ECB理事会メンバーでイタリア中銀総裁も務めるファビオ・パネッタ氏は火曜日、世界のエネルギー供給の約20%が通過する要衝であるホルムズ海峡をめぐる統治(管理)の不確実性が続く中、ユーロ圏インフレには上振れリスクが残っていると述べた。さらに、供給ショックの発生頻度が高まっているとして、先行きは脆弱であり、リスクバランスは引き続き「インフレ上振れ・成長下振れ」に傾いていると付け加えた。
市場の反応は限定的だった。ややタカ派寄りのトーンにもかかわらずユーロは動意薄で、報道時点でEUR/USDは0.12%安の1.1427近辺。Speechtrackerの評価ではパネッタ氏発言は6.2/10(過去平均4.2/10)となり、市場への刻印は通常より強い一方、急速な金融緩和余地が限られるというメッセージは維持されたことを示唆する。
エネルギー供給不確実性と根強いインフレ
供給途絶の頻度増加を背景に、インフレ上振れショックのリスクが高まっている。ホルムズ海峡のような重要なエネルギーのチョークポイントをめぐる状況が不安定である以上、欧州中央銀行(ECB)の政策緩和余地は限られる見通しだ。これは、物価上昇圧力が長期化し得るという見方を補強する。
こうしたリスクを踏まえ、エネルギー価格上昇へのエクスポージャー獲得を検討すべきだ。湾岸での小規模な海軍衝突を受け、9月限のブレント原油先物は過去1週間で4.5%上昇し、1バレル=98ドル超に達している。今後数カ月のブレント原油のコールオプションを買うことは、供給不安の高まりを取り込みつつ、リスクを限定できる明確な手段となる。
金利、市場ボラティリティ、トレーディング戦略への含意
この環境は欧州金利見通しも難しくする。6月のユーロ圏インフレ率(速報値)は2.8%と、5月の2.6%から小幅に加速し、市場予想を上回った。ECBが金利を高水準で据え置かざるを得ない確率を市場が過小評価している可能性があり、「短期金利の高止まり(higher for longer)」が追い風となるポジションが有利とみる。
一方で、景気の下振れリスクも無視できない。ユーロ圏のHCOB総合PMI(速報)は49.8へ低下し、再び景気後退局面(50割れ)に入り、スタグフレーション的な環境を示唆した。したがってボラティリティの買いを推奨する。欧州の主要恐怖指数であるVSTOXXはすでに19.5まで上昇し、4月以来の高水準となっている。
ユーロについては、高インフレと成長鈍化という相反する圧力が不規則な値動きを示唆する。EUR/USDはボラティリティが高く、地政学関連のヘッドライン次第で上下いずれの方向にも急変し得る。方向性の賭けを行うよりも、方向を問わず大きな値動きから収益機会を得るストラドルなどのオプション戦略を選好する。
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