WTIは火曜日に下落し、中心限月は1バレル=90.15ドル前後で推移、日中では0.89%安となった。市場は、イランと米国の協議の行方が揺れていることや、世界供給への影響を見極めようとしている。イランのタスニム通信は、レバノンでの攻撃を受け、テヘランの交渉団が仲介国を通じたワシントンとのメッセージ交換を一時停止したと報じた。米国はイラン港湾の封鎖を維持するとしつつ、ホルムズ海峡の再開とイランとの停戦延長に向けた合意が来週中にも成立し得るとの見方も示した。
別途、イスラエルはレバノン南部でのヒズボラに対する作戦を継続すると表明し、中東のエネルギーフローが広範に攪乱されるリスクが引き続き意識されている。生産政策面では、OPECプラスの複数加盟国が7月の生産目標を日量約18.8万バレル程度、小幅に引き上げることを検討していると伝えられ、トレーダーにとって供給面の変数が一段と増えた。次に焦点は米国の足元の需給で、火曜日後半にAPI(米石油協会)の週間原油在庫統計が公表される予定だ。
地政学的緊張の高まりの中でのボラティリティ戦略
不確実性が高いことを踏まえると、現状はボラティリティを軸とした戦略に適した環境とみる。中東での供給途絶リスクと、OPECプラスの増産の可能性が綱引きとなり、想定されるシナリオのレンジが広い。これは、相場が安定するよりも、上方向・下方向いずれかへの急激な値動きが起こりやすいことを示唆する。
地政学リスクは現実的であり、十分に織り込まれていない可能性がある。当社の見立てでは、世界の原油消費の2割超が通過するホルムズ海峡を航行するタンカーの海上保険料は、直近2週間だけで15%上昇している。CBOE原油ボラティリティ指数(OVX)は48近辺と5カ月ぶり高水準で推移しており、オプション市場が大きな価格変動に備えていることを示している。
ファンダメンタル要因と取引アプローチ
一方、供給面のファンダメンタルズは、短期間で弱気に傾き得る。2026年5月の最新EIA報告は、大きな供給障害がない前提で、第3四半期の世界供給が日量30万バレルの小幅余剰になるとの見通しを示した。今夜のAPI在庫統計で予想外の在庫積み増しが確認されればこの見方を補強し、外交面のニュースが好転する場合には価格下押し材料となり得る。
今後数週間は、特定の方向性に賭けるのではなく、このボラティリティ上昇局面からの収益機会を狙う構えだ。コールとプットを同一行使価格で同時に買うロング・ストラドルといったオプション戦略への関心が高まっている。WTIが足元の90ドル水準を大きく上回る、または下回る動きを見せれば、材料を問わず収益化が可能となる。
今回の状況は、タンカー攻撃を受けて原油価格が一時15%急騰した2019年半ばの緊張局面を想起させる。ただし、足元では当時より世界在庫が逼迫しているため、実際に供給が途絶すれば影響はより劇的になり得る。ワシントン、テヘランいずれのヘッドラインでも状況は瞬時に変わり得るため、トレーダーには機動的な対応を推奨する。
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