WTIは金曜日のアジア時間序盤に1バレル=85ドル近辺で取引され、その後は84ドル台で2カ月ぶりの安値を更新し、4月中旬以来の低水準へ下落した。ホワイトハウスが「イランとの合意はテヘラン側の署名待ち」と明らかにしたほか、ドナルド・トランプ米大統領が「署名され次第、ホルムズ海峡は再開する」と述べ、さらに予定していた攻撃を中止したことが材料となった。イランのFARS通信は、米国がイラン提示の文言を受け入れたと報じ、合意承認の可能性が高いと示唆した。一方で、原則合意には最高指導者ハメネイ師の承認がなお必要だとする別報も伝わった。
テクニカル面では、WTIは4時間足で弱気基調が継続している。価格は20期間、100期間、200期間の各SMA(88.12ドル、90.85ドル、94.70ドル)を下回って推移し、RSIはネガティブなモメンタム指標とともに38近辺へ低下している。上値抵抗は88.12ドル、次いで90.85ドル、94.70ドル。下値支持は83ドル、その下は80ドル、さらに4月安値の78.88ドルが意識される。
地政学的展開と市場への影響
新たな地政学環境を踏まえると、WTIが85ドルを割り込んだ直近の動きは一時的な下振れではなく、ファンダメンタルズの変化を示すものとみる。中東リスク・プレミアムの剥落により、市場の焦点は供給過剰の可能性へ移り、当面の取引環境が変化する。
ホルムズ海峡が全面的に再開する可能性は重要だ。同海峡は日量2,000万バレル超の原油が通過しており、世界消費のおよそ21%に相当する。現時点の推計では、合意が最終化してから6カ月以内にイランは少なくとも日量100万バレルの増産が可能とされる。この新規供給は、向こう数週間の大幅な価格上昇を抑え込む公算が大きい。
ボラティリティ、トレーディング戦略、過去事例
インプライド・ボラティリティの急低下が確認されており、CBOE原油ボラティリティ指数(OVX)はこの1週間で15ポイント超下落し、足元では28近辺で推移している。レンジ相場とボラティリティ低下の双方を狙えることから、オプションのプレミアム売り戦略は魅力が増す。88ドルのレジスタンス水準を上回る行使価格で、ベア・コール・スプレッドの構築を検討している。
先物市場ではWTIカーブのフロントが一段とコンタンゴを深め、短期的な供給過剰期待を示唆している。88.12ドルの移動平均線付近への戻りは、新規のショート(売り)を構築する好機とみる。当面の目標は心理的節目である80ドルのサポートだ。
今回の局面には過去の類似例がある。2015年のイラン核合意が初めて公表された後、原油価格はその後6カ月で30%以上下落し、長期の低迷局面となった。80ドルのサポート割れは十分にあり得るとみており、その場合、4月安値の78.88ドル近辺の試しに向かう道が開ける。
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