要点
- カナダのガソリン価格はカナダドル(CAD)/リットル、米国は米ドル(USD)/ガロンで表示されます。単位も通貨も違うため、そのまま比較できません。
- カナダ価格を米国と比較するには、CAD/リットルの価格に3.7854(1ガロン=約3.7854リットル)を掛けてCAD/ガロンに直し、さらに現在のCAD/USD為替レート(2026年5月時点で約0.73)を掛けます。為替レートは「1カナダドルが何米ドルか」を示す値です。
- 2026年5月上旬時点のカナダ全国平均は1.87CAD/リットルで、換算すると約5.17USD/ガロンとなり、米国全国平均の4.50USD/ガロンを上回ります。
- 換算後にカナダの方が高くなりやすい主因は、連邦・州(地方)レベルでのガソリン関連税が米国より高いことです。
- カナダは州、米国は州ごとに価格差が大きいため、越境前に必ず周辺の店頭価格を確認してください。
- 原油などの商品市況、CAD/USDの為替、地政学リスク、地域税が実際の支払額を左右します。「商品市場」は原油などの資源が取引される市場、「地政学リスク」は紛争や緊張が供給に影響するリスクです。
2026年版:カナダから米国へのガソリン価格換算(完全ガイド)
米国から国境を越えてカナダのガソリンスタンドに入ると、価格表示に戸惑うことがあります。「1.87ドル」は一見手頃に見えますが、これは1リットル当たりで、通貨もカナダドルです。米国の1ガロン当たり、米ドル表示とは前提が異なります。
本ガイドでは、カナダのガソリン価格を米国の水準に換算する方法、両国の価格差が生じる理由、比較に必要な計算手順を整理します。越境通勤者や旅行者、燃料価格の仕組みを知りたい読者向けです。

なぜカナダと米国でガソリン価格の表示が違うのか
混乱の原因は「測り方」の違いです。カナダは燃料をリットル単位で販売し、価格はカナダドル(CAD)。米国はガロン単位で販売し、価格は米ドル(USD)です。換算しない限り比較できません。
米国の1ガロンは約3.7854リットルです。さらに、カナダドルと米ドルの為替レートは日々変動します。2026年5月上旬時点では、1CAD=約0.73USD(逆に1USD≒1.37CAD)です。
したがって、カナダで1.87CAD/リットルと表示されても、米国の価格と比べて安いか高いかは、単純な暗算では判断しにくく、換算が必要です。
カナダのガソリン価格を米国基準に換算する手順
カナダのガソリン価格を米国と比較できる形にするには、2段階です。
手順1:リットル→ガロン
リットル当たり価格に3.7854を掛け、CAD建てのガロン当たり価格を出します。
手順2:CAD→USD
CAD建てガロン価格に、現在のCAD/USD為替レートを掛けます(「1CADが何USDか」を使う)。
換算式(全体)
USD/ガロン =(CAD/リットル × 3.7854)× CAD/USD為替レート
別の書き方:
USD/ガロン = CAD(L)価格 × 3.7854 × 0.73 (2026年5月のレートを使用)
2026年5月データでの計算例
2026年5月5日時点のカナダ全国平均1.87CAD/リットルを使うと:
- 1.87 × 3.7854 = 7.079CAD/ガロン
- 7.079 × 0.73 = 約5.17USD/ガロン
米国全国平均の4.50USD/ガロン(2026年5月12日時点、AAA/EIAデータ)と比べると、米ドルで支払う旅行者から見て、換算後のカナダ価格は概ね高い水準です。AAAは米自動車協会、EIAは米エネルギー情報局です。
2026年のガソリン価格比較:カナダ vs 米国
両国の店頭価格を比較し、カナダ分は米国と同じ「USD/ガロン」に換算して示します。
| 項目 | カナダ | 米国 |
|---|---|---|
| 表示形式 | CAD/リットル | USD/ガロン |
| 全国平均(2026年5月) | 1.87CAD/L | 4.50USD/gal |
| 換算値 | 約5.17USD/gal | 4.50USD/gal |
| 最も高い地域 | ブリティッシュコロンビア州(約2.01CAD/L) | カリフォルニア州(約6.10USD/gal) |
