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月次マーケットレビュー:2026年4月の振り返りと5月の見通し

by VT Markets /
Aug 11, 2026

4月の市場は、3月に見られた地政学リスクによる急変動が一服し、値動きは相対的に落ち着いた。本稿では、為替、金、原油、株価指数、暗号資産(仮想通貨)を月次で整理し、中銀の慎重姿勢、原油価格の振れ、そしてリスク許容度(リスクを取る姿勢)の強さが、5月入り前の相場形成にどう影響したかを確認する。

Market Recap Of April

4月は見た目には安定していたが、市場が意識した圧力は3つに集約される。中東情勢、中央銀行の慎重姿勢、成長鈍化の懸念だ。違いは、投資家が見出し(ニュース)に過剰反応しにくくなり、どのリスクをどの程度相場に織り込むかを選別した点にある。米国株は上昇基調を維持した一方、為替、貴金属、原油は方向感に欠ける往来相場(上げ下げを繰り返す展開)が目立った。

この明暗が4月の特徴だ。投資家は、利益成長が見込みやすい分野、特に米大型ハイテク株(巨大企業)を引き続き選好した。一方、原油、金利、地政学の影響を受けやすい市場では慎重さが残った。米連邦準備制度理事会(FRB)は「データ次第(経済指標を見て判断)」の姿勢を改めて示した。FRBは政策金利を据え置いたが、戦争に伴うエネルギー価格上昇がインフレ(物価上昇)を長引かせ、利下げ(政策金利の引き下げ)を遅らせる可能性を警戒している。

こうした環境下で、4月は明確なトレンド月というより「様子見」の月となった。株と暗号資産ではリスク許容度が保たれたが、それ以外は、よりはっきりした景気・物価のシグナルを待つ展開だった。

Major Currencies Consolidated

地政学不安が続く中でも、ドルははっきりした方向性を作れなかった。安全資産需要(有事に買われやすい通貨への需要)は持続的な上放れを促すほど強まらず、市場の関心は各国の金利見通しの差に向かった。その結果、主要通貨ペアの多くはレンジ相場(一定の値幅で推移)にとどまった。

代表例がドル円(USDJPY)だ。4時間足(H4=4時間ごとの値動きを示すチャート)で見ると、月の大半は大きなレンジ内で推移したが、4月末にかけて上限付近まで戻した。チャート上は買い手優勢(中期の上向き)が続く一方、為替介入(当局が急激な円安などを抑えるため市場で売買すること)の警戒が強まる水準に近づいている。FRBの据え置き後にドル高が進み、円は160円台を超えて下落した。日銀も政策金利を据え置いた。金利差(米国金利が日本より高いこと)による支えはあるが、動きが急なら当局の牽制が入りやすい。

Fig. 1: 4時間足のドル円。広いレンジ上限に接近

上限が重要なテクニカル水準(相場の節目)となる。明確に上抜ければ、金利差が再び相場を主導していることを示す。高値圏で失速すれば、従来のレンジに戻りやすい。

直近の上抜けの試みを維持できるかが焦点だ。維持できなければ、再びレンジ内に押し戻される可能性がある。

Metals take a backseat

4月の金と銀は勢いを欠いた。防衛的な資金(リスク回避の資金)の焦点が、貴金属から、金利、ドル、景気の底堅さへ移ったためだ。

金は月の大半を広いレンジで推移したが、月末にかけて弱含んだ。4時間足ではレンジ上半分から反落し、下値支持線(サポート=下落が止まりやすい価格帯)へ近づく動きが確認できる。月前半は押し目買い(下げたところを買う動き)が入ったが、上放れを継続させるほどの強い買いにはつながらなかった。

4月最終盤には、金はレンジ下限を試す展開となった。

この値動きは、マクロ環境(景気・物価・金利などの大きな背景)とも整合的だ。ドルが落ち着き、実質金利(名目金利からインフレ率を差し引いた金利)が大きくは動かなかったことで、利息の付かない安全資産(非利回り資産=金のように利息を生まない資産)を急いで買う必要性が低下した。さらに、FRBの次の一手が早期利下げになるとの見方も後退した。インフレがエネルギー要因に左右されやすい状況では、金の支えが弱まりやすい。

Fig. 2: 4時間足の金。レンジ推移から下押し圧力が強まり、サポートへ

レンジ下限は重要な分岐点となる。サポートを割り込めば、4月の横ばい局面がより深い調整(下落)に移る可能性がある。ここで買いが入れば、5月初旬もレンジが続きやすい。

金が早期に値を戻せるかに注目したい。戻せなければ、防衛的な取引では、金属よりドルが選ばれやすい。

Oil resources is clearest indicator

4月の原油は値幅が大きく、荒い動きが目立った。ただ月末には流れが明確になった。原油は4月半ばに急落した後、レンジ下限付近で下げ止まり、その後は急反発してレンジ上限を上抜けた。4時間足では上放れが示唆され、以前の高値圏を上回って推移し、109ドル近辺で高止まりしている。

この動きは直近のニュースとも一致する。ホルムズ海峡の船舶通航は大幅に減少したままで、米国はイランとの行き詰まりを打開し、海上輸送の回復を促す追加措置を検討している。4月30日には、膠着が深まる中でワシントンが軍事的な選択肢も検討しているとの報道を受け、原油は再び上昇した。

