ハンセン指数(HSI)は、香港証券取引所(HKEX)に上場する企業のうち、規模が大きく売買が活発な銘柄で構成される、香港市場の代表的な株価指数(市場全体の動きを示す指標)である。HSIをCFD(差金決済取引:売買の価格差だけを現金で精算する取引)で取引すれば、現物株を保有せずに指数の値動きを売買でき、レバレッジ(証拠金を担保に取引額を増やす仕組み)を使って買い(ロング)と売り(ショート)の両方向で取引できる。本ガイドでは、HSIの仕組み、指数を動かす企業・セクター、HSIのCFDの取引方法、主なリスク、MetaTrader 4(MT4)/MetaTrader 5(MT5)などの取引プラットフォームを使った分析方法を解説する。
ポイント:
- ハンセン指数(HSI)は、香港の代表的な株価指数。1969年に公表が始まり、ハンセン指数有限公司(Hang Seng Indexes Company Limited)が算出・管理している。
- 2026年6月の見直しでは構成銘柄が93社。指数は時価総額加重(時価総額が大きい銘柄ほど影響が大きい)で、さらに浮動株調整(市場で実際に売買されやすい株数を反映)を行う。1銘柄の比率は8%を上限とする(見直し・調整日に適用)。
- ハンセン指数CFDは、株を保有せずに、証拠金取引で買いも売りも可能。MT4/MT5で取引できる。
- 金融株と中国本土系の大型テック銘柄の比率が高く、少数銘柄への偏り(集中)が重要なリスクになる。
ハンセン指数は、中国政府(北京)の政策、米国の金利決定、世界有数のテック企業の決算に素早く反応しやすい。この値動きの速さが、ハンセン指数CFDに注目が集まる理由だ。
CFD(差金決済取引)は、指数の方向性を売買する取引で、香港上場株を93銘柄まとめて買う必要がない。本ガイドでは、指数の構成、算出方法、取引時間、そして勘に頼らず再現性のある手順でハンセン指数CFDに取り組む方法を扱う。
ハンセン指数とは

ハンセン指数は、香港証券取引所(HKEX)のメインボード上場株の動きを示す代表的な指標だ。報道で「香港株が下落」と出るとき、一般にこの指数が引用される。
ハンセン指数は何を測っているのか
香港上場企業のうち、規模が大きく流動性(売買のしやすさ)が高い銘柄の株価パフォーマンスを測る。ハンセン指数(本指数)は価格指数(配当を指数の計算に入れない方式)で、配当金は反映されない。
2026年6月30日時点で、対象ユニバース(HKEXメインボード上場銘柄のうち指数の対象とする範囲)のうち時価総額の64.08%と売買代金の52.25%を占めた。対象ユニバースには、HKEXメインボード上場銘柄が含まれる一方、外国企業のセカンダリー上場(他市場が主市場の上場)、投資会社、SPAC(特別買収目的会社:上場後に買収で事業を持つ器会社)は除外される。指数は2秒ごとに公表される。
誰が算出・管理しているのか
ハンセン指数は、ハンセン銀行の100%子会社であるハンセン指数有限公司が算出する。2秒ごとに公表されるため、香港市場が開いている間はハンセン指数CFDの価格もほぼ連続的に更新される。
いつ始まったのか
1969年11月24日に公表が始まり、基準日は1964年7月31日、基準値は100ポイント。長期のハンセン指数チャートが利用でき、テクニカル分析(過去の価格や出来高などから分析する手法)に使える。
ハンセン指数=香港株式市場ではない
同じではない。違いを理解することが重要だ。
- 2026年7月31日時点で、香港にはメインボードとGEM(新興市場)合計で2,763社が上場し、内訳はメインボード2,457社、GEM306社。
- ハンセン指数の構成銘柄は2026年6月30日時点で93社。メインボードとGEMの全銘柄ではなく、主に規模と流動性が大きいメインボード銘柄から選ばれる。
- 2026年6月30日時点で、対象ユニバースのうち約35.92%の時価総額は指数に含まれていない。
- 大型・流動性銘柄の比率が高いため、中小型株は指数と異なる動きになったり、逆方向に動いたりすることがある。
ハンセン指数の構成
ハンセン指数には何が入っているか。銀行、保険、 中国本土系のネット企業、通信、エネルギー大手、不動産開発、バイオテック(創薬などの生命科学企業)やEV(電気自動車)関連などが含まれる。
構成銘柄数
長年50銘柄だったため、ブローカーがHK50指数と表記することがある。2021年に拡充が始まり、2026年6月8日実施の見直しで93銘柄になった。
比率が大きい銘柄
2026年6月30日時点の、指数比率(ウエート)が大きい上位10銘柄:
| 順位 | 企業 | セクター | 比率 |
| 1 | HSBC Holdings | 金融 | 9.15% |
| 2 | Tencent | 情報技術(テクノロジー) | 8.13% |