| 最も安い地域 | アルバータ州(約1.78CAD/L) | オクラホマ州(約3.93USD/gal) |
| 年初来平均(2026年) | 1.53CAD/L | 3.44USD/gal |
| CAD/USD為替レート | 約0.73(2026年5月) | N/A |
出所:Finder.com(カナダはKalibrateデータ)、AAA、EIA、Wise.com。価格は日々変動します。
州別:カナダのガソリン価格はどの程度違うのか
カナダのガソリン価格は全国一律ではありません。州税、炭素価格(CO2排出に価格を付ける制度)、地域の需給で、支払額に差が出ます。
州別の目安(2026年5月)
| 州 | 概算(CAD/リットル) | USD/ガロン換算* |
|---|---|---|
| アルバータ | $1.78 | $4.92 |
| マニトバ | $1.81 | $5.00 |
| サスカチュワン | ~$1.83 | $5.06 |
| オンタリオ | ~$1.88 | $5.19 |
| ケベック | ~$1.91 | $5.28 |
| ノバスコシア | ~$1.92 | $5.30 |
| プリンスエドワード島 | ~$1.94 | $5.36 |
| ニューブランズウィック | ~$1.96 | $5.41 |
| ブリティッシュコロンビア | $2.01 | $5.55 |
| ニューファンドランド・ラブラドール | $2.04 | $5.63 |
CAD/USD=約0.73で換算。
ポイント:
- アルバータ州は州の燃料税が比較的低く、炭素コストの上乗せも相対的に小さいため、安値になりやすい傾向があります。
- ブリティッシュコロンビア州やニューファンドランド・ラブラドール州は高値になりやすく、背景にはガソリン関連税の高さがあります。BC州は公共交通向けの負担金(交通目的の上乗せ)や炭素コストも影響します。
- プリンスエドワード島、ニューブランズウィック、ノバスコシア、ケベック、ニューファンドランド・ラブラドールなどには規制型の価格制度(当局が価格の範囲を定める仕組み)があり、極端な安売りを抑え、販売店の採算を確保する狙いがあります。
換算後にカナダのガソリンが米国より高くなりやすい理由
「カナダ→米国」の換算を行うと、カナダの方が高く出やすい傾向があります。最大の要因は税負担です。
ガソリン関連税の影響
カナダと米国ではガソリン関連税が大きく異なり、これが価格差の主因です。税以外の部分(精製したガソリンそのものの原価)は、両国とも国際的な原油指標に連動しやすく、傾向は似ています。「原油指標」はブレントなど、世界の原油価格の目安となる価格です。
カナダのガソリン関連税には主に以下が含まれます:
- 連邦物品税(連邦の燃料税)(目安:1リットル当たり約10セント)
- 連邦の炭素価格(炭素賦課金)(州や年度で変動)
- 州の燃料税(州により差が大きい)
- GST/HST(消費税に相当。税引き前価格に上乗せ)
- 一部都市の市費税(自治体の上乗せ税)(例:モントリオール都市圏)
米国の税は相対的に低い水準です:
- 連邦物品税:1ガロン当たり18.4セント(1リットル当たり約4.9セント相当)
- 州税:州により大きく異なり、1ガロン当たり約8セント(アラスカ)から60セント超(カリフォルニア、ペンシルベニア)まで幅があります
結果として、容量の違いを考慮しても、税負担の差がカナダの割高感につながりやすくなります。
国境の両側でガソリン価格を左右するその他の要因
税以外にも、燃料市場の要因が店頭価格に反映されます。
原油価格
カナダと米国はいずれも世界のガソリン市場と連動しています。原油はガソリンの主な材料で、国際市場で取引され、米ドル建てで値付けされます。原油が上がれば、両国の店頭価格も上がりやすくなります。2026年5月上旬時点で、ブレント原油は1バレル当たり約108.83ドルでした。中東情勢の緊張やホルムズ海峡の海上輸送の混乱が供給不安につながりました。
CAD/USD為替レート
為替レートは越境比較に直結します。カナダドル安(USDに対してCADの価値が下がる局面)では、米ドル換算のカナダ燃料はより高く見えます。
