金(ゴールド)市場はFX(外国為替)市場と同じく、米東部時間(ET)で日曜17:00〜金曜17:00まで、週5日・ほぼ24時間取引される。現物金(スポット金、XAU/USD)は、通貨と同じ世界の金融センターのネットワークで売買されるため、最も取引が集中する時間帯はロンドン時間とニューヨーク時間に重なる。本ガイドでは、金市場の開始時間、FXの主要4セッションとの関係、売買が最も活発になりチャンスが増えやすい時間帯を整理する。
要点
- FX市場は週5日、24時間稼働(ETで日曜17:00〜金曜17:00)。
- 主要セッションはシドニー、東京、ロンドン、ニューヨークの4つ。
- ロンドンとニューヨークの重なる時間(ET 8:00〜12:00)は値動きが最も大きく、売買コスト(スプレッド)が小さくなりやすい。
- 金(XAU/USD)はロンドン時間の開始とともに活発化し、ニューヨーク時間にピークを迎えやすい。
- EUR/USDなど主要通貨ペアの取引量はロンドン時間とニューヨーク時間に集中する。
- FX市場は週末休場。多くの通貨市場は祝日も取引が細る/休場になる。
- 取引戦略をピーク時間帯に合わせると、約定のしやすさやコスト面で効率が上がりやすい。
FX(外国為替)市場が「眠らない」ことは広く知られている。ただ「週5日・24時間開いている」ことと、「いつ取引すべきか」を理解することは別だ。タイミングはFX取引で見落とされがちな要素の一つである。BIS(国際決済銀行)の3年ごとの調査(2026年)によれば、世界の外国為替市場の1日あたり取引高は8.1兆米ドルを超える。ただし取引は一日を通して均等ではない。時間帯によっては売買コスト(スプレッド=買値と売値の差)が非常に小さく、価格変動(値動き)が大きくなる一方、静かな時間は経験者でも取引を控えることが多い。
本ガイドでは、FX市場の取引時間を整理する。主要4セッション、重要な重なり時間、金市場(XAU/USD)がいつ動きやすいか、戦略別の取り組みやすい時間帯、注意すべき時間帯を解説する。初心者から経験者まで、市場時間の理解はパフォーマンス改善の近道になりやすい。

FX市場が24時間取引できる理由
NYSE(ニューヨーク証券取引所)などの株式取引所は開場・閉場の時刻が決まっている。一方、FX市場は特定の「取引所」に集約されない。銀行間取引を中心に、中央銀行、商業銀行、機関投資家、個人投資家が参加する分散型の相対取引(OTC=取引所を介さず相手方と直接行う取引)で、複数の時間帯にまたがって取引が続く。
FXの取引時間は、単一の取引所ではなく各金融センターの営業時間に沿ってつながる。ある都市が終わると別の都市が始まり、日曜夕方から金曜夕方まで売買が途切れにくい。
実務的には、FX市場はETで日曜17:00ごろ〜金曜17:00ごろまで。協定世界時(UTC=世界の基準時刻)では日曜22:00〜金曜22:00に相当する。
時差がFX理解のカギ
FXは多くの時間帯で動くが、取引が集中するのはシドニー、東京、ロンドン、ニューヨークの4拠点だ。各セッションで、流動性(売買の厚み=希望価格で売買しやすい度合い)、ボラティリティ(価格の振れやすさ)、取引量が変わる。
主要4セッションの全体像
主要4セッションの特徴と相互関係を知ることが、合理的なFX取引の土台になる。セッションごとに取引時間、活発さ、動きやすい通貨ペアが異なる。
| セッション | 開始(UTC) | 終了(UTC) | 開始(ET) | 終了(ET) | 主な通貨 |
| シドニー | 日 22:00 | 月 07:00 | 日 5:00 PM | 月 2:00 AM | AUD、NZD |
| 東京 | 00:00 | 09:00 | 7:00 PM | 4:00 AM | JPY、AUD、NZD |
| ロンドン | 08:00 | 17:00 | 3:00 AM | 12:00 PM | EUR、GBP、CHF |
| ニューヨーク | 13:00 | 22:00 | 8:00 AM | 5:00 PM | USD、CAD、MXN |
出所:OANDA
1. シドニー時間:週の始まり(比較的静か)
