エリオット波動原理(EWP)の枠組みに市場のブレッドス(上昇銘柄比率など)を組み合わせた分析では、S&P500(SPX)が約7,570ドル近辺にあった6月3日時点で、複数カ月に及ぶ大きな時間軸での下落に向かう「証拠の積み上がり」が示唆された。その後、指数は火曜日に7,237ドルまで下落した後、7,456ドルへ反発した。次の想定レンジは6,840~7,075ドルへの下方向で、(グレー)c/iii=a/iからc/iii=1.618×a/iまでのフィボナッチ関係に基づく。前提条件は、SPXが7,598ドルを上回らないこと、かつ7,598ドルが7,598~7,598ドルに対する当面の上値上限(レジスタンス)として機能することにある。
6月上旬の短期動向は、波動カウントとターゲットゾーンを軸に追跡した。6月4~5日向けに公表した週次ロードマップでは、安値更新の後に7,595ドル±10の反発、その後7,490ドル±30に向けた押しを想定。SPXは6月4日に7,516ドルで始まり、7,598ドルまで上昇した後、6月5日に7,368ドルまで下落した。6月8日の上昇日と6月9日の反転を経て、(オレンジ)5波の下落は完了と判断し、3波からなる修正反発局面を示唆:W-aは7,380~7,430ドル(実績7,396ドル)、W-bは7,300ドル±25(実績7,257ドル)、W-cは7,465~7,530ドル(現時点の高値7,456ドル)と設定した。
見通しとマクロ環境
足元の市場構造を踏まえると、S&P500は数カ月に及びうる大規模下落の初期局面にあるとみている。直近の上昇は一時的な戻りであり、次の下げに向けたポジショニング機会を提供している。今後数週間で6,840~7,075ドル近辺への下落を想定している。
このテクニカル見通しは、景気・物価指標にも裏付けられる。最新の5月CPIは前年比3.8%と市場予想を上回り、インフレの粘着性が示されたことで、FRBの利下げを難しくし得る。加えて、VIXは安値圏から上昇基調にあり、直近では18を上回って引けている。これは市場の警戒感がじわりと高まっているサインといえる。
トレーディング戦略とリスク管理
トレーダーにとっては、7,598ドル水準に向けた上振れは弱気(ベア)ポジション構築の機会として捉えるべきだ。想定される下落局面を狙い、満期が7月下旬または8月のSPX/SPYプット・オプションの購入を検討している。これらは、急落局面での収益機会を取り込みつつ、リスクを限定できる手段となる。
別案として、重要な7,600ドル抵抗帯の上にショート・ストライクを置くコール・クレジット・スプレッドの売りも検討している。この手法は、指数下落とタイム・ディケイ(時間価値の減衰)の双方から収益化でき、S&P500が主要な無効化水準を上回らない限り有効だ。単純なショートよりも勝率面で優位性が見込める。
先物取引については、/ESでのショート構築が明確なシグナルとみており、損切り(ストップ)は7,598ドル高値の直上に設定する方針だ。この水準が現状の弱気シナリオにおける「一線」であり、上抜けた場合は直ちに見立ての再評価を迫られる。
今回の局面は、2008年に見られたような「ベア相場のだまし上げ」に近い。急反発が、その後の一段安の前触れとなることが少なくない。短期的な強さに安心感を誘われず、規律を維持する必要がある。総合的にみて、近い将来に向けて市場はより低い水準を示唆している。
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