NYMEXのWTI先物は水曜日の欧州時間、日中安値の86.14ドル近辺から持ち直した後、88.00ドルをわずかに上回る水準でほぼ横ばいとなった。反発の背景には、ドナルド・トランプ米大統領がSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、イランに対する軍事作戦の拡大を警告したことがある。トランプ氏はイランの海軍・空軍が「壊滅した」と述べ、テヘランに対しワシントンとの交渉に応じるよう促した。市場では、緊張再燃が世界のエネルギー供給の約5分の1が通過する要衝ホルムズ海峡周辺の混乱を長期化させるリスクも意識された。
トランプ氏の発言に先立ち、イラン外務省報道官エスマイル・バガエイ氏は、夜間の衝突を受けて、ワシントンとの交渉条件を見直す必要があるとの認識を示していた。別途、米中央軍(CENTCOM)は火曜日遅く、ホルムズ海峡近くでイランの防空システム、地上管制施設、監視レーダー拠点を攻撃したと発表した。これらの動きは、イランが同地域でアパッチ攻撃ヘリを撃墜したとして、トランプ氏がトゥルース・ソーシャルで報復を表明していたことを受けたもの。
地政学リスクに対する市場の反応
ホルムズ海峡周辺での最近の緊張激化を受け、米WTI先物は1バレル=81ドル近辺で底堅く推移している。市場心理は明らかに神経質で、ワシントンやテヘランから強硬な言辞が出るたびに、価格が即応的に上振れしやすい。背景には、同海峡が世界のエネルギー供給にとって極めて重要なチョークポイントであることがある。
ホルムズ海峡を通過する原油は日量約2,100万バレルにのぼり、供給途絶の可能性は需給面で大きな脅威となる。この懸念は、米エネルギー情報局(EIA)の最新統計で米原油在庫が予想外に210万バレル減少したことにより一段と強まっており、市場の引き締まりを示唆している。加えて、OPECプラス(OPEC+)が協調減産を維持していることも、価格の下支え要因となっている。
ボラティリティ局面での取引戦略
当社の見方では、今後数週間はボラティリティそのものが主要な取引テーマとなりやすい環境だ。CBOE原油ボラティリティ指数(OVX)はこの1週間で既に8%上昇しており、オプション・プレミアムの上昇(コスト増)を示している。価格変動の継続と上振れリスクに備えたポジション構築が合理的な対応と考える。
このため、地政学不安に起因する上昇局面を狙い、コールの買い、あるいはブル・コール・スプレッドといった戦略を検討している。過去には、2019年のサウジ石油施設への攻撃で原油価格が一夜にして約15%急騰した例がある。状況は同一ではないものの、供給不安が生じた際に市場がいかに急激に反応し得るかを示している。
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