シドニー時間はFX取引週のスタートにあたる。日曜22:00 UTC(ET 17:00)ごろに始まる。ほかの3セッションに比べ、世界市場の立ち上がり前で取引量は少なめになりやすい。
豪ドル(AUD)とNZドル(NZD)の取引が中心。流動性が低い分、スプレッド(実質的な売買コスト)が広がりやすい。取引する場合はコストを織り込みたい。
2. 東京時間:アジアの中心
東京時間(アジア時間)はUTC 0:00(ET 19:00)に始まり、UTC 9:00(ET 4:00)に終わる。東京に加え香港やシンガポールの取引も重なり、アジアの取引の中心となる。
円(JPY)が主役で、USD/JPYやAUD/JPYなどはこの時間帯に動きが出やすい。日銀など中央銀行(金融政策を担う機関)の発表があると、相場が大きく動くことがある。
ただし東京時間の取引量はロンドン・ニューヨークより少ない。値動きが小さく、一定の範囲で行き来する展開も多いため、戦略によっては合わない。
3. ロンドン時間:取引の中心
ロンドン時間はUTC 8:00(ET 3:00)開始。主要4セッションの中でも最重要とされることが多い。ロンドンは外国為替取引の世界最大拠点で、BIS(2026年)では世界の取引高の約38%を占める。
ロンドン時間は流動性が一気に増え、主要通貨ペア(取引量が多い通貨の組み合わせ)が活発になる。特にEUR/USD、GBP/USD、USD/CHFが動きやすい。スプレッドが縮み、希望価格で取引しやすくなるため、短期売買(スキャルピング=小さな値幅を繰り返し狙う手法)から数日〜数週間の取引(スイング取引)まで取り組みやすい。朝にかけてボラティリティが高まりやすい。
4. ニューヨーク時間:一日の終盤
ニューヨーク時間はUTC 13:00(ET 8:00)開始、UTC 22:00(ET 17:00)終了。NYSEなど株式市場が開くため、株式の動きが為替にも影響しやすい。
ニューヨーク時間は、ロンドン時間と重なる最初の4時間が最も活発になりやすい。米ドル(USD)は世界のFX取引の88%超に関与(BIS、2026年)しており、多くの主要通貨ペアが動きやすい。FRB(米連邦準備制度理事会)の政策金利(中心となる短期金利)発表などがこの時間帯に多く、ボラティリティが高まりやすい。
最重要の重なり時間:ロンドン×ニューヨーク
ロンドンとニューヨークの重なり(ET 8:00〜12:00/UTC 13:00〜17:00)は、FX市場で最も重要な時間帯の一つだ。世界最大級の2金融センターが同時に稼働し、多くの参加者にとって取引しやすい環境になりやすい。
この時間帯の特徴:
- 取引量が最大:欧州と米国が同時に動き、4時間に取引が集中する。
- スプレッドが小さくなりやすい:流動性が厚く、EUR/USDやGBP/USDなどで売買コストが下がりやすい。
- 値動きが出やすい:米雇用統計(非農業部門雇用者数=NFP)、消費者物価指数(CPI)、英中銀の政策金利など重要指標がこの時間帯に重なることが多い。
- 取引機会が多い:取引量・値動き・コストのバランスがよく、多様な戦略に向きやすい。
東京とロンドンの重なり(UTC 7:00〜9:00ごろ)も取引が増えやすい時間帯で、EUR/JPYやGBP/JPYが動きやすい。
重なり時間のまとめ
| 重なり | UTC | ET | 主な通貨ペア | 値動き |
| 東京–ロンドン | 07:00–09:00 | 2:00 AM–4:00 AM ET | EUR/JPY、GBP/JPY | 中程度 |
| ロンドン–ニューヨーク | 13:00–17:00 | 8:00 AM–12:00 PM ET | EUR/USD、GBP/USD | 最大 |
金(ゴールド)市場はいつ開く?XAU/USDの時間帯
金市場はいつ開くのか。商品(コモディティ=金・原油など実物資産を中心とする金融商品)やFXの参加者がよく検索するテーマだ。対象とする「金市場」により答えは異なるが、個人が主にアクセスする現物金(スポット金、XAU/USD)は、CFD(差金決済取引=現物の受け渡しをせず、価格差で損益を決済する取引)で売買されることが多く、取引時間はFXとほぼ同じになる。