| 3 | Alibaba | 一般消費財・サービス(景気に左右されやすい個人消費) | 6.46% |
| 4 | China Construction Bank | 金融 | 5.19% |
| 5 | AIA | 金融 | 5.02% |
| 6 | ICBC | 金融 | 3.54% |
| 7 | China Mobile | 通信 | 3.17% |
| 8 | HKEX | 金融 | 2.92% |
| 9 | Xiaomi | 情報技術(テクノロジー) | 2.63% |
| 10 | Meituan | 一般消費財・サービス(景気に左右されやすい個人消費) | 2.54% |
出所:Hang Seng Indexes Company Limited, Hang Seng Index Factsheet, June 2026(2026年6月30日時点)。
上位10銘柄だけで合計48.75%を占める。指数の約半分が10社に集中している。
比率が大きいセクター
金融が最大の塊で、上位50銘柄だけで指数比率の34%超を占める。全体指数に加えて、次のサブ指数(特定分野だけを切り出した指数)も確認したい。
- 金融
- 公益(電力・ガスなど)
- 不動産
- 商工業(幅広い一般企業)
中国本土系企業の比率
2026年6月30日時点のファクトシートに掲載されている上位50銘柄では、H株(中国本土企業が香港に上場した株)、レッドチップ(中国本土系の資本が入った香港上場企業)、その他の香港上場の本土系企業が、指数全体の比率の合計で64.16%を占める。ファクトシートは残り43銘柄を含まないため、この数字は「少なくともこれだけ」という下限で、実際の本土系比率の全体像ではない。
つまり、ハンセン指数CFDのポジションは、実質的に中国本土企業の業績への見方になりやすい。
ハンセン指数の算出方法
見出しの指数値は、単純な平均ではない。
時価総額型か、株価型か
ハンセン指数は浮動株調整後の時価総額加重。主な意味合いは次のとおり。
- 影響度は「株価の高低」ではなく「売買されやすい時価総額」で決まる。
- 株価がHK$4でも浮動株が多ければ、株価HK$400でも浮動株が少ない銘柄より影響が大きくなる。
- 自社株買い(買い戻し)や新株発行で、見直しの間にも比率は変化する。
- 株式分割は指数に影響しない(株価型指数とは異なる)。
比率上限(キャップ)とは何か、なぜ必要か
見直しのたびに、1銘柄の比率が8%を超えないよう調整する。見直しの間は8%を上回ることがあり、HSBCは2026年6月末に9.15%となった。
仮に、腾讯(Tencent)の比率が8.13%のとき、腾讯だけが5%上昇し他が横ばいなら:
- 指数への影響=8.13% × 5% =0.41%
- 指数が22,880なら約93ポイント
- 1銘柄の動きだけで、1日で約100ポイント動く計算になる
見直し・リバランス(比率調整)の頻度
見直しは四半期ごとのリバランス(定期的に構成や比率を調整すること)で行われる。各四半期末後に結果が発表され、変更は金曜引け後に実施される。
新しい比率は翌週月曜から反映される。指数連動ファンドは実施日に組み入れ・除外に伴う売買を行う必要がある。
採用基準
採用はルールに基づく。
- 対象ユニバース内で十分な時価総額があること
- 一定期間に十分な売買代金と流動性があること
- HKEXメインボードでの最低上場期間を満たすこと
- 7つの業種グループ間で偏りが大きくならないこと
- 浮動株が投資家に実際に開放されていること
ハンセン指数の取引時間
ハンセン指数の取引は、香港市場特有の時間割を前提に考える必要がある。
何時に始まり、何時に終わるか
現物株は月〜金、香港時間(GMT+8)で次のとおり。
| 区分 | 香港時間 |
| 寄り前 | 09:00 to 09:30 |
| 前場 | 09:30 to 12:00 |
| 昼休み | 12:00 to 13:00 |
| 後場 | 13:00 to 16:00 |
主要市場では珍しい昼休みがある。昼休み前後は流動性が低下し、後場寄りで価格の飛び(ギャップ)が出やすい。よって、日中のハンセン指数CFD取引では、13:00前後の損切り設定(ストップ)を広めに取るなどの工夫が必要になる。
時間外はあるか
ある。CFDの値付けの基礎となる先物(将来の価格で売買する取引)が時間外も動くためだ。
- Tセッション:09:15〜12:00、13:00〜16:30
- T+1(夜間)セッション:17:00〜翌03:00
- プレマーケット:08:45〜09:15、12:30〜13:00
このためハンセン指数CFDは、香港の現物市場が引けた後も、欧米のニュースに反応しやすい。
ハンセン指数の通貨表示
