EUR/USDは過去1年の大半で1.14〜1.20のレンジに閉じ込められ、平均は約1.17で推移してきた。低ボラティリティの環境下では、たとえ小さなレンジブレイクでも動きが誇張されやすい。1月には1.16割れから1.20超まで上昇した後、2週間以内に1.18へ反落。さらにその後、4月中旬の1.18超から6月中旬にかけて1.14割れまで下落した。ボラティリティが抑制される一方で、予想レンジは圧縮され、ポジションサイズは拡大してきた。この組み合わせは、レンジブレイクを痛みを伴う動きに変え、結果として追随余地を最終的に抑え込む可能性がある。
テクニカルシグナルは大きく振れてきた。RSIは1月に、数週間のうちにユーロを「割高」→「割安」→再び「割高」と示唆。3月にはEUR/USDが1.14へ接近し、その水準が維持される局面で「売られ過ぎ」を点灯した。こうした背景のもと、直近の示唆は、ドルのラリーが足元の値動きに対して伸び切っているように見える、というものだ。Consensus Economicsは6月レポートで、来年同時期のEUR/USD予想1.12を最低値として位置付けた(公表時点で相場は1.15台前半)。その後、FRBとECBを巡る市場期待は改めて組み直され、次の一手は「データ次第」とのフレーミングが強まっている。
Recent Trading Range and Volatility
足元のEUR/USDは、直近四半期の大半を1.08〜1.10の狭いレンジで推移している。インプライド・ボラティリティは大きく低下しており、ドイツ銀行の通貨ボラティリティ指数は最近6.5という低水準を付けた。低ボラ環境では、このレンジからの小幅な離脱であっても体感的にははるかに大きく映り、連鎖的な動きを誘発し得る。
直近の1.06からの反発は急に感じられたが、RSIは現在、この上昇が直近のレンジ感に照らして行き過ぎつつあることを示している。3月に相場が1.10に到達した際にも同様のシグナルが見られ、その後すぐに反転した。こうした事情から、ファンダメンタルズ重視の向きであっても、RSIのようなテクニカル水準を通常以上に注視している。
Central Bank Policy And Trading Strategies
FRBとECBを巡る期待は市場でいったんリセットされており、それが足元の「小休止」を生んでいる。米国のコア・サービスインフレが4.8%超で粘着的に推移し、ユーロ圏CPIも2.6%へ小幅に上振れするなか、両中銀とも当面は様子見姿勢にある。次の大きなトレンドを決めるには、新たな雇用・インフレ指標が必要となる。
この環境下では、少なくとも今後数週間はボラティリティを売る戦略が最も合理的に映る。具体的には、1.07〜1.11を中心とするEUR/USDのショート・ストラングルやアイアン・コンドルといった戦略が、プレミアム獲得の手段として有効になり得る。ただし、低ボラがポジションの大型化を促している可能性が高く、レンジを抜けた場合には痛みが出やすい分、結果的にブレイク後の伸びが抑制される展開も想定される。
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