米ドル指数(DXY)は101.40近辺で推移し、堅調な製造業指標と高止まりする長期米国債利回りに下支えされた。米ISM製造業PMIは6月に5月の54.0から53.3へ低下したものの、好不況の分岐点である50.0をなお上回った。一方、新規受注は56.0へ鈍化。支払価格指数は82.1から73.0へ低下し、投入コストが(依然として高水準ながら)落ち着きつつあることを示唆した。ADP民間雇用者数は6月に9.8万人増と、5月(12.2万人増)から減速し、失業率が4.3%近辺、雇用増勢の鈍化が見込まれる雇用統計を前に、ドルのモメンタムを抑制した。FRBのケビン・ウォーシュ議長は2%のインフレ目標を改めて強調したが、7月の判断について明確なシグナルは示さず。セッションの各通貨の強弱では、ドルはユーロに対して最も強かった。
EUR/USDは1.1380近辺で推移。ユーロ圏のHICPインフレ率(前年比)は6月に5月の3.2%から2.8%へ低下し、市場予想(3.0%)も下回った。コアHICPも2.6%から2.4%へ低下。GBP/USDは1.3280近辺を維持し、英国インフレが今年後半に3.2%へ上昇し得るとのガイダンスが意識された。USD/JPYは162.50近辺、AUD/USDは0.6890近辺へ軟化。WTIは68.00ドル近辺へ下落し、金は4,050ドル近辺へ反発した。
ボラティリティ・リスクと為替市場の機会
堅調な製造業セクターと、弱めのADP雇用統計という相反するシグナルを踏まえると、米公式雇用指標の発表を前にボラティリティ上振れリスクは大きいとみる。今後発表される米非農業部門雇用者数(NFP)への市場反応が鍵であり、上下いずれのサプライズでも米国債利回りを大きく動かし得る。過去には、NFP当日に米10年国債先物の日中値幅が平常時比で50%超拡大することもあるため、オプションを用いて金利ボラティリティのスパイクに備えるポジションを構築している。
FRBと欧州中央銀行(ECB)の政策スタンスの乖離は一段と鮮明になっており、為替市場では明確な機会が生じている。ユーロ圏インフレの鈍化に加え、ECBが様子見姿勢を示す一方、FRBは2%目標に強いコミットメントを維持していることから、EUR/USDの「抵抗の少ない方向」は下方向とみられる。ECBがFRBに先行して利下げした後、2024年半ばにユーロが下落した局面を想起しつつ、同様の乖離を背景にEUR/USDのプット購入を検討している。
USD/JPYは足元162.50近辺と、日本当局による公式介入リスクが極めて高い「危険水域」に入りつつある。基調としては日米金利差がドル高要因である一方、急落というテールリスクを管理する必要がある。2022年末の日本の介入で同通貨ペアが単一セッションで5円超下落した事例を踏まえ、割安なアウト・オブ・ザ・マネーのUSD/JPYプット購入は妥当な戦略と考える。
コモディティ市場の見通し:原油と金
エネルギー市場では、地政学リスクの後退とOPECプラスによる増産観測の高まりを背景に、WTI原油のストーリーは供給過剰方向へシフトしている。1バレル68ドル近辺への下落は、この弱気センチメントが浸透しつつあることを示す。さらなる価格下落を想定しており、WTI先物のプット購入に妙味があるとみる。OPECプラスが増産を決定した局面では、発表直後に価格が3〜5%下落する傾向が過去に見られた。
金の4,050ドル水準への反発は注目に値するが、短期的に一段高となる可能性には慎重だ。FRBのインフレ抑制姿勢は実質金利の高止まりをもたらしやすく、利息を生まない金にとって逆風となるのが一般的である。2018年のFRB引き締め局面で金の上昇が抑えられた展開にならい、金ポジションに対してカバードコールを売却し、インカム獲得を図る戦略を検討している。
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