ユーロ圏のHICP(消費者物価指数・調和指数)は5月に前月比0.1%上昇し、市場予想と一致した。この結果は、月次ベースの消費者物価の変化が安定的なペースで推移し、想定からの乖離がなかったことを示す。
公表値がコンセンサス予想に沿ったことで、短期的なインフレ見通しは概ね不変となった。HICPが前月比0.1%にとどまる中、物価圧力の方向性をより明確にするため、今後の指標発表に注目が集まりそうだ。
ECBの政策見通しとインフレ動向
5月のインフレ率(前月比0.1%)は予想通りで、市場にとって目先のサプライズはなかった。これは、欧州中央銀行(ECB)がごく短期的に急な政策変更を迫られる状況にないとの見方を補強する。向こう数週間は安定が続くサインと捉える。
ただし、月次の数字にとどまらず、年率に目を向ける必要がある。直近では前年同月比が2.6%へ上振れし、ECBの目標である2%をなお頑強に上回っている。主因はサービス価格インフレで、高水準の4.1%と粘着的に推移している。この「粘り」は、ECBが利下げを実施した一方で、追加利下げの道筋がこれまで以上に不透明になったことを示唆する。
本データは、ECBが7月会合で「様子見」姿勢を採るとの見方を支持し、追加利下げは起こりにくいと考える。こうした前提から、翌月の追随利下げ確率を低めに織り込むよう、EURIBOR先物のポジションを調整している。市場もすでに期待を後退させており、年末までに追加利下げは最大でもあと1回程度の織り込みにとどまっている。
市場の反応と短期見通し
目先のデータリスクが後退したことで、Euro Stoxx 50などの指数のインプライド・ボラティリティは低位で推移しやすい。VSTOXX指数はすでに年初来低水準に近い13前後で取引されており、市場の安心感(警戒感の低下)を示唆する。レンジ相場となる公算が大きく、短期のオプションを売ってプレミアムを得る戦略は魅力的だとみる。
今後数週間の焦点は、経済指標から中銀関係者の発言へ移る。賃金上昇とサービスインフレの持続性に関するECB高官の見解の手掛かりを得るため、講演や発言を注視する。彼らのトーンが、次の市場方向性を決める主要なカタリストとなりそうだ。
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