BNYのコメントでは、地政学的な緊張緩和に伴うリスクセンチメントの改善がみられるものの、市場の関心は依然として中央銀行政策と世界経済成長の持続性から逸れていないと指摘した。インフレ、金利、資本フローを巡る懸念が引き続き取引環境を規定しており、全体の地合いが落ち着いて見える局面でも、こうした要因が市場の方向感を左右している。
市場は、ECB(欧州中央銀行)の引き締めの影響を見極める一方で、FRB(米連邦準備制度理事会)と日銀の今後の判断も織り込みつつあり、「金利はより長く高止まり(higher for longer)」する可能性を意識している。中国については、外需と格付けの安定が下支え要因とされる一方、株式からの資金流出の継続や守りの債券買いは、世界成長と市場の持続性に対する慎重姿勢が根強いことを示唆する。
中央銀行決定を前にした市場ボラティリティとポジショニング
地政学リスクが後退しても、市場の注目は中央銀行政策と世界成長に釘付けのままだ。直近の米5月CPIは前年比3.1%と小幅に安心材料となったが、「高金利の長期化」という金利見通しを大きく変えるには至らない。したがって、今月後半のFOMCを前に、フェデラルファンド(FF)先物のオプションを用い、「タカ派的な据え置き(hawkish pause)」に向けたポジションを構築している。
中央銀行の判断を前にした不透明感がボラティリティを高止まりさせており、VIX指数は19近辺で推移している。急激な市場変動に備えたヘッジを保有することが賢明とみている。FRB発表後に上下いずれかへ大きく動く局面から利益獲得を狙い、SPX(S&P500)指数のストラドルの活用を検討している。
世界の中央銀行政策・為替市場・短デュレーション戦略
世界的にみるとECBはタカ派姿勢を維持している一方、日銀が近く政策修正に動くとの観測がくすぶり、ドル/円は162円近辺の数十年ぶり高値圏へ押し上げられている。こうした環境では、ヘッジや投機の手段として通貨デリバティブがとりわけ注目される。日銀からのシグナル次第では、キャリートレードの急速な巻き戻しが起き得るため、動向を注視している。
中国では輸出が前年比5%増と一定の支えになるものの、資本流出が続いており、前四半期には海外投資家が本土株から150億ドル超を引き揚げた。これは回復の持続性に対する警戒が残ることを裏付ける。追加的な下振れに備え、中国関連ETFのプットオプションをコスト効率の高いヘッジとして購入している。
全体として、利回りは高水準が続きやすく、成長志向資産には逆風となり得る。歴史的に、このような局面では短デュレーションの戦略が優位となりやすい。長期国債ETFのオプションを用い、利回りが高止まり、あるいは一段と上昇するシナリオに向けたポジションを継続している。
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