米ドル指数(DXY)は水曜日、101.00を上回って推移し、101.38近辺でのもみ合いとなった。先週付けた1年超ぶり高値の101.80に近い水準を維持しており、市場は米経済指標の軟化と、連邦準備制度理事会(FRB)による追加利上げ観測との綱引きとなった。ポルトガル・シントラで開催されたECBフォーラムでは、FRBのケビン・ウォーシュ議長が、中央銀行はフォワードガイダンスを示さないと述べ、インフレリスクは和らいだと主張する一方、物価安定の回復に引き続き注力する姿勢を改めて示した。ドルは指標発表後に一時下落したものの、その後は持ち直した。
直近の統計は勢いの鈍化を示唆した。ADP雇用統計では、6月の民間部門雇用者数が前月比9.8万人増と、市場予想の11.3万人増を下回り、5月の12.2万人増からも減速した。ISM製造業景況指数(PMI)は54.0から53.3へ低下し、予想の54.0も下回った。金利見通しはなお堅調で、CME FedWatchツールは9月会合での利上げ確率を67%と示しており、市場の焦点は木曜日発表の米雇用統計(非農業部門雇用者数、NFP)へ移っている。別途、安全資産需要は米国とイランの合意に向けた進展停滞で支えられた。間接協議はドーハで継続しており、テヘランは、先月合意された60日間の覚書(MoU)に基づくコミットメントを直接交渉の条件としている。
重要な米雇用統計を前にボラティリティ拡大へ
市場は明日のNFP発表を控え、相場は大きく動く構えとなっている。米ドル指数は101.38近辺で底堅い一方、民間雇用や製造業指標の弱さが、FRBのタカ派姿勢との間で明確な緊張点を生んでいる。これにより、雇用指標への反応が大きく振れやすい地合いが整っている。
NFP公表後には為替ボラティリティが急拡大すると見込む。過去には雇用統計のサプライズが、DXYを1日で1%程度動かした例もあり、2022〜2023年の利上げ局面で見られた主要な市場反応に近い。したがって、方向感はなお不透明であるものの、大きな値動きを捉えるためのオプション戦略に注目している。
利上げ観測とドルセンチメントへの含意
金利デリバティブにも注目が集まる。NFPの結果は9月利上げ観測に直接影響するためだ。市場は現状、CME FedWatchツールで67%の確率を織り込んでいるが、強い雇用統計となれば確率は80%を大きく上回り、追加利上げの公算を一段と強める可能性がある。弱い結果であれば、FRBの物語(ナラティブ)に疑問が生じ、確率が50%を下回る展開もあり得る。
また、ドルには安全資産としての基礎的な支えがある点も考慮が必要だ。米・イラン協議の遅れが下支えとなり、仮に雇用統計が弱くドル安に振れても下落余地は限定される可能性がある。こうした地政学的緊張は、今後数週間のドル見通しに小幅ながら強気のバイアスを付与している。
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