インド・ルピーは金曜日、対米ドルで上昇し、前日につけた2カ月ぶり高値(94.29)近辺で推移した。インド準備銀行(RBI)の外貨建て非居住者(FCNR)スキームを通じた資金流入が通貨を下支えしたほか、米利上げ期待の後退も追い風となった。RBIは、6月上旬に開始したFCNR(B)ウィンドウを含む外貨動員スキームにより、1,363.8億ドルを調達したと開示。外貨準備のバッファーと市場介入余力の拡大につながった。米国では、FRBのクリストファー・ウォラー理事が、最近のデータにディスインフレの兆しが見られると述べ、ドルを押し下げ、9月会合に向けた市場の織り込みを見直す動きが広がった。
デリバティブの織り込みも変化し、CMEのFedWatchは9月利上げ確率を「2分の1」に示唆(ウォラー発言前の「3分の1」から低下)。市場は12:30(GMT)発表の8月米雇用統計(非農業部門雇用者数)を待っている。ADP民間雇用は+3.8万人と、市場予想(+4.7万人)および7月(+4.6万人)を下回り、1月以来の弱さとなった。失業率は4.1%で横ばいが見込まれ、推計では7月の2.3万人のレイオフ後に5.6万人の雇用増が示されている。USD/INRは94.4925で取引され、100日単純移動平均(SMA)95.2909を下回った。RSIは28近辺で、94.08が焦点。ウォラー氏のFXS Speechtrackerスコアは6.1(平均6.3)で、FXS Fed Sentiment Indexは2.06低下して125.38となった。
短期見通しと戦術的ポジショニング
USD/INRは短期的に下方向が続く前提で構えるべきだが、売られ過ぎ局面のため、戦術性は高く保ちたい。100日SMA(95.2909)を下回って推移している以上、目先は重要サポートの94.08に向けて下値を試しやすい。ただし、RSIが売られ過ぎ水準の28まで低下しているため、短期的な反発(戻り)局面は想定し、そこでショートを積み増す余地がある。
取引戦略とイベントリスク
このトレンドを捉えるため、デリバティブ投資家には、急なボラティリティ上振れへの過度なエクスポージャーを避けつつ下落モメンタムの恩恵を得られる、ベア・プット・スプレッドやショートコール戦略の活用を推奨する。外貨動員スキームで1,363.8億ドルを調達したことにより、RBIの介入余力は強固で、USD/INRの上方向のスパイクは強く抑制されやすい。歴史的に、RBIがこのような潤沢な外貨準備(足元では過去最高水準の6,800億ドル超)を確保している局面では、ルピーの変動を抑え、急激なルピー安を限定する動きが強まりやすい。
同時に、今後の米マクロ指標、とりわけ雇用統計やインフレ指標の発表前後では、ボラティリティの上昇に備える必要がある。市場が9月利上げ確率を「五分五分」に織り込むなか、雇用増加が予想の5.6万人から乖離すれば、値動きは大きく振れやすい。こうした不確実性を活かす手段として、主要指標発表前のインプライド・ボラティリティ拡大を狙い、USD/INRオプションで短期のストラドルまたはストラングルを用いた取引が考えられる。
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