービス)のデータについて、NBCニュースとCNBCが公表し、米大統領選挙24回を対象に、投票日(Election Day)から6カ月後と12カ月後のリターン(一定期間の収益率)を分析した。詳細を全面的に示した例は少数にとどまる。1980年選挙から12カ月後のS&P500種株価指数(米国の代表的な株価指数)は0.6%上昇、1984年選挙後は約19%上昇、1976年選挙後は約6%下落、2020年選挙後は42%超上昇した。記事の結論は、明確に確認できるパターンは見当たらない、というものだった。
上記のThe Motley Fool(米投資情報サイト)のデータも、初日の上昇(選挙翌日のS&P500がプラス)に続いた9政権のうち7政権(78%)でS&P500が上昇したと付け加えている。初日がマイナスだった場合の80%と並べると差は小さい。どちらの方向でも同程度に「当たる」初日の合図(シグナル=相場の方向を示す手がかり)は、強い手がかりとは言いにくい。
結果が大きくばらつく背景には、以下の要因がある。
- 各局面の当初の株価水準(バリュエーション=利益などに対して株価が割高か割安かを示す尺度)と金利は、選挙サイクルごとに大きく異なる。
- 景気後退(リセッション)やショック(急激な市場変動を招く出来事)が、選挙後の一部期間と重なった。2000〜2002年や2008年が含まれる。
- 政策のタイミングが重要だ。法案(レジスレーション=法律として成立させるための立法)は可決までに数カ月かかり、企業利益(アーニングス)に影響が出るまでに年単位の時間を要することがある。最終的な影響は、市場が当初想定したものと異なる場合も多い。
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中間選挙後(投票翌日)の株式市場の動き
中間選挙は、大統領任期の途中(中間)に実施され、連邦議会(Congress=上院・下院で構成される米国の立法府)の勢力図を決めます。別途、米国の中間選挙とは何か、仕組みはどうなっているのかの解説があります。また、投票年の1年を通じた動きや、その後の数か月も含めて整理した中間選挙と株式市場の過去の推移も参照できます。
投票翌日の値動きは、直近では方向感が分かれています。
| 中間選挙 | 翌日 | ダウ工業株30種平均(Dow Jones Industrial Average=米主要30銘柄で構成される代表的株価指数) | S&P 500(米国の大型株約500銘柄で構成される代表的株価指数) | ナスダック総合指数(Nasdaq Composite=主にハイテク株を含む多数銘柄で構成される株価指数) |
|---|---|---|---|---|
| 2018 | 11月7日(水) | +2.1% | +2.1% | +2.6% |
| 2022 | 11月9日(水) | -2.0% | -2.1% | -2.5% |
| 2026 | 11月4日(水) | 約+3% | +1.58% | +1.44% |
出所:Fortune(2018年11月7日)、AP通信(Associated Press、2022年11月9日)、CNN(2026年11月4日)。
2022年の取引は、「翌日」の動きが判断材料としてぶれやすい(ノイズが多い)ことを示しています。AP通信によると、S&P 500は79.54ポイント(2.1%)下落し、3,748.57で引けました。また当日の配信見出しの1つでは、翌朝に公表予定だったインフレ指標(インフレーション報告=物価上昇率などを示し、金融政策や市場心理に影響しやすい統計)にも注目が集まっていたと報じています。つまり、市場は中間選挙だけでなく、複数の材料に反応していたことになります。
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2026年中間選挙後の米国株の動き
直近のデータポイントは、2026年11月4日(水)で、11月3日に実施された中間選挙の翌日にあたる。CNNによれば、民主党が連邦議会の主導権を握った。大統領は別の政党に属しているため、「分割政府(大統領と連邦議会の多数派が異なる状態で、政策が通りにくくなることがある)」となる。最終的な議席数はAP通信(Associated Press)および各州の選挙当局が公表するが、開票作業の進行に伴い変更される可能性がある。
市場面では、CNNは当日の取引について次のように報じた。
- ダウ工業株30種平均(Dow)は1,569ポイント上昇(約3%高)。CFRAリサーチ(市場調査会社)の集計によると、1982年以来、中間選挙後としては最大の1日上昇となった。また、指数としては2025年4月以来の大幅高でもあった。
- S&P500種株価指数(S&P 500)は1.58%上昇し、ナスダック総合指数(Nasdaq Composite)は1.44%上昇した。米投資サイトのモトリー・フール(The Motley Fool)は終値を、ダウが53,356、S&P500が7,689、ナスダック総合が25,737と記載した。
