EUR/USD、FRBとECBの政策スタンス乖離で上値の重い展開
直近の米連邦準備制度理事会(FRB)会合議事要旨を市場が消化するなか、EUR/USDは1.0750近辺で上値の重い展開が続いている。足元では小動きで推移しているものの、安全資産としてのドル需要が下支えとなり、上昇局面では戻りを抑えられやすい。総じて「戻り売り」が選好されている状況を示唆する。
FRB議事要旨では、6月の消費者物価指数(CPI)が前年比2.9%へ小幅に鈍化したにもかかわらず、当局者がインフレの粘着性をなお警戒していることが確認された。先週の6月非農業部門雇用者数(NFP)は19.5万人増と堅調で、FRBが引き締めサイクル終了を示唆する必然性は乏しい。先物市場では9月までに「最後の利上げ」が実施される確率が40%程度織り込まれており、ドル高要因となっている。
これとは対照的に、欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏の景気減速を背景に、利上げサイクルの終了が近い(もしくは終了した)とのシグナルを発している。こうした政策の方向性の乖離が、EUR/USDに下押し圧力が続くとみる中核的な理由だ。このファンダメンタルズ環境は、プット・オプション購入など、弱気方向のデリバティブ戦略の妙味を高めている。
オプション需給とテクニカル水準は下方リスクを示唆
オプション市場では、EUR/USDの1カ月リスクリバーサルがコールよりプット優位の状態を持続している。これは、向こう数週間の追加下落に備えたポジショニング、あるいはヘッジ需要が強いことを示す。インプライド・ボラティリティは相対的に低水準にとどまっており、弱気見通しを表現する手段としてプット購入がコスト面で有利になりやすい。
チャート面では、50日移動平均線を下回った状態が続いており、短期のテクニカル地合いは弱い。まずは心理的節目である1.0700のサポート割れに注目している。この水準を明確に下抜ければ、次の主要サポートである1.0650近辺への下振れが想定される。
一方、上方向への戻り局面では強い上値抵抗が見込まれ、最初の重要レジスタンスは1.0800近辺に位置する。この水準(またはそれ以上)のストライクでコール・スプレッドを売り、弱気トレンドが続く間にプレミアム獲得を狙う戦略も検討余地がある。弱気スタンスを見直し始めるのは、100日移動平均線が位置する1.0880近辺を明確に上抜けた場合に限られるだろう。
EUR/USDは水曜日、米国—イラン関係の緊張再燃を背景にした序盤の下げを埋めつつ、6月FOMC議事要旨を消化するなかで下げ渋った。相場は日中安値1.1391を付けた後、1.1427近辺で取引された。ドルの反応は限定的で、ドル指数(DXY)は101.27から低下して100.97近辺となり、FRBのメッセージが概ね織り込み済みだったことを示唆する。当局者はインフレ率が2%目標をなお上回っていると改めて指摘する一方、労働市場については均衡しているとの認識を示し、利上げ経路は今後の経済指標次第になると強調した。
テクニカル的には、EUR/USDは下降パラレルチャネル内にとどまり、主要移動平均線を下回って推移しているため、短期バイアスは弱気のままだ。ただしモメンタム指標は改善しており、RSIは売られ過ぎ圏近辺から41へ上昇、MACDも小幅ながらプラス圏に入り、より大きな下落トレンドの中での持ち合い(調整)を示唆する。上値抵抗は1.1500近辺、次いで100日SMAの1.1611、200日SMAの1.1649。下値支持は1.1350近辺、その先はチャネル下限の1.1305近辺に位置する。
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