中国人民銀行(PBOC)は金曜日の米ドル/人民元(USD/CNY)基準値(中間値)を6.7934に設定した。前日の基準値6.7909から人民元安方向となり、ロイター予想の6.7734も上回った。PBOCの金融政策目標は、為替の安定を含む物価安定を軸に、景気成長の支援と、中国の金融市場を開放・発展させる金融改革の推進を並行して掲げている。
同中銀は中華人民共和国の国有機関で、自律的な存在とは位置づけられていない。管理・指揮においては、国務院総理が指名する中国共産党党委員会書記が重要な役割を担い、潘功勝氏が両職を兼務している。政策手段としては、7日物リバースレポ金利、中期貸出ファシリティ(MLF)、為替介入に加え、預金準備率(RRR)などがある。ローンプライムレート(LPR)は、借入、住宅ローン、預金に影響する指標金利(ベンチマーク)として位置づけられる。中国には民営銀行も19行あり、WeBankとMYbankが最大手。2014年には、民間資金で全額資本化された国内金融機関が、国有優位のシステム下で営業することが認められた。
政策的含意と市場見通し
PBOCがUSD/CNY基準値を6.7934とし、ロイター予想の6.7734を大きく上回った点は注視が必要だ。この乖離は、景気てこ入れのために人民元の下落を一定程度容認する姿勢を示している。今後数週間については、デリバティブ投資家はUSD/CNYコールオプションの買いにより、人民元安方向へのポジション構築を検討すべきだとみる。
背景には、中国の景気回復が逆風にさらされている点がある。直近の統計では、小売の弱さと不動産市場の低迷を受け、4-6月期(Q2)のGDP成長率が4.7%へ減速した。通貨安は、中国製品を海外の買い手にとって割安にし、輸出企業を下支えする。こうした景気圧力が、PBOCに緩やかな通貨安(段階的な人民元安)を容認する路線を継続させると予想する。
売買戦略と中銀介入リスク
売買戦略としては、プレミアム(オプション料)負担を抑えつつ上昇モメンタムを捉えるため、短期のUSD/CNHコール・スプレッドに注目したい。デリバティブ投資家は、今後のLPR発表も監視すべきで、基準金利の引き下げがあれば人民元下落を一段と促す可能性が高い。過去の経験則では、公式基準値と市場推計の乖離拡大は、一過性ではなく持続的トレンドを示唆することが多い。
もっとも、PBOCは急激で不安定な資本流出を防ぐため、直接の為替介入を行ってきた経緯がある。国家主導による急な相場反転に備え、USD/CNY先物のロングにはタイトなストップロスを設定することが、ポートフォリオ防衛に有効となる。
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