米ドルは、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派方向への織り込み直しと、米インフレ指標公表を前にした株式市場のリスクオフ基調に支えられている。焦点は5月のCPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)。FRBは6月17日のFOMC(連邦公開市場委員会)を前にブラックアウト期間に入っており、市場の引き締め方向の織り込みに対する当局者からの短期的なけん制は期待しにくい。予想の中心は、ヘッドラインCPIが前年比4%台を通過する展開で、PPI最終需要は同6%近辺での高止まりが見込まれている。トレーダーが緩和バイアスからの転換を見込むなか、会合に向けてドルは下支えされやすい。
米ドル指数は底堅いとの見方で、景気循環要因が値動きを左右するなか、100.25〜100.65のレジスタンスを試す余地がある。リスク資産の調整に加え、新興国向けエクスポージャーの縮小は、一般にドル高要因となりやすい。また、海外の外貨準備運用者が為替介入資金を捻出するため米国債保有を売却する場合、米国債の需給にも影響し得る。別途、韓国の国民年金公団(NPS)は海外資産のヘッジを引き上げる方針を示しており、ベンチマークのヘッジ比率は例外的局面で15%まで引き上げ可能とされる。こうした動きは今週、ドル売り圧力を上乗せする可能性がある。
タカ派的なFRB織り込み直しと粘着的インフレがドルを下支え
米ドルは、FRBのタカ派方向への織り込み直しと、株式市場に漂う警戒感から下支えされている。背景には、今週公表見込みの重要な米CPIを控えた局面であることがある。FRBは6月18日のFOMCを前にブラックアウト期間に入っており、当局者がタイト化方向に傾く市場の織り込みを打ち消す余地は限られる。
市場は、5月のヘッドラインCPIが高止まりすると見込んでおり、コンセンサス予想は前年比3.8%程度。これを受け、FF金利先物は7月末までの利上げ確率を40%超と示唆しており、1カ月前から大きく変化した。中銀がタカ派スタンスを維持するとの見方が優勢ななか、ドルはFOMCに向けて買いが入りやすいとみられる。
リスク資産の巻き戻しとドル指数のテクニカル見通し
リスク資産の巻き戻し、とりわけこの2週間で4.5%下落したハイテクセクターの調整は、一般にドル高要因となりやすい。この力学は、ドル高と世界株安が同時に進んだ2022〜2023年の引き締め局面を想起させる。こうした環境は新興国通貨にも下押し圧力となり、結果としてドルの安全資産としての魅力を一段と高める。
米ドル指数(DXY)は足元105.85近辺で推移しており、下値は支えられやすく、106.50〜106.75のレジスタンスを試す方向にバイアスがかかりやすい。今回の上昇は、インフレ指標やFRB政策といった短期の循環要因が、なお為替市場を支配していることを改めて示している。したがって、トレーダーは、よりハト派的な中銀を抱える通貨に対するドルのコールスプレッド購入など、オプションを通じてドル高基調の継続に備える戦略を検討したい。
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