2026年5月上旬時点のCADは0.730~0.736USD程度で、カナダドルを米ドルに替えると目減りします。
精製コストと地域の供給
原油を燃料にする精製コストは地域で異なります。背景には製油所(原油を燃料に加工する施設)の能力、原油の種類、輸送インフラがあります。遠方から燃料を運ぶ地域では、流通コストが上乗せされます。
季節要因(需要)
夏のドライブシーズン(概ね5~8月)は需要が増え、価格が上がりやすい傾向があります。冬は寒冷地での輸送や暖房で軽油需要が増える場合があります。軽油はディーゼル車や物流で使う燃料です。
早見表:CAD/リットル → USD/ガロン換算
下表は、換算後の目安を素早く確認するためのものです。CAD/USD=0.73(2026年5月の概算)を前提としています。正確な比較には最新の為替を使ってください。
| CAD/リットル | CAD/ガロン | USD/ガロン(0.73) |
|---|---|---|
| $1.20 | $4.54 | $3.32 |
| $1.30 | $4.92 | $3.59 |
| $1.40 | $5.30 | $3.87 |
| $1.50 | $5.68 | $4.15 |
| $1.60 | $6.06 | $4.42 |
| $1.70 | $6.43 | $4.70 |
| $1.78 | $6.73 | $4.92 |
| $1.87 | $7.08 | $5.17 |
| $2.00 | $7.57 | $5.53 |
| $2.10 | $7.95 | $5.80 |
式:CAD/L × 3.7854 × 0.73 = USD/gal
注意:為替は日々変動します。上記は2026年5月時点の概算に基づきます。越境での給油や資金判断の前に、必ず最新のCAD/USDを確認してください。
越境ドライブと給油判断
カナダ・米国国境近く(例:ウィンザー/デトロイト、バンクーバー/シアトル、ナイアガラ周辺)では、「国境を越えて給油した方が得か」を考える場面があります。
国境を越えて給油する価値が出やすいケース
2026年の水準を前提にすると:
- アルバータ州(約1.78CAD/L≒4.92USD/gal)で、近隣の米国側が3.99USD/gal以下なら、タンク容量次第で節約余地があります。
- ブリティッシュコロンビア州(約2.01CAD/L≒5.55USD/gal)で、近隣のワシントン州が5.00USD/gal超で推移する局面では、差は小さく、移動の手間を正当化しにくい場合があります。
- 国境通過のコスト(時間、通行料、商用車の燃料にかかる輸入課税など)も計算に入れる必要があります。「輸入課税」は国境を越える際に課される税や手数料です。
国境通過時の注意点
注意:携行缶などの容器で大量の燃料を国境越えで持ち込む行為は、税関規則の対象となる場合があります。渡航前にカナダ国境サービス庁(CBSA)または米国税関・国境取締局(CBP)の最新ルールを確認してください。
ガソリン価格と商品市場のつながり
店頭価格だけでなく金融の観点で見ると、ガソリン価格は単独で決まりません。原油などの商品市場、為替、地政学要因の影響を受けます。
- 原油は最大の要因で、両国の店頭価格の約5割を占めることが多いとされます。
- 精製品の卸市場(卸のガソリン・軽油)は、価格形成に別の段階を加えます。「価格形成」は市場参加者の売買で価格が決まる仕組みです。
- 為替市場は、米ドル建ての原油を買う際にカナダドルの購買力がどの程度かを左右します。「購買力」は同じお金で買える量です。
- 先物(将来の売買価格をあらかじめ決める取引)は、価格変動に備えるために使われます。NYMEXなどの取引所で取引され、生産者や精製会社が「ヘッジ」(価格変動リスクを抑える取引)に利用します。
原油や精製品などのエネルギー価格に投資の形で連動させたい場合、VT Marketsは商品CFD(差金決済取引)に対応する取引基盤を提供しています。CFDは現物を保有せず、価格の差額で損益が決まる仕組みです。買い(ロング)・売り(ショート)の両方向を狙えます。

2026年のガソリン価格:市場の概況