スポット金は日曜夕方から金曜夕方まで連続して取引される。ただし、取引量と値動きは時間帯に偏りがある:
- ロンドン時間(UTC 8:00–17:00):LBMA(ロンドン地金市場協会)が日2回、公表価格の基準となる「金価格の決定(フィックス)」を行う(UTC 10:30と15:00)。このためロンドン時間は金が動きやすい。
- ニューヨーク時間(UTC 13:00–22:00/ET 8:00–17:00):COMEX(ニューヨーク商品取引所、CMEグループの一部門)は金先物(将来の決めた日に決めた価格で売買する契約)で世界最大級。COMEXの主要な立会時間はET 8:20〜16:00で、ニューヨーク時間と重なり金の値動きを大きくしやすい。
- ロンドン–ニューヨークの重なり:ET 8:00〜12:00はLBMAとCOMEXが同時に動き、XAU/USDの取引量と値動きが最も大きくなりやすい。
注意点:シドニー時間や東京時間の序盤は金の取引量が減りやすい。スプレッドが広がり、動きが不規則になりやすい。チャート分析(過去の価格の形から売買判断する方法)を重視する場合は特に注意したい。
FX市場の取引時間:一覧
下表は主要セッションの取引時間(UTCとET)と、動きやすい銘柄をまとめたもの。取引計画の確認に使える。
| セッション | 開始 UTC | 終了 UTC | 開始 ET | 終了 ET | 値動きが出やすい銘柄 |
| シドニー | 22:00(日) | 07:00 | 5:00 PM(日) | 2:00 AM | AUD/USD、NZD/USD |
| 東京 | 00:00 | 09:00 | 7:00 PM | 4:00 AM | USD/JPY、AUD/JPY、XAU/USD(弱め) |
| ロンドン | 08:00 | 17:00 | 3:00 AM | 12:00 PM | EUR/USD、GBP/USD、XAU/USD |
| ニューヨーク | 13:00 | 22:00 | 8:00 AM | 5:00 PM | USD/CAD、EUR/USD、XAU/USD、米株価指数 |
| ロンドン–NY重なり | 13:00 | 17:00 | 8:00 AM | 12:00 PM | 主要通貨全般(ピーク) |
| 休場 | 22:00(金) | 22:00(日) | 5:00 PM(金) | 5:00 PM(日) | 休場(取引不可) |
特に夏時間(サマータイム)切り替え前後は、最新のセッション時刻を確認したい。
2026年:FXの取引に適した時間帯
「最適な時間」は戦略次第だが、取引量、流動性、ボラティリティのデータから傾向は示せる。
個人投資家の多く:ロンドン–ニューヨークの重なり
ET 8:00〜12:00の重なり時間は、多くの戦略で取り組みやすい。BIS(2026年)では1日の取引量の約30%がこの4時間に集中する。スプレッドが縮みやすく、流動性が最も厚く、重要指標も多い。
アジア通貨中心:東京時間
円、豪ドルなどアジア・オセアニア通貨を中心に見るなら東京時間が基本。地域の中央銀行や商業銀行の取引が値動きの材料になりやすい。
指標トレード:重要発表の時間帯
重要指標は当該国の営業時間に出やすい。米国はET 8:30(ニューヨーク時間内)が多く、英国はUTC 7:00(ロンドン時間序盤)が多い。発表予定に合わせて取引計画を立てることが、ニュース(材料)重視の手法では重要になる。
値動きが小さい戦略:シドニー〜東京の序盤
レンジ取引(一定の値幅での往復を狙う手法)は、シドニー時間や東京時間序盤(UTC 0:00〜4:00)で機能しやすい場合がある。値動きが小さくなりやすい一方、スプレッドが広がりやすく、収益を削りやすい点には注意が必要だ。

注意したい時間帯
市場が開いているかどうかだけでなく、同じ営業時間内でも注意すべき場面がある。
- FX休場(ET 金曜17:00〜日曜17:00):新規取引ができない。週末のニュースが蓄積し、日曜オープンで「窓」(ギャップ=価格が連続せず飛ぶ現象)が出ることがある。持ち越しには注意。
