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中東情勢の緊迫化と米原油在庫の4カ月ぶり低水準を受け、WTIは87ドル近辺で安定

by VT Markets
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Jun 10, 2026

WTIは水曜日のアジア時間に1バレル=87.40ドル前後で取引された。前日には2.5%超下落していたが、中東での供給途絶懸念が再燃し、価格は振れやすい展開となっている。火曜日には、イスラエルとイランが一時的に交戦を停止したことで警戒感が和らいだものの、その後再び緊張が高まった。イランがイスファハンから少なくとも3発の弾道ミサイルを発射したのを受け、米国はイラン沿岸部の標的に対し報復攻撃の第3波を実施した。今回の行動は、ホルムズ海峡付近で米軍の攻撃ヘリがイランに撃墜されたことへの「釣り合いの取れた対応」(米政府)とされる火曜日の初回攻撃に続くもの。

外交面での進展は停滞しており、テヘランは、イスラエルがレバノンでヒズボラに対する軍事作戦を継続する場合、全面的な敵対行為を再開すると警告した。需給面でも市場の緊張を高める材料が出ている。API(米石油協会)統計によれば、先週の米原油在庫は910万バレル減少し、在庫水準は4カ月ぶりの低水準となった。別途、米エネルギー長官は火曜日、戦争が3カ月目に入る中でも、ホルムズ海峡を通過する船舶交通と原油輸出が増加していると述べた。

地政学リスクと取引戦略

中東での紛争激化を踏まえると、足元で87.40ドル前後のWTIには顕著な上昇圧力がかかっているとみる。供給不安の再燃は、米国の報復攻撃とイランによる全面戦への示唆に直接起因しており、今後数週間の市場を動かす最大の要因は地政学的緊張となる公算が大きい。

当社は、2026年7月下旬または8月満期のWTI先物に対するコールオプションの買いを検討すべきと考える。紛争が悪化してサプライチェーン寸断が起きた場合の急騰局面に参加できる一方、突発的な停戦が成立した場合でも損失は支払ったプレミアムに限定され、最大リスクが明確になる。

強気見通しは、目先の紛争要因にとどまらないタイトなファンダメンタルズによっても補強される。6月上旬の会合でOPECプラスは、日量220万バレルの自主減産を第3四半期末まで延長する方針を確認した。さらに、最新のIEA(国際エネルギー機関)報告は、想定を上回る消費を理由に2026年後半の世界需要見通しを上方修正した。

ボラティリティ、オプション戦略、ファンダメンタルズ上のリスク

情勢は引き続き極めて予測困難であり、市場ボラティリティの急上昇が示唆される。このため、価格が上下いずれの方向に大きく動いても利益機会を狙えるロング・ストラドルなどの戦略も検討対象となる。突発的な緊張緩和が起これば、上昇と同じ速度で下落に転じる可能性がある。

直近データもボラティリティ局面を裏付けている。CBOE原油ボラティリティ指数(OVX)は45超へ急伸し、3カ月平均の32を大きく上回った。このインプライド・ボラティリティ水準は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻後の局面を想起させ、市場が大規模な混乱を織り込みつつあることを示す。オプション・プレミアムは割高になりやすいが、大幅な価格変動リスクを反映したものでもある。

一方で、ホルムズ海峡を通じた原油輸出が増加しているとの報道は、上昇局面を抑制し得る。米在庫の910万バレル減は、主要航路が開かれたままであれば一時的な反応にとどまり、持続的なトレンドとはならない可能性もある。供給が維持される余地があるため、当社は先物の単純なロングよりも、リスクが限定されるオプション戦略を選好する。

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