米CPI(消費者物価指数)上昇率は5月、前年比4.2%と4月の3.8%から加速し、市場予想に一致した。前月比も0.5%と予想通り。食品・エネルギーを除くコアCPIは前月比0.2%、前年比2.9%となったが、事前予想では4月の0.38%を受けてコア前月比0.3%が織り込まれていた。ドルの反応は限定的で、米労働統計局(BLS)統計が市場のポジション構築と概ね整合的だったことから、ドル指数は99.93近辺でほぼ変わらずだった。
インフレを巡る物語の中心には引き続き原油があり、中東紛争が始まった2月28日以降、原油は50%超上昇。WTIは4月下旬の調整後も高止まりしている。CME FedWatchによれば、市場は年末までに少なくとも1回(25bp)の利上げがある確率を約70%と見込み、9月にも動く確率は約38%と織り込んだ。労働指標も堅調で、5月の非農業部門雇用者数(NFP)は17.2万人増と、4月の17.9万人増(11.5万人増から下方修正)に続き底堅く、市場予想(8.5万人)を上回った。なお、EUR/USDは1.1500近辺から反発したとされ、1.1600、1.1670、1.1740、1.1470、1.1400といった水準が挙げられた。
Fed Policy Outlook and Inflation Drivers
直近のCPIは、インフレが依然として根強い問題であることを示しており、FRBがタカ派姿勢を維持する明確な根拠となる。我々は、これにより年内に少なくとも1回の利上げが行われる可能性が一段と固まったとみる。FRBの足元の進路を巡る不透明感は後退した。
主因は高止まりするエネルギー価格で、中東情勢の緊張が続くなか、西テキサス中質油(WTI)は1バレル=115ドル前後で底堅い。これにより、前年比4.2%というインフレ率はピークではなく、来月の統計では一段の上振れ圧力がかかり得る。短期的にエネルギーコストが大きく低下する兆しは乏しい。
市場はすでに、より強硬な中銀スタンスを織り込みつつある。CME FedWatch Toolの先物データでは、9月利上げ確率が42%と示され、わずか1週間前の38%から上昇した。確信度が高まりつつあることを示しており、トレーダーがインフレリスクをより深刻に受け止め始めたといえる。
Market Volatility, Trading Dynamics, and FX Implications
金利デリバティブを取引する向きには、イールドカーブのフロントエンドが引き続き高金利を織り込む展開を想定する。SOFR先物オプションや金利スワップを通じてこの動きに備えることは有効となり得る。これは2022年の利上げ局面で見られた市場ダイナミクスを想起させる。
政策不確実性と地政学リスクが重なるこの環境では、市場ボラティリティの上昇が見込まれる。オプション・プレミアムの拡大が想定され、VIXコールや主要指数のストラドルなどを通じたロング・ボラティリティ戦略が魅力的となり得る。債券市場のMOVE指数は今月すでに8%上昇しており、水面下で警戒感が強まっていることを示唆している。
為替市場では、FRBのタカ派姿勢が引き続きドルを下支えしそうだ。EUR/USDは特に弱さが目立ち、1.1670の上値抵抗を明確に上抜けられていない。我々は、EUR/USDのプットオプションを買うことが、1.1470のサポート水準方向への下落リスクに備える分かりやすい手段だと考える。
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