S&P500種株価指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が2023年以来初となる金融引き締めを実施した後、3日続伸した。市場は当初、FOMC(連邦公開市場委員会)の見通しが示したフェデラルファンド(FF)金利4.125%(先物が織り込む4.75%を下回る)を消化し、その後は米景気の底堅さへと再び焦点を移した。企業業績も地合いを支えている。直近2四半期はいずれもS&P500企業の利益が前年比で約30%増加し、ゴールドマン・サックスは成長が「崩壊」ではなく「減速」にとどまる限り、利益面にバブルは見られないとの見方を示す。力強いGDP成長と人工知能(AI)への継続投資も相場の下支え要因だ。
堅調な景気と、段階的な利上げにとどまるFRBの引き締め局面は「ゴルディロックス(過熱も冷え込みもない適温)」環境と位置付けられ、ショートカバー(空売りの買い戻し)が加速することで需給面から追い風となる可能性がある。米個人投資家協会(AAII)の調査では弱気回答が53.3%と、強気の28.8%を大きく上回った。強気比率は年初来で最低水準で、ベア(弱気)・ブル(強気)比率は2025年5月以来の弱さとなった。2025年5〜6月にはS&P500が急伸した経緯がある。主要リスクとしては、中東情勢の一段の悪化で原油価格が1バレル120ドルを上回り、スタグフレーション懸念が再燃して調整確率が高まる点が挙げられる。
ゴルディロックス環境に向けたポジショニング
FRBがFF金利を4.125%へと緩やかに引き上げる見通しであること、米景気の耐性が極めて高いことを踏まえると、デリバティブ取引の観点では今後数週間、株式の強気ポジションへ傾けるのが望ましいと考える。推奨は、S&P500を対象とするブル・コール・スプレッドの活用だ。「ゴルディロックス」環境の恩恵を取り込みつつ、支払うプレミアム(初期コスト)を抑えられる。過去データでは、中央銀行が利上げを進める一方でGDP成長が強い局面では、株式市場は歴史的に大きな混乱なく引き締めを吸収してきた。
逆張り機会と下方リスクのヘッジ
個人投資家の弱気比率が足元で53.3%に達していることから、ショートスクイーズ(踏み上げ)を誘発し得る典型的な逆張りの買い場とみる。2025年5月に見られたように、弱気センチメントがこれほど高まる局面では、ショートポジションの強制的な手仕舞いが急速な上昇をもたらす傾向がある。これを狙う手段として、指数連動型のオプションでキャッシュ・セキュアード・プット(現金担保付きプット)を売り、プレミアムを受け取りつつ急騰局面に備える戦略が考えられる。
もっとも、中東情勢の激化で原油が重要節目である1バレル120ドルを上抜けるリスクには警戒が必要だ。これに伴うスタグフレーション的リスクへの備えとして、原油先物のアウト・オブ・ザ・マネーのコール、またはエネルギーセクターETFのコールを買うことを提案する。こうしたバランス型の戦略により、足元の株式モメンタムを取り込みつつ、突発的なマクロショックに対する割安な保険を確保できる。
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