ポンドは金曜日、対米ドルで3週間ぶり安値圏にとどまり、1.3300近辺で推移。週間では1%下落となる見通しだ。英小売売上高は、6月が前月比1%増と市場予想(0.3%減)を上回り、前年比でも4.2%増と予想(2.3%増)を超えたものの、為替相場への影響は限定的だった。市場全体がリスク回避姿勢を維持し、英国の財政懸念が引き続き意識されるなか、通貨の反応は鈍かった。
ドルは底堅さを保った。紅海でサウジ船舶が攻撃されたとの報道を受け、ブレント原油が100ドルに接近し、世界的なインフレ懸念が再燃。米国債利回りは数カ月ぶり高水準へ上昇した。別途、トランプ政権は一時的な世界一律10%関税の期限切れに伴い、60の貿易相手国に対して10〜12%の新たな関税を設定し、センチメントを圧迫した。英国では、アンドリュー・バーナム首相の歳出計画と財政安定性への影響が焦点となる一方、秋に向けて英短期金利が低下基調をたどるとの見方も強まっている。
インフレ上昇とエネルギーショックの中での取引機会
GBP/USDが1.3300近辺に張り付き、ブレント原油が100ドルに向けて急騰する状況を踏まえ、デリバティブ取引では今後数週間、ポンドの一段安に備えたポジショニングを推奨する。紅海の供給ショックによる世界的インフレ圧力の高まりと、新たな米関税の組み合わせは、安全資産としての米ドルの魅力を一段と高める。過去の経験則では、原油価格が3桁に近づくエネルギーショック局面ではドルへの資金流入が強まり、その後数週間でGBP/USDが平均3〜5%下押しされる傾向がある。
この下落トレンドを取り込むには、単純なプット買いではなくGBP/USDのベア・プット・スプレッドの構築を提案する。地政学リスクの高まりは通常、通貨の1カ月インプライド・ボラティリティを過去平均の8%を大きく上回る水準へ押し上げるため、プット単体の購入は現状では割高になりやすい。1.3000のサポート水準への下落をターゲットとするベア・プット・スプレッドなら、高いプレミアム負担を抑えつつ、下向きのモメンタムを捉えやすい。
英財政不透明感と金利差を活用する戦略
また、バーナム首相の歳出計画を巡る国内の財政懸念が強まるにつれ、英国の短期金利は低下方向にじり安になると見込む。トレーダーは、拡大する金利差を背景に、アウト・オブ・ザ・マネーのGBP/USDコールを売ってプレミアム収入を積み上げる戦略が考えられる。2022年の予算危機など過去の「英財政不安」局面のデータでは、国内政策の不透明感が高まる環境下でのポンド高は持続しにくいことが示されている。
今後の米国債入札には注意が必要だ。米金利がさらに上昇すれば、ポンド安は加速しやすい。米10年債利回りが直近の数カ月ぶり高値圏を明確に上抜けた状態を維持すれば、GBP/USDへの下押し圧力は一段と強まる。8月に向けて、ポンドのオプション戦略はショート・デルタ(下落方向)バイアスの維持が最も確度の高いシナリオだ。
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