米国株は6月を過去最高値圏で迎え、S&P500は7,580近辺、ナスダックは5月に8%超上昇して年初来ベストの月となった。米国とイランの「60日間停戦」覚書が地政学リスクを和らげる一方、原油は月間で約17%下落し、リスク選好を後押しした。テクニカル面では、S&Pは4月上旬の安値から上昇チャネル内で切り上げており、足元はチャネル中央線を推移。トレンドが維持されれば上限方向への上値余地が示唆される。もっとも勢いは鈍化しつつあり、RSIは70.54と高水準で頭打ちの兆し。新たな買い需要が入らなければ、いったんの踊り場となる可能性がある。
サポートは明確だ。4月安値を起点とするアンカードVWAPが最初の動的な下値支持として位置し、その下には7,350近辺の水平サポートが控える。同水準は5月中旬にかけて上値抵抗から下値支持へと役割を転じた経緯がある。目先は米経済指標が目白押しで、水曜にADP雇用統計とISM非製造業景況指数、木曜に新規失業保険申請件数、金曜に米雇用統計(NFP)が予定され、FRBの政策見通しを左右する重要な試金石となる。個別では、バークシャー・ハサウェイがテイラー・モリソンに現金68億ドルで買収提案を行い、グレッグ・アベルCEO就任後初の大型M&Aとして注目され、住宅建設株は寄り前で支援材料となっている。
チャネルの勢いと戦術的ポジショニング
6月入りにかけて強い上昇トレンドに乗っているが、モメンタムの冷却は警戒を促す。S&P500は現行チャネル内で上値余地がある一方、価格が高値更新する局面でRSIが追随していない点は、典型的な「息切れ」サインだ。ロングは維持しつつも、出口戦略を近くに置いておきたい。
指数がチャネル中央に位置する現状では、上限の7,700近辺への切り上げを狙う戦術的な機会がある。この見方は、今週の重要指標を前にリスクを限定できる短期コール・スプレッドで表現できる。CBOEの最新データではプット・コール・レシオが年初来低水準の0.65まで低下しており、市場の楽観(警戒感の後退)が強い。雇用指標が弱めに出れば、ショートの巻き戻しを伴う一段高を誘発し得る。
ただし、警戒サインも踏まえ、指標が強い(インフレ・金利高につながる)場合の調整にも備える必要がある。金曜満期の安価なアウト・オブ・ザ・マネーのプットを買っておくことは、NFPによるタカ派サプライズへの妥当なヘッジとなり得る。重要ラインは7,350で、ここを割り込めば上昇トレンドが危機にあるシグナルとなる。
イベントドリブンのボラティリティとセクター注目
今週の主役は雇用統計であり、ボラティリティ取引の典型的な局面だ。VIXは足元で13近辺と、FRB見通しを動かし得る重要指標を控える局面としては歴史的に低水準にある。発表後に想定以上の値動きが出る可能性に備えるには、ロング・ストラドルまたはロング・ストラングルが有効なポジションになり得る。
また、バークシャーによるテイラー・モリソンへの買収提案を受け、住宅セクターにも注目している。住宅建設株ETF(XHB)ではコールの出来高が目立って増加し、7月限の建玉が昨日だけで20%超増えた。金利に敏感な新たなリーダー集団が台頭しつつある可能性があり、強気ポジションを検討したい。
当面の方針は、コアのロングを維持しつつ、オプションで今週の「二者択一」イベントに備えることだ。場中の下押し局面では、上昇するアンカードVWAPを最初の動的サポートとして注視する。最終的には金曜の雇用統計が、チャネル上限を試す展開になるのか、それとも7,350でトレンドを再評価するのかを左右する可能性が高い。
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