インドルピーは対米ドルで堅調に始まり、USD/INRは94.60近辺まで下落した。米国とイランが覚書(MoU)を最終化したことが確認され、原油価格が下落したことが背景。インド時間序盤、MCX原油先物(6月18日限)は5.5%安の7,630前後と、約2週間ぶりの安値を付けた。別途、パキスタンの首相はMoUが6月19日にスイスで署名されると述べたほか、米国およびイラン側の声明では軍事作戦の停止やホルムズ海峡の通航(アクセス)に関する変更に言及があった。
ポートフォリオ・フローは引き続き重しとなったが、ペースは鈍化。外国機関投資家(FII)は6月これまでに4兆6,430億4,200万ルピーを売り越し、10営業日平均で4,643億ルピーの売り越しとなった一方、直近2セッションの平均は1,534億6,300万ルピー。データ面では、5月の卸売物価指数(WPI)インフレ率が前年比9.68%となり、市場予想の9.1%と4月の8.3%を上回った。テクニカルでは、USD/INRは20日指数平滑移動平均(EMA、95.33)を一段と下回り、RSIは42近辺。上値抵抗は95.33、続いて96.00、下値支持は94.46、次いで94.03が意識される。
ルピー一段高を見据えたポジショニング
ルピーが94.60まで急伸したことを踏まえると、今後数週間のさらなるルピー高に向けたポジショニングを検討したい。USD/INRのプットオプション買い、または先物のショートを想定し、初期ターゲットは直近安値の94.46、次いで94.03に設定する。20日移動平均線を割り込んだことは、新たな下落モメンタムの強さを示唆する。
この動きはファンダメンタルズ面でも正当化される。原油価格の急落は、インドにとって大きなマクロ面の追い風だ。インドは原油の85%以上を輸入に依存しており、価格下落が継続すれば輸入額を大幅に押し下げる。歴史的には、原油価格が1バレル当たり10ドル下落すると、インドの経常赤字は約0.5%改善し、海外からの投資資金を呼び込みやすい。
5月のWPIインフレが高めに出た点は、足元では懸念材料になりにくい。原油安によるディスインフレ・ショックが遅行指標である今回データの影響を相殺し、先行きのインフレ期待を抑制すると見込まれる。これにより、インド準備銀行(RBI)が短期的に利上げに踏み切る可能性は低下し、政策環境の安定につながる。
株式、原油、構造変化
エネルギーコストの低下は多くのセクターで企業収益を押し上げるため、インド株には力強い上昇相場が見込まれる。FIIの売り越しがすでに鈍化しているなか、この好材料をきっかけに、2014〜16年の原油安局面で見られたような資金流入への反転が起きる可能性がある。NiftyおよびSensex先物でロングを積み上げる機会と捉える。
原油そのものについては、ホルムズ海峡の再開が示すのは一時的な事象ではなく、世界供給の構造的な増加である可能性が高い。短期的に原油価格が反発する局面は、売り場とみなすべきだ。足元のMCX価格7,630近辺は、6月19日の署名を経てイラン産供給が正式に国際市場へ再流入するにつれ、さらなる下押し圧力に直面しやすい。
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