金価格は軟化し、一時的にトロイオンス当たり4,000ドルを割り込んだ。4,000ドル割れは11月上旬以来となるが、その後は持ち直した。背景には、米国の強い経済指標と米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的発言により、金融引き締めが続くとの見方が維持され、金(イエローメタル)への下押し圧力が続いていることがある。
FRBが重視するインフレ指標である個人消費に基づく指標は、5月に市場予想通り上昇し、4%をわずかに上回った。これは3年ぶりの高水準となる。景気の底堅さが意識されるなか、利上げ観測は根強い。一方で、市場の焦点は来週金曜日の米雇用統計に移りつつある。結果が「堅調」程度にとどまり雇用者数の伸びが鈍化すれば、金利上昇への警戒感が和らぎ、金の足元の下落基調が安定に向かう可能性がある。
金価格の弱さと市場ポジショニング
金にとっては厳しい環境が続いている。価格は直近で重要なサポートである4,000ドルを割り込んだ後、小幅に反発したにとどまる。この弱含みは、FRBが追加利上げに踏み切るとの思惑によって生じており、5月のPCEインフレ率が4.1%となったことで、その見方が一段と補強された。CMEグループのデータでは、金先物におけるショート(売り)ポジションが目立って増加しており、市場心理の弱気化を映している。
労働市場の影響とトレーディング戦略
次の注目材料は、2026年7月3日(金)に公表予定の米雇用統計だ。雇用創出の鈍化が確認されれば、市場の利上げ警戒は後退しやすい。非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想の19.0万人を下回れば、景気の冷えを示すシグナルとなり、FRBのタカ派姿勢がいったん抑制される可能性がある。
急反発というより「下げ止まり」に主眼を置き、7月または8月限の金先物を対象にアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)のプット(売る権利)オプションを売却する戦略を考えている。雇用統計を控えてインプライド・ボラティリティ(IV)が高止まりしているため、プレミアム獲得の観点から魅力がある。狙いは、金が下落を止め、横ばいから小幅高で推移した場合に収益化することだ。
過去の経験則として、NFPが予想を下回った局面では、金は米ドルと強い逆相関を示しやすい。例えば2023年後半の景気減速懸念局面では、労働指標の軟化が繰り返し確認された後、利上げ期待が後退し、金が大きく上昇する展開が続いた。来週も雇用が下振れすれば、反応は同様ながら、より限定的な動きにとどまる可能性がある。
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