2026年は、カナダと米国の燃料価格が大きく振れています。背景には複数の世界要因が重なりました。
2026年に価格を押し上げた要因:
- 中東の地政学的緊張と、2026年3月以降のホルムズ海峡の混乱で、世界の供給が細りました。
- ブレント原油は2026年5月までに1バレル108ドル超へ上昇し、2025年後半より高い水準となりました。ブレントは国際原油の代表的な指標です。
- 米国のガソリン価格は2026年2月下旬から5月上旬にかけて約53%上昇し、約2.96USD/galからピーク約4.52USD/galへ(出所:Finder.com)。
- カナダの店頭価格も上昇し、全国平均は2026年5月5日に1.87CAD/Lに到達。2026年1月上旬の1.27CAD/Lから上がりました。
- 2026年の年初来平均は、カナダが1.53CAD/L、米国が3.44USD/galで、年内の高水準が意識されています。年初来平均は、その年のこれまでの平均値です。
なお、2026年後半の方向性は、地政学情勢の変化やOPECプラスの生産判断次第で上下し得るとみられています。OPECプラスはOPECと主要産油国の枠組みです。
ディーゼル(軽油)価格:もう一つの燃料指標
消費者の関心はガソリンに向きがちですが、ディーゼル(軽油)は物流、農業、商用車に不可欠です。
2026年5月時点:
- カナダのディーゼルの目安:1.69CAD/リットル(換算で約4.67USD/ガロン)
- 米国のディーゼル全国平均:4.60~4.80USD/ガロン程度
ディーゼル価格も高水準です。供給制約下で、製油所がガソリンより「留出油」(軽油など)の生産を優先することがあり、価格に影響します。「留出油」は原油を蒸留して得られる軽油などの燃料です。
よくある質問(FAQ)
FAQ 1:カナダのガソリン価格を米ドル/ガロンに直すには?
基本式は次の通りです:
USD/ガロン = CAD/リットル × 3.7854 × CAD/USD為替レート
例:1.87CAD/L、為替0.73なら、1.87 × 3.7854 × 0.73 = 約5.17USD/ガロンです。
為替は短期間でも動くため、正確に比較するなら最新レートを使ってください。
FAQ 2:ガソリンはカナダと米国のどちらが安い?
地域と換算方法によります。カナダの1.87CAD/Lと、米国の4.50USD/galは表示が違います。容量と為替を揃えて換算すると、2026年は平均的にカナダの方がやや高くなりやすい状況です。主因はカナダのガソリン関連税が米国より高い点です。ただし州や地域で大きく異なるため、場所によって逆転します。
FAQ 3:なぜカナダは州によって価格差が大きい?
主因は州の燃料税、炭素コストの制度、製油所からの距離、地域競争です。アルバータ州は産油地に近く州税も比較的低いため安くなりやすい一方、BC州や大西洋側の州は税負担や輸送コストが重なり高くなりやすい傾向があります。加えて、一部州には規制型の価格制度があり、店頭価格の下限・上限を設ける場合があります。
FAQ 4:国境付近で素早く比較する簡易計算はある?
目安として、CAD/リットルの価格に2.8を掛けると、概算のUSD/ガロンになります(CAD/USDが0.73~0.74程度の局面を想定)。為替で係数は変わるため、正確さが必要なら完全な式か換算ツールを使ってください。
注意:オンライン換算は参照する為替データが異なる場合があります。重要な判断では、カナダ銀行や主要金融機関など信頼できるレートで確認してください。
まとめ:カナダと米国のガソリン価格比較の要点
- 単位が違う:カナダはCAD/リットル、米国はUSD/ガロン。換算なしでは比較できません。
- 換算式:USD/gal=CAD/L×3.7854×為替レート。
- 為替が重要:2026年5月の0.73では、CAD/L→USD/galの係数は約2.76です。
- 税負担:カナダは連邦・州の税が重く、換算後に高くなりやすい主因です。
- 価格変動:2026年は世界の原油供給不安で両国とも上昇圧力が強まりました。
- 地域差:州・州で価格差が大きく、全国平均は参考値にとどまります。
- ディーゼル(軽油)も似た傾向で、換算後の価格差が生じます。