USD/CADは前日の小幅な調整を経て反発し、水曜日のアジア時間には1.3850近辺で推移した。カナダドルは原油高にもかかわらず上値が重く、リスク回避が商品連動通貨の上昇を抑え、追随買いが限定された。
WTIは中東情勢の新たな緊迫化を受け、3日続伸して1バレル=92.60ドル前後まで上昇した。イランがクウェートおよびバーレーン方面に向けて弾道ミサイルを発射したとされる。ABCニュースによれば、米中央軍はミサイルおよびドローン攻撃を迎撃し、イランのケシュム島に対して自衛目的の攻撃も実施した。市場ではホルムズ海峡の混乱リスクも意識され、エネルギー供給が逼迫して世界的なインフレ圧力が強まるシナリオが警戒されている。これにより、米連邦準備制度理事会(FRB)が高金利をより長期にわたり維持するとの見方が補強され、米ドルの下支えとなった。米経済指標もこの見方を後押しした。2026年5月のISM製造業PMIは52.7から54.0へ上昇し、4月のJOLTS求人件数は761万件と約2年ぶりの高水準に達した。
相関崩れの中で続くUSD/CADの底堅さ
足元の市場環境を踏まえると、米ドルの対カナダドルでの強さは、今後数週間にわたり持続的なトレンドになるとみられる。通常は原油価格とカナダドルの間にみられる正の相関が、強いリスク回避によって機能不全に陥っているためだ。したがって、トレーダーはUSD/CADの一段高を想定したポジション構築を検討したい。商品要因の資金フローよりも、米ドルへの安全資産需要が優勢となっている。
中東情勢を背景にWTIが1バレル=92ドルを上回っていることは、インフレ面で大きな脅威となる。エネルギー価格がこの水準で持続した前回は、2022年の供給ショック局面であり、世界的に数十年ぶりの高インフレを招いた。この過去との類似は、物価上昇圧力に対処するためFRBが金利を高止まりさせる必要がある、という論拠を強く支持する。
タカ派FRBとカナダ中銀の乖離、重要指標を控える
FRBのタカ派姿勢は堅調な経済データによって裏付けられており、「高金利の長期化」政策を正当化している。実際、金利先物市場では2026年10-12月期(第4四半期)以前のFRB利下げ確率は10%未満に織り込まれている。カナダ銀行(BoC)との政策乖離が拡大するなか、USDコールオプションの購入は、上昇局面を取り込む戦略として魅力がある。
焦点は今週金曜日の米雇用統計(非農業部門雇用者数)で、米ドルの次の主要な材料となり得る。非常に強いJOLTSを受け、市場予想の21万人を上回る結果となれば、USD/CADは直近のレジスタンスを上抜ける可能性が高い。なお、同ペアの1週間インプライド・ボラティリティはすでに7.8%へ上昇しており、指標発表を前に大きな値動きへの警戒が強まっていることを示唆する。
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