米ドル指数(DXY)は木曜日、ドナルド・トランプ米大統領が当日夜に予定されていた対イラン攻撃を中止したと述べたことを受けて反落した。これにより、米国がイランを「非常に強烈に」攻撃し、ハルグ島など石油インフラを標的にすると警告した後に強まっていたドル高の勢いが削がれた。DXYは一時100.31と2カ月超ぶりの高値を付けた後、99.85近辺で取引された。湾岸地域の緊張は、今週の報復的措置(イランがホルムズ海峡付近で米軍のアパッチ・ヘリコプターを撃墜したことなど)で高まっている。一方、ニューヨーク・ポストが「テヘランが新たな合意案の草案をカタールの仲介者に送り、ワシントンに伝達するよう求めた」と報じるなど、外交ルートは引き続き稼働している。
ドルの下げは限定的だった。市場では、エネルギー起因の物価圧力が続けば、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引き締めを強める可能性があるとの見方が意識されたためだ。5月の生産者物価指数(PPI)は前年比6.5%と、4月の5.7%から上昇。消費者物価指数(CPI)も前年比4.2%と、4月の3.8%から上振れし、2023年4月以来の高水準となった。コア指標は比較的落ち着いており、コアPPIは4.9%で横ばい、コアCPIは2.8%から2.9%へ小幅に上昇した。焦点は金曜日に公表される6月の米ミシガン大学消費者態度指数(速報値)に移っており、1年先・5年先のインフレ期待が注目される。
安全資産需要とインフレ圧力
米ドル指数は105.50近辺で底堅さを維持しており、地政学的不確実性と根強いインフレの組み合わせが支えとなっている。中東情勢の緊張が安全逃避の動きを促した過去の局面と同様に、足元の世界的な摩擦がドルの安全資産としての魅力を強めている。この環境下では、国際紛争の予想外の沈静化が起きれば、ドルは急落する可能性があるものの、その後退は一時的にとどまる公算が大きい。
ドル高の主因は、なお粘着性の高い国内インフレにある。最新の2026年5月のCPIは前年比3.1%となり、FRBの目標を依然として大きく上回った。こうした持続的な物価圧力は、FRBが緩和に転じる余地を狭め、市場は引き続きタカ派姿勢への警戒を強めている。
市場の反応と戦略上の考慮点
インフレの粘着性を踏まえ、先物市場では年内にFRBが追加利上げを行う確率をおおむね25%程度と織り込みつつある。こうしたセンチメントは、ドル高またはドル高進行の恩恵を受ける戦略を下支えする。DXYのコールオプションを買う、あるいはユーロ/ドルのような通貨ペアでプットオプションを買うことは、ドルの底堅さが続く局面に備える有効なポジショニングとなり得る。
エネルギー価格の高止まりは、このインフレ環境の重要な構成要素となっており、WTI原油は一貫して1バレル=85ドル超で推移している。これが生産者物価と家計コストに直接波及し、FRBのかじ取りを一段と難しくしている。エネルギー市場は注意深く監視すべきで、原油がさらに急騰すればFRBの判断を迫り、為替市場で大きなボラティリティを引き起こす可能性がある。
今後数週間は、次回のCPI公表とミシガン大学の消費者マインド調査(速報)に注目が集まる。これらの統計はインフレ期待を測るうえで重要であり、FRBのメッセージ形成にも影響する。発表に向けてインプライド・ボラティリティの上昇が見込まれ、値動きを取りに行くオプション戦略が収益機会となる可能性がある。
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