WTIは金曜日、米雇用統計の弱さを受けて米ドルが軟化したことを背景に、1バレル=68.65ドル近辺で推移し、当日比0.30%高となった。米非農業部門雇用者数(NFP)は6月に5.7万人増と、市場予想の11.0万人増を下回った。これにより追加的な米連邦準備制度理事会(FRB)の引き締め観測が後退し、ドル建て商品である原油に機械的な下支えを与えた。
市場の関心は中東に向けられたままだ。ドーハでの協議が恒久的な合意に至らなかった後も、米国とイランの間接協議は継続している。イランの統合軍司令部は、ホルムズ海峡における米国のいかなる介入に対しても「断固かつ迅速に対応する」と警告した。コメルツ銀行は、原油下落は「すでに供給過剰の市場である証拠」ではなく、「将来的な供給過剰期待」によって主導されてきたと指摘。今後公表される米エネルギー情報局(EIA)の見通しや、将来のOPECプラスの生産判断が材料になり得るとした。
経済・需要指標が与える追い風
今後数週間の原油市場にとって、米雇用指標の軟化は重要な追い風になるとみている。米ドル安は海外の買い手にとって原油を割安にし、この機械的効果が価格に堅い下値を提供するはずだ。FRBが追加利上げに踏み切る可能性が低下したことで、このドル安が持続する余地もある。
今週水曜日に発表されたEIAの最新在庫統計も、この見立てを補強する内容だった。市場予想に反して在庫は450万バレルの取り崩し(減少)となり、足もとで価格を圧迫してきた「供給過剰の兆し」という市場ストーリーと矛盾する。これは、現状の需要が市場の織り込みより健全であることを示唆している。
世界需要のシグナルも安定化しつつある。6月の世界製造業PMIは直近で50.8へ上昇し、製造業活動が小幅な拡大局面にあることを示した。原油消費を損なうような急激な景気減速への警戒感は和らいでいる。将来の供給過剰懸念は、実際のデータに比して過大評価されてきた可能性がある。
OPECプラス、地政学、そして市場ポジショニング
次回のOPECプラス会合は7月第2週に予定されており、直近の下落を受けて、カルテルは価格下支えに動機付けられていると見込む。足もとの68ドル近辺の水準は、サウジアラビアを含む主要産油国の財政均衡(ブレークイーブン)価格を大きく下回っている。会合での発言は一段安を防ぐ方向に傾きやすく、サプライズの追加減産が選択肢として残る可能性も十分ある。
中東情勢、とりわけイランとホルムズ海峡を巡る緊張は、市場で十分に織り込まれていない。こうした地政学リスクはボラティリティの大きな源泉となり得るため、上昇方向のエクスポージャーを保有する理由となる。デリバティブ市場は、供給途絶によって急騰が起きる確率を過小評価しているようにみえる。
過去の経験則では、WTIの60ドル台後半は強いサポートゾーンであり、近年見られた80~100ドル帯と比較しても下値の堅さが意識されやすい。市場は過度に調整した可能性があり、トレーダーにとって機会となり得る。私たちは、リスクを明確に限定しつつ、オプションを用いて上昇方向のエクスポージャーを確保し、反発局面を狙う。
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