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トランプ氏が米・イラン合意でホルムズ海峡再開を示唆、WTIは80ドル割れ

by VT Markets
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Jun 15, 2026

NYMEXのWTI先物は欧州時間の取引で4%超下落し、約79.50ドルとなった。ドナルド・トランプ氏が、6月19日にスイスで署名予定の対イラン覚書(MOU)を受け、ホルムズ海峡が再開され、米海軍の封鎖が解除されると述べたことが材料視された。同海峡は世界のエネルギー供給の約20%を運ぶ要衝で、イラン国営メディアは再開はイラン側の取り決めの下で30日以内に実施されると報道。Seatrade Maritime Newsも封鎖解除は30日以内になると伝えた。

テクニカル面では、WTIは20日指数平滑移動平均(EMA、89.44ドル)を下回った状態が続き、RSIは34.84。下落が続く場合、次の水準として4月17日安値の78.88ドル、次いで3月10日安値の75.95ドルが挙げられ、さらに70.00ドル、2月27日高値の67.74ドルが下値支持として意識される。価格要因としては、需給、政治的不安定・制裁、米ドル、OPEC(12カ国)の生産枠決定が挙げられるほか、APIとEIAの在庫統計も相場を動かす。両者の報告は通常、75%の確率で差が1%以内に収まるとされる。

米・イラン合意が原油価格に与える影響

米・イラン合意の発表を踏まえると、原油価格の当面の道筋は下方向とみる。日量約2,100万バレルの原油が通過するチョークポイントであるホルムズ海峡の再開は、これまで価格を高止まりさせてきた世界的な供給不安を根本的に緩和する。80ドル割れを伴う初動の4%下落は、市場に積み上がっていた地政学リスク・プレミアムが巻き戻される中で、より大きな下落局面の入り口となる可能性が高い。

向こう数週間では、この弱気のモメンタムを捉える最も直接的な手段としてプット・オプションを有効と考える。テクニカルの主要サポートに重なる75ドルおよび70ドル水準をターゲットとする行使価格に注目する。今回のニュースでインプライド・ボラティリティは急上昇しており、WTIに強い方向性の見通しを反映させる手段としてオプションは有効だ。

リスク、ボラティリティ、過去の類似事例

今回のニュースに加え、直近の在庫統計も重なる。6月10日のEIA統計は在庫が210万バレル増と市場予想外の積み増しとなり、需要がやや軟化している可能性を示唆した。今週水曜日の統計は、この傾向を確認する上で焦点となり、トレンドが確認されれば下落を加速させ得る。在庫が予想に反して増え続ける場合、下方リスクは大きいとみる。

もっとも、合意の実施は「30日以内」とされ、最終条件は6月19日に署名される予定である点には注意が必要だ。遅延や合意内容の影響の小ささが示唆されれば、ショート・カバーを伴う急反発が起きる可能性がある。エネルギーインフラの損傷が報じられていることも、供給の市場回帰が想定ほど進まないリスクとして無視できない。

過去の類似事例としては、2015年のJCPOA(イラン核合意)が参考になる。同合意後、市場が日量100万バレル超のイラン産原油の段階的な回帰を織り込む中で、原油価格は数カ月にわたり下落基調となった。この前例はさらなる弱含みを示唆する一方、現状の市場は2015年当時よりも余剰生産能力が小さい。これにより、戦前水準よりも高い水準、例えば70ドル近辺が下値の目安となる可能性がある。

合意実施のタイムラインと実際に戻る供給量をめぐる不確実性は大きく、高ボラティリティ環境を形成する。方向感には自信がないが値幅の拡大を見込む向きには、ロング・ストラドルなどのオプション戦略が有効となり得る。今後1カ月、合意の詳細が消化される過程で、原油ボラティリティ指数は高水準を維持すると見込む。

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