- セッションの谷(ET 12:00〜13:00):欧州の引けと米国の立ち上がりの間で取引量が落ちやすい。流動性が薄くなり、スプレッドが広がり、値動きが読みづらくなることがある。
- 主要国の祝日:米感謝祭、クリスマス、日本のゴールデンウィークなどで主要市場が休みになると取引量が減りやすい。スプレッド縮小や安定した値動きは期待しにくい。取引を控えるか、建玉(ポジション)を小さくしたい。
- 重要指標直後:発表直後の数秒〜数分は値が乱れやすく、スプレッドも急拡大しやすい。多くの戦略ではリスクが上がる。
FX・株・商品:取引時間の違い
FXの特徴は週5日・24時間に近い連続取引で、株式や商品の「取引所取引」と対照的だ。
| 市場 | 取引時間(ET) | 営業日 | 特徴 |
| FX(為替) | 日 5:00 PM – 金 5:00 PM | 月–金(24時間) | 分散型(OTC);週5日連続 |
| NYSE / TSX(株) | 9:30 AM – 4:00 PM | 月–金 | 取引所集中;時間固定 |
| COMEX 金先物 | 8:20 AM – 5:00 PM(金は4:00 PM) | 月–金 | 先物(期日のある契約) |
| 現物金(CFD) | 日 5:00 PM – 金 5:00 PM | 月–金(24時間) | FXの取引時間に沿う |
| LSE(ロンドン株式市場) | 8:00 AM – 4:30 PM GMT | 月–金 | 欧州最大級の株式市場 |
CFDで金を取引する個人は、FXと同じ時間帯でXAU/USDを売買できる。これにより、ニューヨーク時間を含め一日を通じて価格変動に対応しやすい。
2026年:FX市場データ
市場規模と取引の偏りを知ると、どのセッションが重要かが見えやすい。
- 8.1兆米ドル:世界の外国為替取引の1日平均取引高(BIS 3年次調査、2026年4月)。2022年の7.5兆米ドルから増加。
- 38%:ロンドンの世界取引高シェア。ロンドン時間が最大の寄与。
- 88%:米ドルが関与する取引の割合。ニューヨーク時間の重要性を示す。
- 30%:ロンドン–ニューヨーク重なり時間に集中する取引量の目安(営業時間全体の比率は小さいのに集中度が高い)。
- 約3倍:2019年以降の個人FX参加の増加(Finance Magnates Intelligence Report、2026年Q1)。モバイル取引が新興国で拡大。
よくある質問(FAQ)
FAQ 1:カナダのFX取引時間は?
カナダの個人投資家も、主に米東部時間(ET)でFX市場にアクセスする。ETはニューヨーク時間と重なり、取引が活発な時間帯と合わせやすい。市場はETで日曜17:00〜金曜17:00に開く。ロンドン時間はET 3:00に始まり、ロンドンとニューヨークの重なり(ET 8:00〜12:00)が取引の中心になりやすい。
FAQ 2:FX市場は週末も開いている?
開いていない。FXはETで金曜17:00〜日曜17:00が休場で、多くのブローカーでは取引できない。ただし暗号資産など一部のOTC商品は週末も動く場合がある。市場が閉まっていてもニュースで材料がたまり、日曜の開始時にギャップが出ることがあるため、週末前の持ち越しには注意したい。
FAQ 3:金市場はいつ開き、いつ取引しやすい?
現物金(スポット金、XAU/USD)はFXと同様にETで日曜17:00〜金曜17:00に取引できる。取引が厚くなりやすいのはロンドン時間(ET 3:00〜12:00)とニューヨーク時間(ET 8:00〜17:00)。特にロンドンとニューヨークの重なり(ET 8:00〜12:00)はLBMAとCOMEXが同時に動き、取引量が増え値動きも出やすい。
FAQ 4:取引量が少ない時間帯、スプレッドはどうなる?
取引量が少ない時間帯(シドニー時間、セッションの谷、主要国の祝日など)は流動性が薄くなり、参加者が減るため表示される価格差が広がりやすい。つまりスプレッド(売買コスト)が増え、取引の出入りに不利になる。ロンドン時間やロンドン–ニューヨークの重なりは取引量が増え、スプレッドが小さくなりやすい。初めて主要通貨ペア(例:EUR/USD)を取引する場合は、取引が厚い時間帯を選ぶとコスト面の不利を減らしやすい。