米ドル指数(DXY)は、序盤に3カ月ぶり高値を付けた後に99.60まで低下した。米国の5月コアPPIは前月比+0.4%と加速し、前年比では+4.9%と高止まりしたものの、ドルは軟化した。ドル安を背景に主要通貨ペアは広く反発し、EUR/USDはECBが25bp利上げを実施した直後の下押しをこなして1.1580近辺へ持ち直した。GBP/USDは1.3420近辺まで上昇。USD/JPYは、米国債利回りの高止まりによる下支えよりもドル安が勝り、160.00を割り込んで159.70へ低下した。AUD/USDは2カ月ぶり安値圏での取引後、0.7050台を回復した。
商品市場では、ドナルド・トランプ大統領が交渉進展を理由に対イラン追加爆撃を見送る意向を示したことを受け、WTIは1バレル=87.00ドル近辺で推移。金はドル安が需要を下支えし、4,190ドル近辺まで上昇した。6月12日(金)の主な予定は、日本の4月鉱工業生産、英国の第2四半期インフレ期待のほか、米ミシガン大学消費者態度指数(6月)と同インフレ期待(6月)。WTIは米国産の代表的指標原油で、クッシングのハブを通じて流通する。価格は需給、米ドル、OPECの生産枠、APIとEIAが公表する週間在庫統計に左右され、APIとEIAの数値は通常、約75%のケースで±1%以内に収まるとされる。
米ドル反転と戦略上の含意
今回の米ドルが3カ月ぶり高値から急反転した動きは、現時点で最も重要なシグナルである。生産者物価指数(PPI)が前年比+4.9%と根強いにもかかわらず市場がドルを売っていることは、FRBの引き締め局面がピークアウトしつつあるとの見方を示唆する。短期的なドル安の恩恵を受ける戦略を検討すべき一方、ミシガン大学消費者態度指数の発表を前に慎重姿勢は維持したい。
ECBが7月の一時停止の可能性を示唆したことで、今回の利上げがあってもユーロの上値は抑えられやすい。これは、EUR/USDが1.1600水準を大きく上抜けるのは容易ではないことを示す。ユーロの上昇余地が限定的になったとの見立てを生かし、アウト・オブ・ザ・マネーのコールオプションを売る戦略に妙味があるとみる。
商品見通しと主要な市場リスク
エネルギー市場では、イランを巡る緊張緩和が原油価格から地政学リスクプレミアムの一部を剥落させている。WTIが87ドル近辺で推移するなか、この政治的進展は一段高を抑える要因となり得る。EIA統計で原油在庫の小幅な積み増しが示されたことも、価格の上値が重くなりやすいとの見方を補強する。
金が4,190ドル近辺まで上昇しているのは、ドル反落と基調的なインフレ警戒の直接的な反映だ。トレンドは強いものの、価格水準は歴史的に高く、ドルが持ち直せば急反落しやすい。コール・スプレッドなどのオプションを用いて上昇余地を取りに行きつつ、リスクを厳格に限定したい。
USD/JPYが160.00をわずかに下回る水準で取引されている点にも注視している。2020年代半ばに同水準まで上昇した局面では、日本銀行による介入示唆が常に市場材料となっていた。日本当局主導で突然かつ急激な反転が起きるリスクは、現在きわめて高い。
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