コメルツ銀行は、欧州中央銀行(ECB)が市場に完全に織り込まれている25bpの利上げを実施すると見込む。焦点は夏以降の政策金利パスに関するフォワードガイダンスへ移りつつある。先物市場の織り込みはすでに年内追加利上げを2回超示唆しており、ラガルド総裁がより明確な方向性を示さない限り、タカ派的な反応が出るハードルは高い。
同行は、ECBの「会合ごと(meeting-by-meeting)」アプローチが当面維持される可能性が高く、更新される経済見通しとシナリオ前提がメッセージを左右すると指摘する。3月時点の見通しでは年末までの追加引き締めは40bpとされていたが、それを基準にすれば、イラン情勢の最近の展開を織り込んだ後でも、足元の先物の水準は強気に過ぎると主張する。
市場予想とガイダンスの重要性
ECBによる小幅な15bp利上げは、いまや既定路線とみられており、現行の市場価格に完全に反映されている。したがって、注目は夏以降の金利パスに関するフォワードガイダンスに完全に移る。サプライズがあるとすれば、利上げ決定そのものではなく、ラガルド総裁の記者会見における発言から生じるだろう。
今回の判断を取り巻く環境は複雑であり、ECBのコミュニケーションが決定的に重要となる。ユーロスタットの最新統計では、5月の総合インフレ率が予想に反して2.8%へと上振れた一方、1-3月期GDP成長率は0.2%と低迷した。インフレの粘着性と景気の脆弱さが同居する状況では、タカ派サプライズのハードルは高い。
デリバティブのポジショニングと過去の前例
当社は、年内に追加利上げを1回超織り込む足元の先物市場の見方は、やや強気に過ぎると考える。成長見通しの弱さを踏まえると、こうした織り込みは過大に見える。ここから利回りが顕著に一段高となるためには、ECBから極めて明確かつ強いタカ派コメントが必要になるだろう。
デリバティブ投資家にとって、この環境は市場の想定ほどECBが積極的に引き締めないケースを見込んだポジション構築を示唆する。夏以降に金利がピークアウト、あるいは低下する局面で収益化できるオプション戦略が有効となり得る。当社は、過度に織り込まれた価格を捉えるため、アウト・オブ・ザ・マネーのユーロ金利先物を売却する戦略に特に注目している。
過去を振り返ると、2022〜2023年の急速な利上げ局面はECBの姿勢を示した一方で、最終的には景気を大きく減速させた。足元でドイツの製造業PMIは50を下回る景気後退圏での推移が続いており、これは過去のサイクルでECBが想定より早期に停止を迫られた局面と重なる。こうした前例は、市場が先走っている可能性があるとの当社見方を補強する。
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