WTIは5日続落し、欧州時間水曜日は1バレル=75.60ドル近辺で推移した。市場は、金曜日にスイスで署名される見通しの米国・イラン暫定合意がもたらす影響を見極めている。同合意はテヘランに広範な経済的インセンティブを提示し、イラン産原油輸出の即時再開を可能にすると見込まれる。海運データによれば、イラン産原油を積載した少なくとも3隻のタンカーが今週すでに米海軍の封鎖を通過した一方、4隻目の船舶(現在は空船)はオマーン湾に向かっている。ホルムズ海峡の通航がどの程度の速さで全面回復するかを巡る不透明感が、下値を一定程度抑制した。
中東産グレードのプライシングは軟化し、指標はディスカウント圏に入り、短期の供給逼迫が緩むサインとなった。ロイターデータでは、ドバイのスワップに対するプレミアムが火曜日に46セントのディスカウントへ低下し、1月以来初のコンタンゴとなった。また、スポットのオマーンとムルバンのディファレンシャルも、それぞれ67セント、49セントのディスカウントに転じた。期近カーゴが期先を下回るコンタンゴへの移行は、政治面で進展が見られる一方、海峡経由の実物流が依然として平常時の水準を下回っていることを背景としている。
米国・イラン合意とWTI下落の市場への影響
今週金曜日に米国・イランの暫定合意が予定されるなか、市場は地政学リスク・プレミアムを織り剝がす形でWTIが下落している。足元の75.60ドル近辺は、新たな供給が早期に市場へ流入するとの見方を反映する。現時点で原油相場を最も左右しているのは、この外交面の進展だ。
市場は日量100万バレル超のイラン産原油を近く吸収する必要に迫られる見通しで、これは相応の規模となる。将来の可能性にとどまらず、最新の米エネルギー情報局(EIA)週報では在庫が前週比210万バレル増とサプライズの積み増しが示された。これらのデータは、供給環境が急速に緩和していることを裏付ける。
最も明確なシグナルは現物市場にあり、主要ベンチマークがコンタンゴ構造へ反転した。期近の原油が先物のより先の受渡し分より割安になる局面は、足元の需給が潤沢であることを示す。これは下落圧力を確認する強い弱気材料とみている。
戦略的ポジショニング、リスク、OPEC+の反応
こうした環境を踏まえ、今後数週間のWTIには一段安余地があるとの前提でポジションを構築している。デリバティブ戦略は、プットオプションの買い、先物でのショート構築といった弱気寄りが想定される。新規供給が現実化するにつれ、原油価格は下方向が「抵抗の少ない道」となりやすい。
もっとも、世界消費のおよそ20%を担うホルムズ海峡を通過するタンカー実物流には注意が必要だ。合意が見込まれる一方で、通航能力の全面回復に現場レベルの遅延や物流上の支障が生じれば、短期的な価格急騰を招き得る。したがって、基調は下向きでもボラティリティは高止まりする可能性がある。
OPEC+の反応にも注目している。イラン産原油の再参入は、前回の生産合意に十分織り込まれていなかった可能性がある。過去(2023年末など)には、需要の弱含みや供給見通しの上振れに対して価格防衛のため減産に踏み切る姿勢を示してきた。年後半に向けた新たな価格の下値メドを形成するうえで、同グループの判断が重要となる。
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