英ポンドは0.14%高となった。弱めの米指標がドルの広範な強さに歯止めをかけ、GBP/USDは一時1.3219まで下落した後、1.3277で推移した。米連邦準備制度理事会(FRB)のケビン・ウォーシュ議長は、FRBはフォワードガイダンスを提示しない方針を改めて示し、インフレ率は2%目標を上回る一方、労働市場は底堅いとの認識を示した。米ドル指数は発言を受けて大きくは動かず101.34近辺で小動きとなり、0.17%高。市場は強弱が混在する経済シグナルを見極めている。
6月のADP民間雇用者数は9.8万人と、市場予想(11.3万人)を下回り、5月の12.2万人からも減少した。一方、チャレンジャーの人員削減数は9万7006人から4万5849人へと53%減少。企業が発表した解雇計画は44万3604人で前年比40%減となった。焦点は木曜日の米雇用統計(非農業部門雇用者数、NFP)に移り、市場では11.0万人増、失業率は4.3%で横ばいが見込まれている。英国では、キア・スターマーの辞任後も財政規律を堅持するとの誓約を受け政治リスクが和らいだ一方、スワップ市場では2026年に少なくとも1回のイングランド銀行(BoE)利上げが織り込まれている。テクニカル面では、GBP/USDは1.3415付近のSMA(移動平均)集積帯を下回った状態が続き、上値抵抗は1.3524近辺、RSIは44前後、下値支持は1.3159近辺に位置する。
米労働市場とFRB政策
今週最大の注目イベントである米雇用統計(NFP)を前に、慎重姿勢で臨みたい。ADP民間雇用者数9.8万人という弱い数字は市場心理を冷やすが、ADPとNFPの乖離は過去にも顕著だった。例えば2024年初頭の過去データでは、NFPが上振れサプライズを繰り返した局面もあり、予想を上回る結果となってドル高が再燃する可能性にも備える必要がある。
FRBは、弱めの指標が1~2本出た程度ではスタンスを変えず、インフレに焦点を固定している。FRBが重視するインフレ指標であるコアPCE価格指数(前年比)は直近でも2.8%と高止まりしており、当局者がタカ派姿勢から急転する理由は乏しい。市場は、インフレが明確に鎮静化するまで金利を高水準に維持するFRBの意思を過小評価している可能性がある。
金融政策の乖離とGBP/USDの見通し
英国側では、新体制下の政治的安定はプラス材料だが、ポンド押し上げ効果は限定的だ。より大きいのはBoE要因で、直近の英CPIがインフレ率の2.0%目標到達を示したこともあり、利上げ期待は大きく後退している。タカ派的なFRBと中立的なBoEという金融政策の乖離は、GBP/USDの大幅な上昇を抑制しやすい。
1.3415の移動平均を下回って推移する弱気のテクニカル環境を踏まえると、足元の戻りは売り場とみる。デリバティブ取引では、NFPを巡るイベントリスクの高さから、プットオプションの買いが魅力的な戦略となる。これにより、米指標が再び下振れする場合の損失を限定しつつ、1.3159のサポート水準方向への下落に備えるポジション構築が可能となる。
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