スイスフランは月曜日に対米ドルで上昇し、USD/CHFは先週0.7900を上回って推移していた後、0.7820を下回る11日ぶりの安値へ下落した。米国・イランの和平合意への期待やホルムズ海峡再開の可能性を背景に、慎重ながらリスク選好の地合いが強まったことが背景。加えて、西側主要市場の多くがバンクホリデーで休場となり流動性が低下したことで、ドルの「安全資産」需要が弱まった面もある。別途、ドナルド・トランプ米大統領は、ワシントンとテヘランが合意に近づいていると述べる一方、米国は同海峡の封鎖を維持するとし、合意を急いでいないとも付け加えた。
イラン外務省は、戦争終結に向けた交渉を進めているとしつつも、主要な対立点である核問題については「現時点で議論していない」と説明。また、ホルムズ海峡の管理は「沿岸国に属する」との見解を示した。米国市場は戦没将兵追悼記念日(メモリアルデー)で休場となるため、市場の注目は4月の米PCE(個人消費支出)価格指数の速報値に移る。足元でインフレ指標が強めに出ていることや労働市場データが安定していることから利下げ観測は後退し、市場は2026年の利上げ確率を50%超と織り込む一方、2月28日の対イラン攻撃前には追加で1〜2回の利下げが想定されていた。こうした織り込みの変化は、ドルの戻りを抑える要因となり得る。
米・イラン情勢を受けたボラティリティと取引戦略
USD/CHFを0.7820割れへ押し下げている足元のドル安は、米国・イランの和平合意観測を巡るヘッドラインに直結している。このセンチメントは極めて脆弱で、交渉がつまずけばドルの下落は迅速に巻き戻される可能性がある。こうした不確実性はデリバティブ市場にも表れており、USD/CHFの1カ月インプライド・ボラティリティは8.5%へ上昇し、投資家が相応の値動きに備えていることを示唆する。
強弱材料が交錯する中、当社としては特定の方向性を当てにいくよりも「ボラティリティを取引する」局面とみる。和平期待による当面のドル下押し圧力は、週後半の米経済指標が強ければ完全に相殺され得る。したがって、オプション満期までに上下いずれかへ大きく振れる局面から収益機会を狙う戦略として、ドルのロング・ストラングルなどを検討している。
見通しは金融政策とインフレ指標に左右
ただし、ドルを下支えし得る強い地合いとして、金融政策見通しの「構造的な転換」を見落とすべきではない。市場は年内の米連邦準備制度理事会(FRB)利上げ確率を50%超と織り込んでおり、2月以前に想定されていた利下げシナリオから大きく反転している。直近の米消費者物価指数(CPI)ではコアインフレ率が根強い3.9%となり、FRBがタカ派姿勢を維持するとの見方に一定の正当性を与えている。
今週公表される4月の米PCE価格指数(速報)が最大のカタリストとなる。予想を上回るインフレ指標となれば、FRB利上げ観測が一段と強まり、ドルは急反発する公算が大きい。逆に弱い結果であれば、足元のドル安が延長され得る。今後数週間のポジショニングにとって、このデータの行方は極めて重要となる。
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