香港ドル(HKD)。香港はリンク制(米ドルに連動させる制度)を採用し、HKDは対米ドルで概ね7.75〜7.85の範囲で管理される。取引する商品がHKD決済かUSD決済かを確認したい。
決済通貨によって「1ポイント当たりの実質損益」が変わる。USD建て口座なら、連動制に伴う両替の影響は小さくなりやすい。
休場日
香港の休場は欧米と異なるため注意が必要。
- 旧正月(1〜2月に3営業日程度)
- 清明節とイースター(4月に集中することが多い)
- 労働節、仏誕節(5月)
- 端午節(6月)、香港特別行政区設立記念日(7月1日)
- 中秋節、国慶節(9月下旬〜10月上旬)
- 台風シグナル8以上で、予告なく取引停止となる場合がある
ハンセン指数に投資・取引する方法
指数は「有価証券」そのものではないため、実際の取引手段は複数ある。
ハンセン指数を直接買えるか
買えない。指数は計算値であり、商品ではない。「ハンセン指数を買う」場合は、実際には次の手段から選ぶことになる。
- CFD(レバレッジを使った買い・売りの取引)
- 上場先物(取引所で標準化された先物取引)
- ETF(上場投資信託:指数に連動するよう運用される商品)
- 構成93銘柄をすべて個別に保有(多くの投資家には現実的ではない)
ハンセン指数CFDの取引
CFDは、建玉(ポジション)の開始価格と決済価格の差額を現金で精算し、現物の受け渡しは行わない。これが個人投資家にとって指数CFD取引が使われやすい理由だ。
例として、1ポイント当たりHK$10の契約を想定する。
- 22,880でハンセン指数CFDを1ロット買い
- 23,100で決済(+220ポイント)
- 損益(手数料等を除く)=220 × HK$10=HK$2,200(約US$282)
- 想定元本(名目取引額)=22,880 × HK$10=HK$228,800
- レバレッジ200倍(=必要証拠金率0.5%)なら必要証拠金=HK$1,144
次に、口座資金HK$50,000で「1回の取引で1%まで損失を許容」とするリスク管理例。
- 許容損失=HK$500
- 損切りまでの距離=100ポイント
- 1ロット当たり損失=100 × HK$10=HK$1,000
- 適正ロット数=500 ÷ 1,000=0.5ロット
ヒント:損切り幅からロット数を決める。ロット数に合わせて損切り幅を後から決めると、損失が膨らみやすい。
ハンセン指数先物
ハンセン指数先物はHKEXで取引され、1ポイント当たりHK$50の乗数(指数の1ポイント変動がいくらになるかを決める倍率)を持ち、最小変動幅(ティック)は1ポイント。
| 商品 | 契約乗数 | 最小変動幅 | 指数22,880時の名目額 |
| HSI先物 | 1ポイント当たりHK$50 | 1ポイント | HK$1,144,000 |
| ミニHSI先物 | 1ポイント当たりHK$10 | 1ポイント | HK$228,800 |
計算:指数価格 × 契約乗数。上記は名目額であり、建玉に必要な証拠金そのものではない。
出所:Hong Kong Exchanges and Clearing Limited, Hang Seng Index Futures および Mini-Hang Seng Index Futures。名目額は指数22,880を仮定し、公式の契約乗数で算出。
注:先物は満期(期限)があり、契約サイズも標準化される。満期のない現物型の指数CFDは柔軟に数量を調整しやすい一方、オーバーナイト金利(保有を日またぎするコスト)が長期保有の負担になり得る。
ハンセン指数に連動するETF
香港上場のHSI連動ETFでは、時価総額ベースでTracker Fund of Hong Kong(2800)が大きい。ほかにiShares Core Hang Seng Index ETF(3115)やCSOP Hang Seng Index ETF(3037)がある。
ハンセン指数ETFは中長期保有に向くが、特徴がある。
- 配当は(ETFの受取として)入ってくる一方、指数のように「配当抜き」で計算されるわけではない
- CFDのような日またぎ金利は基本的に発生しない
- 空売り(下落を狙う売り)は難しい、または利用できないことが多い
- 取引は現物市場の時間に限られる
ハンセン指数を動かす要因
指数の値動きを理解するには、何が香港株を動かすかを見る必要がある。
1. 中国本土の政策が香港株に与える影響
指数比率の約3分の2が本土系企業に関連し、北京の政策がムードを左右する。主に次の材料を点検したい。
中国人民銀行の金利・預金準備率(銀行が預け入れる義務のある比率)決定、3月の「両会」(全国人民代表大会と政治協商会議)前後の景気刺激策のシグナル、ネット・ゲーム・不動産への規制強化、南向きのストックコネクト(中国本土投資家による香港株買い)の資金フロー、月次のPMI(購買担当者景気指数:企業の景況感を示す指標)、信用(融資)統計、不動産販売統計など。
