英ポンドは、米国の経済指標が強かったことに加え、リスク回避姿勢への転換を背景に、対米ドルで水曜日の上昇分の一部を吐き出した。GBP/USDは1.3545近辺まで上昇した後、0.48%超下落して1.3375前後で取引された。一方、米ドル指数(DXY)は0.23%程度上昇し100.72となった。米国の6月小売売上高は前月比0.2%増と予想一致。ガソリンと自動車を除くベースでは0.4%増となり、前月(0.5%増)から減速した。週次の新規失業保険申請件数(7月11日終了週)は21.6万件から20.8万件へ減少し、市場予想(21.7万件)も下回った。FRBのベージュブックは、雇用が全体として増加し、一部地区では緩やか〜堅調な伸びが見られたと指摘した。ガソリン価格は5月の4.61ドルから6月に4.18ドルへ低下した。
地政学的緊張の高まりはドルの追い風をさらに強めた。米国がケシュム島とタンカーを攻撃し、その後イランがクウェートとヨルダンにある米軍基地を攻撃したとされる。金利見通しも変化し、Prime Terminalでは7月会合で据え置きとなる確率が73%、10月28日会合までに利上げが行われる確率は57%近くまで上昇した。英国では、5月GDPが前月比0.1%増となり、4月の▲0.1%からプラスに転じた。3カ月移動平均(3カ月比)の伸び率は0.7%に加速し、市場予想の0.5%を上回り、前回値とも一致した。アンディ・バーナム氏がエド・ミリバンド氏ではなくシャバナ・マフムード氏を財務相に起用するとの観測が、財政規律への懸念を後退させた。テクニカル面では、GBP/USDは1.3484近辺とされ、1.3385付近のSMAクラスターを上回る水準。上値抵抗は1.3489および1.3495、RSIは60とされた。
地政学リスク高進下のボラティリティと取引戦略
GBP/USDが1.3375前後へ急落し、地政学的緊張が高まっている状況を踏まえると、デリバティブ投資家はボラティリティ戦略に注力することを推奨する。中東情勢の悪化に伴う急激な値動きからの収益機会を捉えるため、GBP/USDで短期のストラドルまたはストラングルを買う戦略が有効となり得る。直近の市場データでは、世界の通貨ボラティリティ指数が上向いており、為替市場に大きく予測しにくい変動が戻りつつあることを示唆している。
米国とイランが軍事攻撃を応酬するなか、エネルギー市場は深刻な供給リスクに直面し、インフレ上振れを通じてFRBの政策運営を難しくする可能性がある。ポートフォリオのヘッジとして、ブレント原油先物のロングを提案する。過去の中東における海上輸送混乱局面では、原油が10〜15%上昇した例があるためだ。こうしたエネルギーショックの可能性は、10月のFRB利上げ確率を57%近くまで押し上げる要因にもなっている。
米労働市場の底堅さとGBP/USDのテクニカル水準
米新規失業保険申請件数が20.8万件に低下したことは、先行きの減速懸念があったにもかかわらず、米労働市場が極めて底堅いことを示している。金利低下期待が2026年後半へ先送りされるなか、米ドル高を見込むポジションとして、DXYが100.72近辺を試す局面でコールオプションを買う戦略が考えられる。さらに、短期の米国債先物をショートすることで、利回り上昇局面での収益機会を狙うことも可能だ。
テクニカル面では、GBP/USDは主要な移動平均線のサポートである1.3385近辺に位置しており、この水準を割り込むと急速な下落を誘発する恐れがある。英国の政治面の楽観が後退する場合、1.3200方向への下押しに備えつつ、リスクを限定するベア・プット・スプレッドの構築を推奨する。RSI(相対力指数)が60近辺にある点を注視することは、次の主要トレンドライン抵抗に直面する前にエントリーのタイミングを計るうえで有用となる。
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