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月次マーケットレビュー:2026年3月の振り返りと4月の見通し

by VT Markets
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Aug 12, 2026
Analyst Ross

3月の市場は、中東の地政学リスク(紛争や対立に伴う不確実性)が高まり、幅広い資産で「リスク回避(危険な資産を減らし、安全とされる資産へ移す動き)」が強まった。為替、貴金属、原油、株価指数、暗号資産を対象に、戦争リスク、エネルギー価格、利下げ観測の後ろ倒しが4月の相場の方向感をどう作り直したかを整理する。

3月の市場総括

3月は相場の空気が明確に変わった。2月は持ち合い(一定の範囲で上下する展開)が中心だった一方、3月はイラン・米国・イスラエルを巡る緊張で、ニュースに反応しやすい地合いへ移行。市場は静かなレンジ取引から、守り(防衛的な資産配分)に傾き、投資家は地政学環境の変化に即応した。

再評価(新たなリスクを織り込むこと)が最も早く表れたのはエネルギーだった。中東とホルムズ海峡(原油輸送の要衝)で供給が滞る懸念から原油が急伸し、その影響がマクロ(景気・物価・金利の大きな流れ)全体へ波及。原油高がインフレ懸念を押し上げ、中央銀行の早期利下げ観測(政策金利を下げる予想)を後退させ、「高金利が長期化(高金利が続く見通し)」しやすいとの見方を強めた。特に米連邦準備制度理事会(FRB、米国の中央銀行)を巡る見方に影響した。

結果として、ドル高(安全資産として買われる動き)、貴金属の上値抑制、株式のじり安、暗号資産の方向感の乏しさは、同じ要因に収れんした。3月は景気の急悪化というより、不安定な地政学環境の下でリスクを織り込み直した月だった。

主要通貨

為替市場(FX=外国為替)は3月を通じ、概ねレンジ内で推移したが、基調はドル優位に傾いた。

ドルは「安全資産需要(有事に買われやすい通貨としての需要)」と、FRBの見通し修正(利下げ時期の予想変更)で下支えされた。原油高でインフレ再燃リスクが意識され、米利下げの開始時期は後ろ倒し。主要通貨ペアの多くが明確なトレンド(一定方向への継続的な動き)を作れない中でも、ドルは底堅さを保った。

ユーロドル(EURUSD)はその均衡を映した。弱いが大崩れはしないユーロ圏指標を、ドル高が相殺し、相場は従来レンジにとどまった。地政学ニュースで短期変動(ボラティリティ=値動きの大きさ)は増えたが、動きは続かず、方向感よりも不規則な値動きが目立った。

為替全体は、国内の基礎的条件(ファンダメンタルズ=景気や物価など)より、投資家心理(センチメント)に左右されやすい。4月にエネルギー高が物価指標により明確に反映されれば、中央銀行見通しも動きやすい。

図1:ドル高局面でもレンジ推移が続くユーロドル(4時間足)

値動きは、トレンドよりも「水平の下値支持線・上値抵抗線(サポート/レジスタンス=下げ止まりやすい/上げにくい水準)」を意識している。レンジを明確に抜ければ、マクロの織り込みが一段と固まったサインになり得る。

4月も中東情勢が緊迫したままなら、ドルの「安全通貨としての買い(安全資産買い)」が続くかが焦点となる。

主要貴金属

金(ゴールド)と銀(シルバー)は3月、地政学リスクの高まりにもかかわらず上値が重かった。

通常、紛争激化は「安全資産需要(有事の資金逃避)」として金地金(ブルリオン=現物の貴金属)を支えやすい。ただ今回は、ドル高、「実質金利の上昇(実質利回り=名目金利から物価上昇率を差し引いたもの)」、FRB利下げ観測の後退が勝った。利下げが遠のくほど、利息の付かない金属を保有する不利(機会費用=他で得られたはずの利回り)が大きくなり、上昇余地を抑えた。

金は、従来の守りの買いよりも、現金確保(流動性=すぐ現金化できる度合い)を優先する動きが目立ち、弱含んだ。銀も同様の逆風を受けたうえ、工業用途の需要懸念が重なった。紛争長期化がエネルギーコストを押し上げ景気を冷やせば、景気に左右されやすい銀の需要は支えにくい。

貴金属は安全資産の資金流入より、金融政策の織り込み(利下げ・利上げ予想)と実質金利に左右された。

図2:下押し圧力が続いた銀(4時間足)

チャネル(平行な上限・下限の範囲)からみると、戻りは反発局面にとどまり、強い上昇にはつながりにくい。上側のトレンドライン(上値の目安)を上抜けるまでは、慎重な見方が優勢となる。

4月は、ドル高一服や金利低下で貴金属が下げ止まれるかを見たい。

原油が主役に

3月の主役は原油だった。

中東の緊張が高まり、エネルギー市場に「地政学プレミアム(紛争リスクを価格に上乗せする分)」が再び乗った。焦点はホルムズ海峡、域内のエネルギー関連施設、そして紛争拡大による供給途絶リスク(世界供給の重要部分が止まる懸念)。原油は1バレル=100ドルを上回り、新たな動きに敏感な状態が続いた。

影響はエネルギーにとどまらない。原油高は物価見通し(インフレ期待)に直結し、中央銀行の政策判断を難しくした。利下げが進みやすいとの見方は後退し、エネルギー起因のインフレが金融緩和(利下げなどの景気下支え)をさらに遅らせる可能性が意識された。