2. 米金利と通貨連動制(ペッグ)の影響
HKDは米ドルに連動しているため、香港金融管理局(HKMA)は独自の金融政策を取りにくい。実質的に米連邦準備制度理事会(FRB)の決定が香港に波及する。米金利が上がると香港の資金環境は引き締まり、株価の評価(バリュエーション:利益や資産に対して株価が割高・割安かの見方)が低下しやすい。HIBOR(香港の銀行間金利)は米金利に遅れて追随しやすい。
不動産関連は金利に敏感で、FOMC(米金融政策決定会合)の夜はアジア時間に価格の飛びが起きやすい。
3. IPOと上場の流れで指数が変わる
新規上場(IPO)は指数を徐々に変え得るが、上場したからといって自動的に採用されるわけではない。一般に上場後少なくとも3カ月の実績が必要で、指数の対象条件と流動性テストを満たす必要がある。
2026年6月の見直しではJ&T Global Express、Aluminum Corporation of China、BeOne Medicinesが採用され、構成銘柄は90から93へ増え、6月8日から反映された。
新規採用銘柄が中位の比率で入ることもあり、古い欧米指数よりセクター構成が変わりやすい。
4. セクター集中が変動を増幅する
上位10銘柄で48.75%を占めるため、93銘柄でも分散は限定的になりやすい。
- TencentやAlibabaの決算が指数全体を動かし得る。
- 金融と不動産は同じ金利材料に反応しやすい。
- セクターローテーション(資金が業種間で移動する動き)が指数の急変として表れやすい。
- ハンセン指数のリアルタイム価格を見るなら、主要銘柄の決算日程を把握しておきたい。
取引前に理解すべきリスク
ハンセン指数の取引には、少数銘柄・相関の高い銘柄への集中リスクと、通貨・流動性・地政学(政治や国際関係)リスクがある。特に香港時間の取引特性を踏まえ、リスク管理が欠かせない。
1. 集中リスクと個別銘柄リスク
2社だけで指数の17%超を占める。規制のニュースは一夜でセクター全体の価格を変え得る。大型銘柄の決算が市場全体のムードを上書きすることもある。不動産と銀行の比率は同じ材料で動きやすく、独立した分散になりにくい。
2. 通貨・流動性・地政学の注意点
HKDの連動制は安定しているが、将来も不変とは限らない。昼休みによって流動性の空白が生まれる。台風による取引停止で、決済できないままポジションを抱えることがある。レバレッジは利益だけでなく損失も同じ倍率で増やす。日またぎ(ロールオーバー)で建玉を持ち越すと、オーバーナイト金利が積み上がる。
ハンセン指数を理解したうえで、VT Marketsのデモ口座で指数CFD取引を練習するとよい。
よくある質問(FAQ)
Q1:ハンセン指数は配当を支払うか。
本指数は価格指数で、配当は含まれない。ハンセン指数CFDの保有者が配当を受け取ることはないが、構成銘柄が配当落ち(権利落ち)になるタイミングで、ブローカーが現金調整(配当相当分の調整)を行うのが一般的だ。
Q2:ハンセン指数とハンセン銀行は同じか。
同じではない。ハンセン銀行は香港の上場銀行。指数は同銀行の100%子会社であるハンセン指数有限公司が算出する。名称と親会社が同じという関係で、企業価値の意味は別である。
Q3:ハンセン指数は中国経済の代理指標になるか。
一部にとどまる。上位50銘柄では比率の約64%が本土関連だが、大型の金融とネット企業に偏る。中国本土の内需全体や、A株(中国本土市場に上場する株式)の動きを十分に表すものではない。
Q4:ハンセン指数は週末に開いているか。
開いていない。現物株は月〜金で、ハンセン指数CFDの値付けに影響する先物も週末は休場となる。金曜引けから月曜寄りまでのギャップ(価格の飛び)が起きやすいため、週末の持ち越しは慎重に判断したい。
VT Marketsでハンセン指数CFDを取引
ハンセン指数CFDは、取引対象の中身を理解している投資家ほど成果につながりやすい。銘柄集中が強く、政策に敏感で、中国本土関連の比率が高い指数であり、アジア時間に大きく動き、香港引け後も動きやすい。
VT Marketsは、世界の指数CFDをMetaTrader 4およびMetaTrader 5で提供している。提供商品は地域や口座種別により異なる場合がある。最大レバレッジ500倍、スプレッド(売値と買値の差)の競争力、厚い流動性による迅速な約定が特徴とされる。Standard STP(STP:注文を市場に取り次ぐ方式)またはRaw ECN(ECN:複数の参加者の注文を突き合わせる方式)口座を選び、本人確認後に銀行送金、カード、電子決済、暗号資産で入金できる。