地政学的な緊張緩和を受けて為替市場がリスクを再評価するなか、日本円が再び注目を集めている。米国とイランの合意を受けたホルムズ海峡の再開はリスク資産を下支えし、市場の関心はクロスマーケットでのポジショニングとキャリートレードの持続力へと移っている。
短期的な方向性を左右しているのは金融政策の乖離だ。市場は円(JPY)・韓国ウォン(KRW)・米ドル(USD)の力学とともに、為替介入リスクを注視している。参加者はECBの引き締めの影響を見極める一方、利下げ観測が後退し「高金利の長期化」を織り込みつつある世界的な環境のもと、今後のFOMCと日銀会合も視野に入れている。
円への下押し圧力と政策乖離
ホルムズ海峡の再開でリスク選好が強まるなか、円には改めて下押し圧力がかかっている。主因は、米連邦準備制度理事会(FRB)と日銀の際立った政策スタンスの違いだ。この環境は引き続き、対ドルで円を売る流れに追い風となっている。
足元のドル円(USD/JPY)は165円水準を試しており、過去に当局が口先警戒を強めてきた領域でもある。FF金利が4.75%で推移する一方、日銀の政策金利は0.1%にとどまり、金利差がキャリートレードの妙味を高めている。円を借りて高金利資産を購入するポジションの積み上がりが確認されている。
介入リスクとトレーディング戦略
財務省による介入リスクが高いことを踏まえ、単純なスポットの建玉は推奨しない。1カ月物インプライド・ボラティリティは11%まで上昇しており、二方向のリスク管理にはオプションが有用だとみる。USD/JPYのコールオプションを買うことで、上値余地を取り込みつつ損失を限定する戦略が有効と考える。
次の主要材料は、今後予定される主要中銀会合だ。来週の日銀会合ではトーンの変化があるかを注視する。可能性は高くないものの、ゼロではない。発表直後の価格反応を狙うには、ウィークリー・オプションを用いた短期の戦略も検討余地がある。
2022年後半および2024年の介入局面では、ドル円が数円規模で急落する局面が見られた。当局が動くタイミングは見極めが難しいが、現在の円安ペースは当局にとって看過しづらい水準に近づいている可能性がある。こうした過去の前例を踏まえ、レバレッジをかけたスポット取引よりも、リスクを限定したアプローチを重視したい。
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