円は前日比0.14%下落した後、概ね横ばいで推移し、1ドル=160.65円と2024年以降の安値水準に沈んだ。もっとも、当日は円安方向ながら、G10通貨で見られたような急激な売りには発展しなかった。
ドイツ銀行は、この下げが限定的にとどまった背景として、円相場が4月下旬に日本当局の為替介入を招いた水準に近接している点を挙げた。市場が再介入のリスクを見極める中で、値動きが抑制されたという。同時に、高水準の米金利と堅調なドルが、ドル円の地合いを引き続き左右している。
市場の緊張と介入リスク
円は対ドルで160.65円近辺に張り付いており、市場は警戒感を強めている。この水準は、2024年4月に日本当局が直接介入に踏み切った重要な水準でもある。円にはなおファンダメンタルズ面での下押し圧力が残り、日米金利差は大きい。米10年債利回りが4.25%前後で高止まりする一方、日本国債利回りは1.0%近辺にある。
この緊張局面はオプション市場で明確な機会を生んでいる。参加者は大きな変動を見込みつつも、方向感やタイミングを読み切れていない。ドル円の1カ月インプライド・ボラティリティは10.5%へ上昇し、1カ月前の8%台から大きく切り上がった。向こう数週間に通常以上の急変動が起こり得るとの織り込みが進んでいることを示唆する。
ボラティリティ戦略と売買推奨
現時点では、ボラティリティを買う戦略が最も妥当だと考える。具体的には、同一の行使価格でコールとプットを同時に買うロング・ストラドルが有効となり得る。このポジションは、財務省の介入で円高が進む場合でも、介入が見送られて円安が163円方向へ進む場合でも、いずれかに大きく動けば収益機会が生まれる。
介入の可能性は低いとみて方向性を持つ投資家にとっては、アウト・オブ・ザ・マネーのコール買いが、円安(ドル高)進行から限定リスクで収益を狙う手段となる。キャリートレードの妙味はなお残るものの、介入による3〜5円規模の急反転リスクを踏まえると、スポットでの保有は危うい。オプションは損失を定義し上限を設けられる点で有効だ。
一方、ストラドル/ストラングルの売りといったボラティリティ売り戦略は推奨しない。プレミアム収入は魅力的でも、日本当局のサプライズ行動があった場合の損失が無限定に拡大し得るためだ。鈴木俊一財務相が為替動向を「高い緊張感を持って」注視すると述べた最近の発言は、安易な楽観への明確な警告と受け止めるべきである。
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