銀(XAG/USD)は水曜日に下げを拡大し、58.45ドル近辺で取引されている。トランプ米大統領の発言が中東での衝突再燃への警戒感を呼び起こし、米ドル(USD)を下支えするとともに米国債利回りを押し上げたことで、銀は上値の重い展開が続いた。
トランプ大統領は、イランとの紛争終結を目的とした覚書は「終わった」と述べ、テヘランとの協議をもはや望まない考えを示した。さらに、米国が早ければ今夜にもイランに対する新たな攻撃を実施する可能性があるとし、電力網、水処理施設、イラン最大の原油輸出拠点であるハルグ島(Kharg Island)など、戦略インフラが標的となり得ることを示唆した。ホルムズ海峡が注目されるなか、原油供給の混乱懸念がエネルギー価格を押し上げ、インフレ期待を刺激。結果として、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを進める余地が広がり得るとの見方が浮上しており、利回りを生まない銀には逆風となりやすい。今後は、エネルギー主導のインフレが続く場合でも利下げが選択肢として残るのかを見極めるため、FRBの6月会合議事要旨に注目が移る。
米ドル高と銀市場のボラティリティ
地政学的緊張の再燃を踏まえ、米ドルの上昇と銀の下押しリスクを想定している。紛争リスクは一般に安全資産への逃避を促すが、今回は貴金属よりもドルに資金が向かっている。したがって、この水準で銀先物の新規ロングを積み増すことには慎重な姿勢を取っている。
こうした不確実性は想定変動幅を大きく押し上げており、その兆候はデリバティブ市場にも表れている。CBOE銀ボラティリティ指数(VXSLV)はこの1週間で既に15%超上昇して34.5となり、オプション市場がより大きな値動きを織り込み始めたことを示す。既存のロングを保有している場合、銀ETFに対するプロテクティブ・プット(下落に備えるプット買い)をヘッジとして組み入れるのは妥当な手段となり得る。
エネルギー高とFRBの政策運営
ブレント原油が足元で1バレル102ドルを上回って推移するなか、原油高リスクはFRBにとってインフレ見通しを一段と難しくしている。1970年代のようなエネルギー起因のインフレショックは、歴史的に急速な金融引き締めを招き、利回りを生まない資産には弱材料となってきた。エネルギーコスト上昇がコアインフレ指標に定着し始めている兆候がないかを注視している。
FRBの6月会合議事要旨を前に、ボラティリティの急上昇を想定している。来月満期のオプションを用いたストラドル戦略(コールとプットを同時に買う)が、上下いずれかへの大きな変動を捉える手段として有効となり得る。FRBがエネルギー主導のインフレ抑制を優先するのか、あるいは景気下支えを重視するのかで市場の見方は割れており、議事要旨が重要な手掛かりとなる。
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