金(XAU/USD)は水曜日のアジア時間早朝に1オンス=4,335ドル近辺で取引され、6月初旬に付けた4,450ドル近傍のピークから反落した後、安定した動きとなった。世界的な債券利回りの上昇により、利回りを生まない資産を保有する機会費用が高まったことが背景にある。米30年債利回りは2007年以来の高水準に上昇し、日本の10年金利も日銀が早ければ9月にも利上げに踏み切るとの観測から約30年ぶりの高水準に達した。欧州では、ドイツ10年国債(ブント)利回りが2011年以来の高水準となり、フランス国債利回りも2008年以来の高水準を付けた。
原油高も金相場の重しとなっている。米・イラン間の緊張とホルムズ海峡を巡る不透明感がインフレ懸念を押し上げており、CNNによればドナルド・トランプ氏は火曜日、イランとの協議は進行中でも予定もないと述べた。MarineTrafficのデータでは、ホルムズ海峡およびバブ・エル・マンデブ海峡を通過する商業船舶の航行は低迷が続いている。一方で、米インフレ指標の軟化と小売売上高の弱さを受けて金利見通しが変化し、市場は9月に0.25%の利上げを織り込む状態から、据え置き確率が約65%へと転じた。これはドルの上値を抑え、XAU/USDの下支えとなる可能性がある。テクニカル面では、金は100日SMA(約4,385ドル)を下回る一方、20日ボリンジャーバンドのミドル(約4,210ドル)を上回って推移し、RSI(14)は58近辺。上値抵抗は4,500ドル近辺、下値支持は3,915ドル近辺に位置する。
債券市場の圧力下における取引戦略
今後数週間、金(XAU/USD)が4,335ドル近辺で保ち合う局面が想定されるため、デリバティブ取引では慎重なレンジ戦略を推奨する。金は6月初旬の4,450ドル高値から調整していることから、当面は100日単純移動平均(4,385ドル)近辺への戻り局面での売りを検討したい。この目先のレジスタンスは、世界的な債券利回り上昇が支える形となっており、歴史的にも利回りを生まない資産の投資妙味を低下させやすい。
債券市場からの強い圧力は無視できない。米30年国債利回りは足元で5.11%近辺にあり、2007年以来の高水準となっている。長期金利が急上昇する局面(例:2023年後半の大規模な債券売り)では、金は短期的に強い逆風を受けやすい。上値余地が限られる局面を生かす戦略として、ベア・コール・スプレッドの活用を推奨する。日本の10年金利も1.1%近辺と数十年ぶりの高水準にあることが、こうした見立てを補強する。
地政学・インフレリスク:ヘッジと戦術的取引
一方で、エネルギー価格の上昇とホルムズ海峡を巡る地政学的摩擦がインフレ警戒を継続させている点も認識しておく必要がある。こうした緊張は、投資家が物価上昇への直接的な防衛策を求めることで、歴史的に金の強い下値の支えとして機能してきた。地政学リスクの急変に備えたヘッジとして、プロテクティブなロング・プットに、短期のロング・コールを組み合わせて保有する戦略を提案する。
見通しは米FRB(連邦準備制度理事会)を巡る期待変化にも左右される。市場は現在、9月は据え置きとなる確率を65%程度織り込んでいる。インフレ鈍化が続けばドル安を通じて、上側ボリンジャーバンドの4,500ドル方向への調整反発が生じる可能性がある。この場合、20日ボリンジャーのミドルである4,210ドルを「最重要水準(ライン・イン・ザ・サンド)」として監視したい。
日足で4,210ドルを割り込めば、下側ボリンジャーバンド近辺の3,915ドルに向けた下落が示唆され、ショート・プットはリスクが高い。逆に、4,385ドルを明確に上抜けるまでは、強気寄りの先物戦略へ積極的に転換するのは時期尚早だろう。当面は、ニュースに左右される狭いレンジを前提に、アイアン・コンドルなどボラティリティ戦略に注力したい。
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