天然ガスも供給不安を意識して上昇した。備蓄放出(戦略備蓄=政府が保有する在庫)などで市場安定を図っても、情勢が流動的で決着が見えないため、リスク上乗せ分は残った。

図3:3月の急騰後も100ドル近辺で高止まりする原油(4時間足)

急騰後も大きく押し戻されず、高値圏を維持している。市場が地政学リスクの上乗せをなお意識していることを示す。

4月初旬は100ドルを維持できるかが焦点。維持すれば、インフレ懸念が相場の中心に残りやすい。

株価指数は流動性低下

世界株は3月に下落したが、下げは限定的だった。

下落はパニックではなく、リスクの織り込み直しが中心だった。原油高、金利上昇、地政学の不確実性を受け、投資家は持ち高を縮小(エクスポージャー削減=保有リスクを落とす)し、成長株やテックに売りが出た。ただ、市場は混乱的ではない。流動性(売買のしやすさ)は保たれ、経済指標も急崩れせず、売りも段階的だった。

この違いは重要だ。3月は大規模な投げ売り(リクイデーション=強制的な手仕舞い)ではなく、厳しさを増した環境下での評価見直しとリスク許容度(リスクを取る姿勢)の調整に近い。

ナスダックは変化を映した。重要な下値支持帯を割り込み始めたが、形は「追い込まれた弱さ」で、パニック的な投げ売り(キャピチュレーション=恐怖による全面売り)とは言いにくい。4月の方向は、金利と原油が高止まりするかに左右される。

図4:リスク心理の悪化で下値支持が試されるナスダック(日足)

下抜けは無視できないが、まだ市場が大きく崩れた兆候は乏しい。支持線を明確に割れば下げが深まる可能性がある一方、買いが下げ止めれば、3月は「調整の範囲」として整理できる。

4月は、エネルギー高と資金調達コスト(借入金利など)の上昇がAI・テック主導銘柄の重しになるかを確認したい。

暗号資産は様子見

暗号資産は3月、地政学リスクが高まっても概ねレンジ推移だった。

ビットコインはニュースで急変する場面があったが、上下いずれにも持続的な抜けは出なかった。相場は持ち合いが続き、他のリスク資産と同じ構図だった。ニュースへの反応はある一方、環境(マクロ)や持ち高(ポジション=買い持ち/売り持ちの偏り)の影響が大きかった。

ドル高と実質金利上昇は、利息の付かない資産(非利回り資産)である暗号資産の投資妙味を削いだ。加えて、一部の機関投資家は不透明感を受け、現金比率を高め、持ち高を落としたように見える。過去の局面と異なり、ビットコインに継続的な「安全資産買い」は入りにくかった。

その結果、暗号資産は方向感が出にくい状態が続いた。値動きはあっても、強い確信に欠けた。

図5:持ち合いが続くビットコイン(日足)

レンジは崩れておらず、上限と下限が意識されている。上値抵抗線を上抜ければ短期見通しは改善する一方、跳ね返されれば横ばいが続きやすい。

4月は、マクロの重しが和らぎ、持ち合いを抜け出せるかがポイントになる。

2026年4月に注目すべき初期サイン

4月の市場は、3月を規定した問いから始まる。中東危機が深刻化するのか、それとも沈静化に向かうのか。

この判断は主要資産に影響する。緊張緩和の兆しが出れば、原油の地政学上乗せが縮小し、インフレ懸念が後退し、中央銀行の選択肢が広がる。株式には追い風、ドルは弱含み、貴金属や暗号資産の心理改善につながりやすい。

逆に緊張が高まれば、原油は高止まり、または再上昇しやすい。インフレ期待は強まり、利下げ時期はさらに後ろ倒しされる可能性がある。成長資産に重しとなり、ドルを支える。

4月も市場は慎重で、ニュースに反応しやすい。原油、ドル、金利見通しが、資産横断の温度計(他の資産にも影響しやすい指標)となる。

重要水準と意味合い

4月は、3月に意識された主要なテクニカル水準(チャート上の重要な価格帯)を判断材料にしたい。

原油が100ドルを維持すれば、インフレ懸念が続きやすい。ユーロドルがレンジを抜ければ、政策見通しや安全資産需要の変化を示す可能性がある。ナスダックが割れた支持線を回復できなければ、リスク心理は一段と悪化し得る。ビットコインが3月レンジの上限を超えられなければ、暗号資産は戻りで出遅れやすい。

Frequently Asked Questions

なぜ3月の市場は防衛的になったのか?

地政学リスクが原油高を通じてインフレ懸念を再燃させ、早期利下げへの確信が弱まったため。

なぜ3月は原油の影響が大きかったのか?

中東で供給が滞る不安から原油が上昇し、物価見通し(インフレ期待)とリスク心理を動かしたため。

地政学リスクが高いのに、なぜ金は下落したのか?

ドル高、実質金利の上昇、FRB利下げ観測の後退が、安全資産としての買いを上回ったため。

なぜユーロドルはレンジにとどまったのか?

ドル高は進んだが、下値支持を明確に割り込むほどの強さには至らなかったため。

4月の主要テーマは何か?

地政学リスクが和らぐか強まるか、それが原油、インフレ、利下げ見通しにどう波及するか。

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