野村は、スイス国立銀行(SNB)が6月18日の会合で政策金利を0.00%に据え置くとみる。インフレ動向は引き締めを促す材料に乏しい。エネルギー価格の上昇でインフレ率は加速しているものの、コアインフレは低水準にとどまり、景気指標は強弱まちまちで、イラン戦争に伴う不確実性も続いている。
焦点は引き続き為替政策となりそうだ。前回会合以降、SNB当局者は為替市場への介入姿勢を強める意思を示しており、ブルームバーグによれば、6月3日のシュレーゲル総裁、5月21日のアントワーヌ・マルタン副総裁の発言がそれにあたる。3月以降、スイスフラン(CHF)はユーロに対して下落しているが、SNBは月末に1-3月期(Q1)の為替介入データを公表する予定であり、同四半期にはフラン高圧力に対抗する介入が増えたことが示されるとの予想だ。こうしたスタンスは、当面0.00%の据え置きと並行して継続すると見込まれる。
低インフレと地政学的不確実性が促す政策金利の安定
当社は、スイス国立銀行が来週6月18日の会合で政策金利を0.00%に据え置くと予想する。主因は国内インフレの低さと、イラン戦争に起因する地政学的不確実性だ。金利の安定が続くことで、スイス短期金利デリバティブにおいて大きな価格変動は想定しにくい。
この見方は、直近のスイスインフレ指標にも裏付けられる。5月の総合インフレ率は1.2%にとどまり、ユーロ圏や米国を大きく下回る水準で、SNBに利上げを検討する理由は乏しい。スイスと主要国の金利差は、引き続き為替市場参加者にとって重要な材料となる。
SNBの為替介入方針とトレーダーへの示唆
SNBの主たる手段は、為替市場への介入に前向きであるとの強いメッセージ発信であり続ける見通しだ。当社は、スイスフラン(CHF)の上昇を抑制するための「介入姿勢の強化(increased willingness to intervene)」という強い表現が繰り返されると見込む。このスタンスは、特に対ユーロでCHFの上値を事実上抑える役割を果たす。
デリバティブ取引の観点では、フランのボラティリティを売る戦略が示唆される。当社は、CHFのアウト・オブ・ザ・マネーのコールオプション売り、特に対ユーロではEUR/CHFのプットオプション(=CHFコール相当)の売りに機会があるとみる。このポジションは、時間価値の減少(セータ)と、SNBの明確な方針を踏まえたフラン急騰リスクの低さの双方から恩恵を受けやすい。
歴史的にSNBは、大規模介入を通じて通貨に影響を与え得ることを示してきた。外貨準備は第1四半期に7,500億スイスフランを上回る水準まで積み上がっており、この圧倒的な「火力」によって、現在のフラン高抑制の警告は高い信認性を持つ。従って、向こう数週間でCHFが持続的に大きく上昇することに賭ける取引は、リスクが高く実現確率も低いと考えられる。
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