BNYは、過去3年間のEUR/USDにおいてシントラ後に繰り返し観測されるパターンを指摘する。ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁による相対的にタカ派的なコミュニケーションが、6月下旬から7月上旬にかけてユーロ需要を喚起しやすい一方、当初の政策再評価(リプライシング)が吸収されると上昇は失速する傾向があるという。2024年と2025年には8月下旬にもフロー面でユーロが持ち直したが、これらの反発は特定のマクロ要因や政治要因に紐づいており、今年は再現性が低いとみられている。
目先では、向こう数週間でユーロ買いが再び現れる可能性があるものの、環境は2023年に近いと位置づけられる。財政支援は弱く、供給ショックに起因する引き締め圧力も意識されやすいため、ユーロ圏では株式よりも債券が相対的に有利になりやすい。加えて、ECBメッセージは攻撃性を弱めつつあるとされる。理事会メンバーのマールティニシュ・カザークス氏は、複数回の利上げを「急いで」行う必要は「ない」と述べ、市場でも年内の追加利上げについては25bpを満額で織り込むに至っていない。ラガルド総裁は、シントラで開催される3日間のECBシンポジウムの開会挨拶を行い、その後、FRB、英中銀、カナダ中銀の関係者と政策パネルに参加する予定だ。
シントラ後の季節性ユーロ上昇
足元ではおなじみのパターンが立ち上がりつつあり、ユーロは対ドルで短期的に上昇する可能性がある。直近3年では、ECBのシントラ・フォーラム後の6月下旬〜7月上旬にユーロが上昇した後、勢いを失ってきた。本日が2026年6月29日であることから、この季節的な局面はすでに開いており、戦術的な取引機会となり得る。
短期ユーロ上昇を狙う戦術的ポジショニング
この局面を捉えるには、短期のEUR/USDコール・オプションの買いを検討すべきだ。7月中旬〜下旬満期のオプションが、この一時的な上振れを取り込むうえで適している。これにより、夏後半に想定される下押し局面へのエクスポージャーを抑えつつ、上昇局面の収益機会を狙える。
この見方は、上昇が短命に終わりやすい点からも裏づけられる。ユーロ圏の最新のインフレ率は2.7%に上振れた一方、直近の製造業PMIは45.6へ低下しており、景気の弱さを示唆する。これに対し米国経済は相対的に底堅く、FRBは金利を「より長く高水準」で維持すると見込まれており、最終的にはドル優位につながりやすい。
ECB当局者も政策運営に慎重姿勢を示しており、「性急な」政策変更は不要だとしている。市場の織り込みもこれを反映しており、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)では、2026年末までに1回の利下げが実施される確率が50%未満にとどまる。したがって、シントラ会議でタカ派的なムードが生じたとしても、ユーロ押し上げ効果は一時的にとどまる可能性が高い。
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