金(XAU/USD)は、金曜日に付けた「2週間ぶり高値」とされる4,600ドル近辺から反落し、米ドルが下支えを取り戻すなか、欧州時間に4,500ドルの節目を下回った。米国とイランの協議を巡る外交面の不透明感が引き続き焦点となり、交渉やメッセージのやり取りは継続中とされる一方、米側の要求が強硬化したとも報じられた。紛争が3カ月目に入るなか、提案はパキスタンなど地域の仲介国を通じて伝達されているとされ、イスラエルがレバノンでの作戦を拡大したことで、地政学リスク・プレミアムが維持されている。
ロイターによれば、イスラエル軍は900年の歴史を持つボーフォール城を制圧し、リタニ川を越えて前進した。これは2000年の撤退以降で最も深いレバノンへの進出となる。原油は金曜日に付けた1カ月超ぶり安値から反発し、インフレ懸念を高めるとともに、FRBのタカ派的スタンス観測を補強した。市場の注目はきょう発表される米ISM製造業PMI、ならびに金曜日の米雇用統計(NFP)へ移る。テクニカル面では、金は50日SMAを下回る下降パラレルチャネル内を推移しており、MACDヒストグラムは弱含みつつも減速、RSIは44近辺。弱気派は200日SMA近傍の4,411.29ドル、次いで4,303.42ドルを意識している一方、上値抵抗は4,627.52ドルおよび4,628.82ドルに位置する。
金の弱さを左右するファンダメンタルズとテクニカル要因
当社は、足元の金の弱含みは今後数週間にわたり続く可能性が高いとみている。地政学的緊張とFRBのタカ派姿勢に支えられた強い米ドルが、金にとって大きな逆風となっている。ドル指数(DXY)は足元で107を上回る数カ月ぶり高値を付けており、「主要な安全資産」としてのドルの地位が、当面は金の伝統的な役割を上回っていることを示唆する。
FRBのタカ派見通しは直近データでも補強されている。5月の消費者物価指数(CPI)は前年比3.6%と、市場予想をやや上回った。これに加え、前回の非農業部門雇用者数(NFP)が24.5万人増と堅調だったことから、市場では追加利上げの確度が高まっている。CMEのFedWatchでは、次回FOMCでの25bp利上げ確率が足元で80%超と示されており、これは利回りを生まない金の上値を抑えやすい。
現在の金相場環境における戦略的トレード設定
この弱気局面を踏まえ、当社は下落余地を取り込む手段としてプットオプションの購入を検討している。200日移動平均線近辺の4,411ドルがテクニカルな節目となっているため、7月限で4,400ドルもしくは4,350ドル近辺の行使価格は妙味がある。とりわけ金曜日のNFPを前に、この重要な長期平均線を下抜ける動きに備えつつ、リスクを限定できる戦略となる。
もっとも、インプライド・ボラティリティの上昇により、単純なプット買いはコストが増している点にも留意が必要だ。金ボラティリティ指数(GVZ)は18近辺で推移しており、年初来の低水準から上昇している。このコストを相殺するため、ベア・プット・スプレッドの構築がより現実的な選択肢となり得る。たとえば4,300ドル近辺(チャネル下限付近)に低い行使価格のプットを売り建て、4,400ドルのロング・プット購入資金を一部賄う構成が考えられる。
戻り売りで弱気見通しを表現したい向きにとっては、4,628ドル近辺のレジスタンスが明確な機会となる。同水準は50日移動平均線にも裏付けられた強い上値の蓋とみている。ショート・ストライクを4,650ドル超に置いたコール・クレジット・スプレッドを組成すれば、プレミアムを受け取りつつ、地政学情勢が想定外に沈静化し金が上昇した場合のリスクを限定できる。
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