米ドル指数(DXY)は月曜日、中東情勢の変化を市場が見極める中で下落した。指数は一時、4月6日以来の高値となる100.21まで上昇した後、99.95前後で推移。週末のイラン―イスラエル間の敵対行為を受け、NFP(米雇用統計)後に進んでいたドル高基調が上振れたかたちだ。ただ、その後イランのファルス通信が「テヘランはイスラエルに対する軍事作戦を終了した」と報じたことで、安全資産需要がいったん和らぎ、上昇分は巻き戻された。
ワシントンとテヘランの交渉継続観測が不透明感を残す一方、タカ派的な米連邦準備制度理事会(FRB)への期待もドルを下支えしている。CMEのFedWatchツールは、当面は政策金利が据え置かれる見通しを示しつつ、年末時点での追加利上げ余地も残す。今後は米インフレ指標に注目が移り、5月の消費者物価指数(CPI)はエネルギー価格の波及により前年同月比で前回の3.8%から4.2%へ上昇すると見込まれている。別途、ニューヨーク連銀の消費者期待調査(SCE)では、長期のインフレ期待が3年先で3.1%、5年先で3.0%といずれも横ばいだった。
雇用指標と地政学リスクを背景にドルの底堅さ続く
週初の米ドル指数は105.50近辺で底堅く推移しており、ドルの基調的な強さが示されている。先週金曜日に公表された5月の非農業部門雇用者数(NFP)は、予想の18.5万人に対して26.3万人増と強い内容で、このモメンタムを支えている。労働市場の強さは、FRBが引き締め的スタンスを維持する根拠を補強する。
またドルは、世界的なサプライチェーンの調整や地政学的な通商摩擦を背景とする、目立たないながらも持続的な「安全資産買い」の恩恵も受けている。過去のようなイベント主導の急騰とは異なり、ドルに比較的安定した下値を形成し、大きな下落局面を緩和する要因となっている。このため、短期的にはドルの下値が限定的となる局面(ドル安)があれば機会を探りたい。
FRB政策見通しと控えるインフレ指標
足元の市場価格からみると、デリバティブ市場の参加者はFRBが直ちに政策を変更するとは見ていない。CMEのFedWatchツールでは、次回会合で金利が据え置かれる確率が90%超と示されている。一方で、2026年末までに最後の利上げが実施される確率は35%超へ上昇しており、押し目局面ではドル買い需要をつなぎとめる材料となり得る。
今週の最大の材料は、今後発表される消費者物価指数(CPI)だ。現時点の予想では、エネルギー価格の持ち直しを主因に、前年同月比のインフレ率が前回の3.4%から3.6%へ小幅に上昇するとみられている。結果が上振れれば、FRBの一段のタカ派化を市場が織り込みやすくなり、ドル高圧力が強まる可能性がある。
短期のインフレはなお懸念材料だが、長期のインフレ期待は比較的抑制されている。ミシガン大学の最新調査では、5年先のインフレ期待が2.9%で横ばいとなり、FRBの長期的な信認が保たれていることを示唆する。デリバティブ取引の観点では、指標発表直後の反応は大きくなり得る一方、ドルの上昇トレンドには逆風となり得る要素も残る。
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