- 北海ブレント原油(Brent crude)は約8.7%下落し、1バレル当たり94.62米ドルで取引を終えた。8月31日以来の安値での「決済(settlement:先物の取引終了時点の公式な終値)」となった。
- 米国債利回り(Treasury yields:米国債の利回り。価格が上がると利回りは下がる)が低下し、債券価格は上昇した。モトリー・フールによれば、10年国債利回りは約6ベーシスポイント低下して4.89%となった。ベーシスポイント(bp)は金利の単位で、1bpは0.01%を指す。米ドルは主要通貨バスケット(複数の主要通貨に対する総合的な動き)に対して下落した。
報道で示された背景はまちまちだった。CNNは、投資家が明確な結果を好感したこと、また、イランが関与する対立が緩和する可能性を市場参加者が見極めており、それが原油安を促したと報じた。ドイツ銀行(Deutsche Bank)のアナリストは、分割政府により歳出(政府支出)が抑えられ、財政への懸念(財政赤字や国債増発への不安)が和らいだ可能性があると述べた。さらにCNNは、一部アナリストが「AI(人工知能)やデータセンター関連株が、『将来、州政府がデータセンターに何らかの規制を導入するのではないか』という懸念で重荷になった」と指摘したとも報じた。モトリー・フールは、なお残るリスクとして、根強いインフレ(物価上昇)、AIインフラ(AIの計算に必要なサーバーや電力設備など)への投資負担、FRB(米連邦準備制度理事会)の政策を巡る不透明感を挙げた。
ただし、これは1日だけの動きにすぎず、長い流れの序章にすぎない。以降の数週間は、議会情勢と同じくらい、インフレ指標、中央銀行の判断、企業決算(企業の業績発表)に左右される。
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初日の値動きをどう読むか
「~以来の上げ幅」といった見出しは、順位付け(過去との比較)であり、先行きを予測するものではない。初日の値動きを過大評価しないために、次の点を確認したい。
- 何を基準にした値動きか? 2026年11月4日、ダウ工業株30種平均(ダウ)は約3%上昇し、ダウとしては大きな上げだった一方、S&P500種株価指数(S&P500)とナスダック総合指数はその半分程度の上昇にとどまった。指数は構成銘柄の反映の仕方(どの銘柄をどれだけ影響させるか)や比率(ウェイト)が異なるため、同じ日でも見出しの数字は変わり得る。
- 上昇(下落)は広範囲か、一部に偏っているか? CNNによる2026年の当日報道では、指数全体は上昇した一方で、AI(人工知能)関連やデータセンター関連株には下押し圧力があったとされる。指数の上昇は、業種(セクター)ごとの差を覆い隠す場合がある。
- ほかに何が動いたか? 同日に原油は約8.7%下落し、米国債利回り(米国債の利息に相当する指標で、価格と逆に動く)が低下した。複数の市場が同時に動くと、原因を一つに決めつけにくい。
- 過去の取引日と比べてどうか? 2018年の取引日はS&P500が2.1%上昇、2022年の取引日は2.1%下落と、値幅は同じで方向が逆だった。つまり、事前に上げ下げの方向(プラスかマイナスか)を決めつけるのは危険だ。
- その後はどうなったか? 初日の値動きは、データとしては1点にすぎない。Horizon InvestmentsやMorningstarの数値が示すように、その後の数週間も確認すれば、初日だけを見るより全体像がつかめる。
政党が議会や政権を握ると図式は変わるのか
ワシントン(大統領職と議会)をどの政党が支配していたかで過去データを分類した研究はありますが、分析担当者は結果を慎重に扱っています。市場データを提供するYChartsのデータでは、S&P500(米国の代表的な株価指数)の年率換算リターン(一定期間の収益率を1年あたりに直した値)が最も高かったのは「分割議会(divided Congress)」(上下両院のうち一方を一つの政党、もう一方を別の政党が握る状態)の時期でした。これは、与党・野党の別にかかわらず、両党の大統領の下で当てはまりました。
ただし、注意点が3つあります。
- 標本数が少ない。 大統領と議会の組み合わせは、どれも発生回数が限られており、特異な一時期が平均値を大きく左右し得ます。
- 見えにくい要因。 各パターンは特定の景気局面(経済の状態)と重なっていることがあり、その影響が結果の一部を説明している可能性があります。
- 一貫した勝ちパターンはない。 同じ情報源によれば、どの政党が政権を担っていたかにかかわらず、指数は概ねプラスのリターンを記録しており、政党の支配状況だけでは信頼できる手掛かりになりませんでした。
本ガイドは、政党や候補者について評価を示しません。ここでの要点はより限定的です。政党の支配状況で分類した過去のリターンは「何が起きたか」を示すにとどまり、特定の選挙結果が「何を引き起こすか」を示すものではありません。
