EUR/USDは、株式市場の売りとドイツPMIの弱い結果を受けて上値が重くなっており、米国と欧州の成長率格差(成長ダイバージェンス)という見方を改めて強めている。ドイツのサービス業PMIは48.1から46.8へ低下し、総合PMIを一段と景気縮小局面に押し込んだ。一方、ユーロ圏総合PMIは49.5で横ばいとなり、拡大局面への回帰が視野に入る水準を維持した。INGはまた、EUR:USDの2年スワップレート差が拡大し、9月以来の最大幅となっている点に加え、米ドルのリスクプレミアムが再び意識されていることを指摘している。
金融政策面では、ECBのフィリップ・レーン専務理事(チーフエコノミスト)がインフレ率は当面2%を上回って推移する可能性が高いと警告した。これは従来のハト派的なコミュニケーションと対照的で、他のECB当局者からもタカ派的な発言が増える可能性がある。短期的にはEUR/USDは1.1300試しのリスクが意識される一方、足元の水準は短期的なフェアバリュー推計を約1%下回って推移しており、FRBのタカ派観測が段階的に後退すれば中期的な回復余地もあるとみられる。
成長と政策のダイバージェンスがEUR/USDの重しに
米国と欧州の成長率の乖離が拡大するとのストーリーは勢いを増しており、EUR/USDの下押し要因となっている。ドイツのIFO企業景況感指数は直近で87.5と弱い結果となった一方、米国のインフレ率は3.0%超で粘着的に推移しており、FRBが「より長く高金利を維持する」との見方を補強している。こうしたファンダメンタルズの背景は、短期的にドル高を支持しやすい。
ECBが今月、ユーロ圏インフレ率の鈍化(足元2.4%)を受けて25bpの利下げに踏み切ったことは、FRBのタカ派的な据え置き姿勢と鮮明な対比をなす。政策および金利差の拡大は、構造的にユーロの重石となる。独米2年債利回り格差は年内で最大まで拡大しており、ドル建て資産の相対的な魅力が高まっている。
EUR/USDのポジショニングと見通し
この環境下では、今後数週間のさらなる下落に備えるポジショニングが有効と考える。1.0600近辺の行使価格のプットオプションを買い、下振れへのヘッジ、あるいは下落局面を狙う戦略を想定している。通貨ペアのインプライド・ボラティリティは相対的に落ち着いており、現時点ではプロテクティブなオプション戦略のコストは比較的低い。
短期的な下押し圧力は強いものの、2023年末に大きく反発する前に見られた状況と同様に、足元の水準は割安感が出つつあるとみる。市場がユーロ圏の先行きに対して過度に悲観的となっている可能性があり、今後数カ月の回復局面を捉える機会になり得る。数カ月単位の投資期間を想定するトレーダーにとっては、アウト・オブ・ザ・マネーのプット売りでプレミアムを獲得しつつ、いずれ下値が固まるシナリオに備える手段も考えられる。
年初来安値に近い1.0650近辺を試すリスクは高まっており、株式市場の不安定さが続けば、安全資産としてのドル需要が一段と強まりかねない。短期フェアバリューを下回って推移しているとの見方はあるものの、目先はネガティブ・モメンタムが支配的である。売りの一巡(売り疲れ)を示す兆候が出るかどうか、重要水準を注視している。
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