円は水曜日、対ドルで小幅に上昇し、USD/JPYは160.20へ軟化した。ただし、依然として160.00を上回って推移しており、同水準は日本当局にとって「許容範囲の外縁」と見なされている。米・イラン和平合意に関連した限定的なリスクオンの地合いに加え、米連邦準備制度理事会(FRB)の決定を前にした慎重姿勢が、ドルの一段高を抑える要因となった。
FRBは、ケビン・ウォーシュ議長の初会合で政策据え置きが見込まれている。焦点は、投票権を持つ委員として残る前議長ジェローム・パウエル氏との比較における、ウォーシュ氏の記者対応(コミュニケーション)に移りそうだ。市場はFRBの経済・金利見通しも消化する見通しだが、ウォーシュ氏がドット・プロット(政策金利見通し)への関与を避けるとの噂もある。日本では、5月の貿易統計で赤字が市場予想より縮小し、輸出は予想を上回ったほか、機械受注も再び上振れサプライズとなったものの、市場の反応は限定的だった。なお日銀は先に政策金利を31年ぶり高水準の1%へ引き上げたが、依然として主要中銀の水準を下回る。
米日金利差と介入リスク
USD/JPYは160.20近辺という重要な分岐点に位置しているとみる。主因は大きな金利差で、実効FF金利が3.75%であるのに対し、日銀は1%にとどまる。この275bpの差は、円を借りてドルを買う取引の収益性を引き続き高めている。
160.00を上回っていることから、日本当局による公式介入のリスクは極めて高い。2024年春にも同様の強い介入が見られ、推定600億ドルが円防衛に投じられ、USD/JPYは急速に5円下落した。こうした急変の再来に備える手段として、アウト・オブ・ザ・マネーの円コール(JPYコール)を購入するのは、コスト効率の高いポジショニング手段となる。
FRB不確実性、地政学リスク、オプション戦略
今回のFRB決定は、とりわけ新議長の下で不確実性を一段と高める。市場が想定する「据え置き・データ依存」からの逸脱があれば、大きなボラティリティを引き起こし得る。発表後の急変動を捉える戦略として、ロング・ストラドルなどオプションを用いた「ボラティリティ保有」が有効だと考える。
中東和平合意をめぐる報道がリスクオンのムードを醸成している一方、当社は慎重姿勢を維持する。VIX指数が16近辺で推移していることから、市場は完全に楽観に傾いているわけではなく、情勢が再び緊迫化すれば安全資産志向の動きが強まり、ドル高要因となり得る。この地政学的緊張は、多くの通貨に対するドルの下値を支える。
介入リスクがあるにもかかわらず、大きな利回り優位はドルへのキャリートレード資金流入を引き続き呼び込む見通しだ。これらのUSD/JPYロングを保有するトレーダーは、オプションで下方リスクをヘッジすべきだと考える。介入が入れば、数週間分のキャリー収益が数時間で消える可能性があり、プロテクティブ・プットはビジネスコストとして不可欠となる。
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