EUR/USDは火曜日、米・イラン協議を巡る強弱まちまちのシグナルと、ユーロ圏のインフレ指標の上振れを市場が消化するなかで底堅く推移した。通貨ペアは、日中高値を約1.1655まで付けた後、1.1639近辺で取引された。イランの半官半民メディアであるファルス通信は、覚書案を巡り米国とのメッセージ交換が少なくとも数日間停止されたと報じた。一方、米当局者は交渉継続に言及しつつ、ホルムズ海峡の再開や高濃縮ウランへの対応などの条件を引き続き示した。
未解決の論点が残るなか、米ドルは下支えされた。ドル指数(DXY)は99.00を上回る水準で小幅安を整理する展開となった。欧州では、速報インフレ指標でHICPが5月に前年比3.2%と、4月の3.0%から上昇。コアHICPも2.2%から2.5%へ加速し、月内のECB(欧州中央銀行)引き締め観測を補強した。米国ではJOLTS求人件数が4月に761.8万件と、3月の688.7万件から増加し、市場予想(688万件)も上回った。原油高に伴うインフレリスクがFRB(米連邦準備制度理事会)の金利見通しを左右するなか、市場の関心は水曜日のADP雇用統計、金曜日の非農業部門雇用者数(NFP)へ移っている。
地政学・景気不透明感のなかで持ち合うEUR/USD
相反する材料が交錯するなか、EUR/USDは1.1640近辺で持ち合いの様相にあるとみる。米・イラン交渉を巡る地政学的不確実性が短期的なノイズとなり、ユーロのファンダメンタルズの強さにもかかわらず上値余地を抑えている。当面は、直近高値の1.1655近辺を重要なレジスタンス水準として意識したい。
ユーロの基調の強さは、明確なインフレ指標に支えられる。5月のユーロ圏HICPは3.2%と確認され、ECB目標を大きく上回る水準で、月内の利上げ観測を一段と強めた。政策スタンスの乖離が主要ドライバーであり、ECBはFRBよりも緊迫感をもって対応していることを示唆している。
一方、米ドルはイラン関連報道を背景とした安全資産需要に支えられているが、FRBの道筋はなお不透明だ。ブレント原油が5月を通じて1バレル95ドル超で推移するなか、原油主導のインフレは依然として懸念材料で、FRBが様子見を続ける要因となり得る。今週の米NFPでは、労働市場の冷えを示す兆候が出れば慎重なFRB姿勢を裏付けるため、注視している。
デリバティブ戦略とボラティリティの考慮
デリバティブ取引では、1.1700超へのブレイクの可能性に備え、ユーロのコールオプションを買う戦略が示唆される。地政学的緊張が和らげば上昇局面に参加でき、交渉が停滞した場合でも下方向のリスクを限定できるためだ。現状は、政治ヘッドラインが一服すればユーロ高に分がある組み合わせといえる。
もっとも、相反するニュースは短期ボラティリティを押し上げている点にも留意が必要だ。EUR/USDオプションの1カ月インプライド・ボラティリティはこの1週間で7.2%から8.5%へ上昇し、オプションの購入コストが増している。コール買いは魅力的である一方、プレミアム上昇を踏まえたコスト管理が求められる。
今後数週間の主要カタリストは、ECBの政策判断と米労働市場データとなる。米雇用統計が強ければ、短期的にドル高が進み、ユーロロングのより良いエントリー機会を提供する可能性がある。そのような押し目局面では、ユーロ強気エクスポージャーの積み増しを図りたい。
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