英ポンドは木曜日も上値の重い展開が続き、英中銀(BoE)が政策据え置きを決めたことを受けてGBP/USDは約2カ月ぶりの安値となる1.3200近辺まで下落し、1.3220も割り込んだ。政策金利(バンク・レート)は市場予想通り3.75%に据え置かれた一方、2人の政策委員が利上げを支持し、スワティ・ディングラ委員がヒュー・ピル委員に加わった。BoEはまた、今年のインフレ見通しを下方修正し、基調的な成長率見通しを4月時点の推計より引き上げた。
これに先立つ英国の労働市場指標は強弱まちまちだった。失業率は4月までの3カ月で5.0%から4.9%へ低下し、横ばい予想に反して改善。雇用者数は前回の14.8万人から10.0万人増へ鈍化したものの、市場予想(8.0万人)を上回った。賃金の伸びは底堅く、賞与除く平均賃金は前年比3.4%(予想3.2%)、賞与込みは同4.4%と横ばいだった。一方、ドルは米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を3.50%〜3.75%に据え置いた後に上昇。声明から緩和バイアスを示唆する文言が削除され、年末までの利上げをおよそ半数の理事が見込む見通しが示された。
政策の乖離がポンド安トレンドを加速
FRBのタカ派的なトーンと、BoEの据え置き判断の間には明確な乖離がある。この政策ギャップは、英ポンドが対ドルで引き続き弱含む可能性を強く示唆する。したがって、GBP/USDが1.3200を明確に下抜ける場合、とりわけ一段の下落に備えたポジショニングを想定したい。
ドル高は、新議長の下でのFRBのフォワードガイダンスに支えられている。CMEのFedWatchツールによれば、市場は9月会合までに少なくとも1回の利上げが行われる確率を70%超で織り込みつつある。米金利上昇期待が資金を呼び込み、ドルを押し上げている。
トレーディング戦略と市場見通し
失業率の4.9%への低下や堅調な賃金の伸びといった英国の内需指標は評価できるものの、BoEの「動かない」姿勢にかき消されている。市場は据え置きを、FRBほどインフレを警戒していないシグナルと受け止めており、当面はポンドの相対的な魅力を低下させている。
この状況を踏まえ、トレーダーは7月下旬〜8月満期のGBP/USDプットオプションの購入を検討すべきだと考える。この戦略は、1.3000〜1.3100への下落局面から、リスクを限定しつつ収益機会を狙える。3月に付けた年初来安値1.3160を下抜ければ、下落モメンタムが加速する可能性がある。
この局面は、政策の方向性の違いがポンドの持続的な下落トレンドを招いた2014〜2015年の局面を想起させる。ただし、英国の賃金データの強さがBoEを予想外にタカ派へ転じさせるリスクには留意が必要だ。次回の英国消費者物価指数(CPI)発表が、その見方を形成する上で重要となる。
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