Fig. 3: 4時間足の原油。4月の広い値動きと月末の上抜け

強気派にとってテクニカル面は改善した。4月の大半は長方形のレンジだったが、現在は底固め(ベース形成=下値が固まり反転しやすい形)を経て、上値抵抗線(レジスタンス=上昇が止まりやすい価格帯)を上抜けた形に見える。旧レンジ上限を維持できれば、5月も地政学プレミアム(供給不安などを織り込む上乗せ)を伴いやすい。

上抜け水準を維持できるかが焦点だ。維持できれば、インフレ懸念が続き、中央銀行への圧力も残りやすい。

Indices exercised resilience

特に米国では、ナスダックが上昇基調を維持し、以前のサポート帯を回復して上げ幅を広げた。4時間足では、4月初旬から力強く上昇し、緑のサポートゾーンを上回った後に高値を更新した。直近の下押しは管理された動きで、反転というより過熱の調整(上昇後の一服)に近い。

この強さは、投資家が依然として成長余地を見ている分野を映す。米大型ハイテク株、AI(人工知能)向けインフラ、クラウド関連の収益が、米国株の主導役だ。原油高が続き、FRBが慎重でも、利益が見通しやすい企業へ資金が流入した。一方、巨大ハイテク企業の決算を前に、米株はまちまちとなり、AIの成長と投資の効率(無駄な支出にならないか)への疑問も再燃した。5月は、上昇が裾野を広げられるか、主導役が再び一部銘柄に偏るかを試す局面になりやすい。

Fig. 4: 4時間足のナスダック。サポート維持後に強い上昇トレンド

以前の上値抵抗がサポートに転換した。そこを上回る限り、大局の上昇トレンドは維持される。

直近の下げで買い支えが入るかを見たい。入れば成長株優位が続きやすい。支えられなければ、高値圏で上げ疲れが意識される。

Crypto recovers steadily

4時間足では、建設的(下値が切り上がる)な形が続く。上昇トレンドライン(上向きの支持線)に沿って安値を切り上げる一方、戻りは直近高値付近のはっきりした抵抗帯で止まりやすい。ビットコインは上昇トライアングル(上値は同水準で抑えられつつ、下値は切り上がる形)に見え、サポート上昇と抵抗の間で圧力が高まっている。

3月の横ばいより良い形だ。押し目では買いが入りやすい一方、上抜けには材料(相場を動かすきっかけ)が必要となる。米国株のリスクオン(リスクを取る展開)が追い風となり、ドルが落ち着いたことで、以前より暗号資産にかかっていたマクロ面の重しも軽くなった。

Fig. 5: 4時間足のビットコイン。8万ドル近辺の抵抗の下で、サポートが切り上がる

チャートは明確な分岐点を示す。赤い抵抗帯を上抜ければ、上昇継続の見方が強まる。上昇トレンドラインを下抜ければ、4月の戻り基調が失速したサインとなる。

ビットコインが抵抗を突破できるかが焦点だ。突破すれば、暗号資産は他のリスク資産より強い勢いで5月を迎える可能性がある。

Early Signals To Watch In May 2026

5月も主要な材料は同じだが、力関係が変わりつつある。

第1は中央銀行の政策だ。FRBは据え置きを続け、市場は早期利下げへの自信を失いつつある。戦争に伴うインフレリスクを受け、初回利下げの時期は2026年後半へ後ずれするとの見方が強まり、「高金利が長く続く(higher-for-longer)」という見通しを補強している。

第2はエネルギーだ。4月下旬の原油上抜けは、インフレ期待(将来の物価上昇見通し)と成長懸念に直結する。ホルムズ海峡の混乱が長引くほど、景気や物価への波及を無視しにくくなる。アジア開発銀行(ADB)は今週、中東戦争とエネルギーコスト上昇を理由に域内の成長予測を引き下げ、インフレ見通しを引き上げた。テーマが見通し全体に素早く波及していることを示す。

第3は企業決算だ。米国株が底堅いのは、投資家が米大型ハイテクの収益力を信認しているためだ。5月はアップル、マイクロソフト、エヌビディアなど、AI関連全体の影響が一段と大きくなる。好決算なら主導力は続く。失望が出れば、上昇が少数銘柄に依存している弱点が表面化しやすい。

Frequently Asked Questions

Why Did April Feel More Rangebound Than March?

4月も地政学リスクは残ったが、投資家の過度な反応が後退した。結果として、ポジション(投資の持ち高)の取り方が選別され、相場は上げ下げを繰り返しやすかった。

Why Is USDJPY Important Going Into May?

ドル円は長期レンジの上限付近にあり、金利差と為替介入リスクの両方を映しやすい。中央銀行の方向性の違い(米国と日本の政策の差)を表す代表的な通貨ペアだ。

Why Does Oil Matter So Much Right Now?

原油は、地政学リスクがインフレ期待、成長懸念、そして政策金利見通しに波及する主要ルートとなっている。

Why Did Gold Underperform While Oil Rose?

金は、金利低下が追い風になる局面(利回り低下で相対的に魅力が増す局面)が弱かった。一方、原油は供給不安という直接の材料があり、貴金属より支えられやすかった。

What Is The Main Equity Theme For May?

主題は、大型ハイテクが決算期を通じて相場を支え続けられるかだ。金利が高止まりし、原油も堅調な中で、株高が続くかが問われる。

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