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選挙結果が株式市場に影響する理由
選挙結果が株価に与える影響は、主に「期待(市場参加者が事前に織り込む予想)」を通じて生じる。投資家は選挙を切り離して評価しない。税制、貿易、規制、政府支出、エネルギー政策が企業の利益(稼ぐ力)や金利(資金を借りるコスト)をどう変えうるか、さらに各シナリオが起きる確率がどの程度かを見積もる。結果がその見積もり(織り込み)とどれだけ違うかに応じて、株価は動く。
報道では、次の経路が繰り返し取り上げられる。
- 財政政策。政府支出と国の借入(国債発行)に関する期待は、米国債(財務省証券)利回りに影響し、その利回りが株式の評価(将来利益の現在価値の計算)に波及する。2026年11月4日にドイツ銀行が「ねじれ(分断)議会が財政面の懸念を和らげる」と述べたコメントが、その例だ。
- セクター(業種)別の影響度。産業によって規制や貿易政策への敏感さは異なるため、同じ日でもセクターごとに値動きが分かれやすい。2026年の投票後、CNNは、株価指数(市場全体の平均的な動きを示す指標)が上昇する一方で、AI(人工知能)やデータセンター関連株に下押し圧力がかかったと報じた。
- ボラティリティ(価格変動の大きさ)。不確実性が高い局面では、想定される変動の大きさを示す指標が上昇し、結果が判明すると落ち着く傾向がある。背景はボラティリティ指数(市場が見込む将来の変動の大きさを表す指数)の解説を参照。
- 政治以外の材料。原油、インフレ(物価上昇率)、金利、企業決算(業績発表)は引き続き動く。2000年と2008年の選挙後の下落は、投票そのものではなく、ITバブル(テクノロジー株の過熱)や金融危機が原因とされることが多い。
選挙後の値動きは一時的に終わることもある。2016年の選挙では、夜間に大きく下落した後、数日で反転した例がある。したがって、最初の取引(初日の相場)を「結論」とみなすより、市場の期待(織り込み)を示す情報として受け止めるべき理由となる。
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選挙に基づく分析の限界
選挙を材料にした分析は、説明しやすいため広く使われますが、その点が弱みでもあります。
- サンプルが少ない。1928年以降の米大統領選は25回しかなく、直近の時代に限るとさらに少ないため、新しいデータ(観測値)が加わるたびに平均値が大きく動きます。
- 手法が違う。対象期間の開始年が1928年、1952年、1984年など資料によって異なります。指数の値動きだけ(配当を含まない「価格指数」)で示すものと、配当を含めた「トータルリターン(総収益)」で示すものがあります。指数そのものも時代とともに構成や算出方法が変わってきました。米投資情報サイトのMotley Foolは、S&P 500と、その前身(過去に使われていた類似指数)を用いていると記しています。
- 丸め処理とデータ提供元の違い。2024年の初日の上昇率が、ある資料では2.5%、別の資料では2.6%と示されています。またMotley Fool自身の2026年の記事では、S&P 500の上昇率が1.58%と1.59%の両方で記載されています。これは小数点以下の端数処理(丸め)や、株価データの配信元(データ提供会社)による差が原因になり得ます。
- 他の出来事が重なる。選挙は単独で起きることはまれです。景気後退(リセッション)、戦争、政策金利の上げ下げの局面(利上げ・利下げのサイクル)、技術革新による株高(テクノロジーブーム)などが、選挙と同時期に起きてきました。
- 後知恵。過去のデータをさかのぼって見つけた規則性は、広く知られるようになると薄れる場合があります。
このガイドの数値は、起きた事実を示す「地図」として、そこに伴う不確実性も含めて受け止め、今後を決め打ちする「規則」としては扱わないでください。
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選挙を巡る株式以外の市場
選挙が動かすのは株価指数だけではありません。2026年11月の同一取引日を例に、複数の市場が同時に反応し得ることが分かります。
株価指数。2026年11月4日、米国の株価指数は上昇し、とりわけダウ(ダウ工業株30種平均。米国の代表的な株価指数)が上げを主導しました。株価指数は、開票結果や経済指標(景気や物価などを示す統計データ)の公表直後に数分で大きく動くことがあり、前日終値(その日の取引終了時点の価格)と翌日の始値(取引開始時点の価格)の差であるギャップ(価格の空白)が大きくなる場合もあります。
為替(FX)。CNNによると、2026年11月4日、米ドルは主要通貨のバスケット(複数通貨をまとめて指数化したもの)に対して下落しました。米ドルが絡む通貨ペア(2つの通貨の交換比率。例:ドル円)では、選挙結果、利回り(国債などの収益率)の変化、経済指標の発表を前後して、値動きが速くなることがあります。
金(ゴールド)。The Motley Foolは、同じ取引日(同一セッション=同一の市場取引時間帯)に金が上昇したと報じました。金価格は、金利見通し(将来の政策金利や市場金利の予想)、米ドル、リスクセンチメント(投資家のリスク選好=リスクを取りやすい/避けやすい心理)が同時に変化すると、大きく振れやすくなります。
これらの値動きはいずれも複数の要因が重なった結果であり、選挙はその一要因にすぎません。
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この歴史がトレーダーに示す意味
上記のデータだけでは、次の投票後に何が起きるかは分からず、ここに書かれている内容はいかなる推奨でもありません。過去データが提供するのは、予定されたイベント(あらかじめ日程が決まっている出来事)の前後でリスクを管理するための背景情報です。
選挙期間を分析するトレーダーは、しばしば次のようなチェックリストを使います。
- 日程を把握する。 選挙日、開票、結果の正式確定、就任は公表された日程です。同じ日に経済指標(統計データの発表)や中央銀行会合(政策金利などを決める会合)が重なることもあります。
- 値動きの拡大とギャップを想定する。 結果が一部の市場が休場の時間帯に判明することがあり、その場合、価格が前回の終値から離れた水準で始まることがあります(ギャップ=連続しない価格の飛び)。
- 最悪のケースを前提にポジション量を決める。 レバレッジ(少ない資金で大きな取引をする仕組み)は利益だけでなく損失も拡大します。また、ストップロス注文(一定の損失で自動的に決済する注文)は、ギャップが発生した場合に想定どおりの価格で約定する保証はありません。
- ノイズと本質を分ける。 1日だけの値動きは、投票結果ではなく原油やインフレに関するニュースを反映している可能性があります。
- イベント前に計画を書く。 事前に、許容できる損失額と、価格が想定と逆方向に動いた場合にどう対応するかを決めておきます。
- 過去データは背景情報としてのみ使う。 平均値は幅広い結果を見えにくくします。上の初日データの表が示すとおりです。
デモ口座は、仮想資金で手法を試せます。デモの結果が実取引(実際のお金での取引)の結果を保証するわけではありませんが、急変動の相場で取引プラットフォームがどう動くかを低コストで学べます。
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最終判断
選挙後の株式市場は、当日の動きはまちまちで、より長い期間では比較的前向きになりやすいものの、一貫した傾向はありません。米主要株価指数「S&P 500(米国の代表的な株価指数)」は、1928年以降の大統領選25回のうち、選挙翌日に上昇したのは10回にとどまりました。一方、1984年以降の期間の約80%では、投票日から就任式までの間に上昇していますが、12カ月または4年では明確な規則性は見られません。直近では2026年11月4日の取引で、CNNによれば、ダウ(ダウ工業株30種平均=米国の代表的な株価指数)は約3%上昇し、S&P 500は1.58%上昇しました。同時に、原油価格と国債利回り(債券の利回りで、市場金利の目安)が低下し、米ドルは下落(ドル安)しました。
結論は、選挙が市場に影響する主因は「期待(先回りの見通し)」であり、翌日の値動きは数ある材料の一つにすぎないということです。インフレ(物価の上昇)、金利、企業業績、原油、地政学(国際情勢が経済・市場に与える影響)などは、選挙結果と同程度に重要であることが少なくありません。就任までの期間に株価が下落で終わった2回(2000年、2008年)は、深刻な経済ストレス(景気や金融の強い悪化)と重なっていました。過去のデータは、予定されたイベント前後のリスク管理を考えるうえで背景情報を与えますが、次の結果や市場の動きを予測するものではありません。また、レバレッジ(借入などで投資額を増やす取引)は、利益だけでなく損失も拡大させます。
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VT Marketsは、S&P 500(SP500)やナスダック100(NAS100)を含む主要株価指数のCFD(差金決済取引:指数そのものを保有せず、価格変動の差額で損益を決済する取引)を提供しています。指数のページでは、レバレッジ(少ない資金で大きな取引を行う仕組み)を最大500倍(500:1)まで選べると記載されています(諸条件が適用)。レバレッジは利益だけでなく損失も拡大します。
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よくある質問
米大統領選の翌日、株式市場は通常どのように反応しますか?
「通常の反応」はありません。ブルームバーグとYCharts(米国株などのデータを提供する金融情報サービス)のデータをモトリー・フールが公表した集計によると、1928年以降の大統領選25回のうち10回で、翌日にS&P500(米国の代表的な株価指数で、米国の大型株500銘柄で構成)が上昇しました。直近の例では、2008年は5.3%下落、2012年は2.4%下落だった一方、2020年は2.2%上昇、2024年は2.5%上昇と幅があります。
選挙日から大統領就任までの間、株式市場は通常上昇しますか?
過去の多くの期間では上昇しています。ホライゾン・インベストメンツによると、1984年以降の期間では約80%の確率で株価はプラスで、下落は2000年と2008年の期間だけでした。またCNBCは、1952年以降のS&P500のリターン(投資収益率)の中央値が3.7%だったと報じています。いずれも過去の結果を述べたもので、起点となる年が異なり、次の期間の動きを示すものではありません。
選挙後の初日の動きは、その後4年間を予測しますか?
証拠を見る限り、強い予測材料にはなっていません。モトリー・フールによると、初日が下落で始まった15回の選挙でも、その後4年間でS&P500は12回上昇しました。NBCニュースとCNBCが紹介したモーニングスター(投資調査会社)の24回の選挙分析でも、12カ月リターンに明確な規則性は見られませんでした。
2026年の中間選挙後、米国株はどう動きましたか?
2026年11月4日(水)、CNNは、ダウ平均(米主要30銘柄で構成される米国株価指数)が1,569ポイント、約3%上昇し、CFRAリサーチ(米国の投資調査会社)によれば1982年以降の中間選挙後として最大の上げ幅になったと報じました。S&P500は1.58%上昇し、ナスダック総合指数(米国のハイテク株比率が高い株価指数)は1.44%上昇しました。原油は下落し、ドルは下落(ドル安)しました。これは1日の値動きであり、その後の動きを示すものではありません。
どの政党が勝つかは株式市場にとって重要ですか?
研究結果は一致せず、サンプル(観測回数)も多くありません。YChartsのデータでは、分割議会(大統領と議会の多数派が異なるなど、政党勢力が分かれている状態)の下でS&P500の年率リターン(複数年を年あたりに換算した平均リターン)が最も良かったとされていますが、各パターンはいずれも発生回数が数回に限られます。指数は、どの政党が政権を担っても概ねプラスのリターンを記録しており、政党の支配だけで判断するのは信頼できる指標ではありません。
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出典
- ABCニュース(AP配信)「米主要株価指数の水曜日の動き」2024年11月6日
- KTAR(AP配信)「米主要株価指数の水曜日の動き」2022年11月9日
- ワシントン・タイムズ(AP配信)「米主要株価指数の水曜日の動き」2020年11月4日
- Fortune「ウォール街は中間選挙の結果を受け、幅広い銘柄の株高で反応」2018年11月7日
- KAKE(CNN配信)「民主党が議会を掌握し、ダウ平均は中間選挙後として44年ぶりの大幅高」2026年11月4日
- The Motley Fool「今日の株式市場」2026年11月4日
- The Motley Fool「トランプ氏の勝利で株価は急騰。歴史が示す“次に起きること”」2024年11月18日
- Advisor Perspectives「選挙の“本当の勝者”は誰か(Horizon Investments)」2024年11月
- CNBC「選挙後の株高は、おそらく大きな意味はない理由」2016年11月11日
- NBCニュース「1928年以降の大統領選後におけるS&P(米国の代表的な株価指数)の動きから投資家が学べること(Morningstar Direct)」
- 米国立公文書館「選挙人団(大統領選で各州が選ぶ“選挙人”が投票する仕組み)の主な日程」
リスク警告:差金決済取引(CFD=現物の株式や指数などを実際に保有せず、価格差で損益をやり取りする取引)は高いリスクを伴い、すべての投資家に適しているとは限りません。レバレッジ(少ない資金で大きな取引を行う仕組み)を用いると、利益だけでなく損失も大きく増幅し、当初の投資額を上回る損失が発生する可能性があります。CFD取引を行う前に、関連するリスクを十分に理解したうえで、投資目的、財務状況、経験レベルを慎重に検討し、必要に応じて独立した助言(第三者の専門家による助言)を受けてください。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。CFD取引に伴うリスクの全体像については、当社の法的文書をご確認ください。
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