ユーロは金曜日、対英ポンドで11日ぶりの安値に下落した。週次では0.85%安となる見通し。ドイツの1〜3月期(第1四半期)GDP(国内総生産)は前期と同じ0.3%増。前年比GDPは0.3%から0.4%へ上方修正されたが、為替の反応は限定的だった。
NIQによると、ドイツのGfK消費者信頼感指数(家計の景況感を示す指標)は6月に-29.8へ改善した。5月の-33.1から上昇し、市場予想(-34)も上回った。英国では、公式統計で4月の小売売上高が前月比1.3%減となった。市場予想は0.6%減で、3月は0.6%増だった。燃料を除いた売上は0.4%減と、予想(0.3%減)より弱い。3月の燃料除きは0.1%増だった。ポンドは前週の下落分を取り戻した。木曜日には、英国の企業活動がユーロ圏より底堅いことも示された。
通貨動向と景気の分岐
2025年のこの時期、ポンドは弱い小売指標を抱えながらも、対ユーロで意外な強さを見せた。市場の関心は、ドイツの良好なデータよりも英国企業の底堅さに向かい、ポンド優位の流れが続いた。
足元ではユーロ圏の景気はさらに脆弱に見える。2026年1〜3月期の成長率は0.2%増と鈍い。直近では、ドイツのIFO企業景況感指数(企業の景況感を測る指標)が今月89.5へ低下し、2カ月連続の悪化となった。ユーロ圏最大の経済で勢いが失われつつあることを示し、ユーロの下支え材料は乏しい。
一方、英国はインフレ(物価の上昇)が粘着的で、2026年4月は2.5%と、英中銀(イングランド銀行)の目標をなお上回る。物価上昇圧力が続くことで、英中銀は当面利下げ(政策金利を下げること)に踏み切りにくく、金利差(国・地域間の金利の違い)を通じてポンドを支えやすい。歴史的に、こうした金利差は通貨ペアの変動を左右する主要因だった。
金利政策と取引戦略
今後数週間の中心テーマは、英中銀とECB(欧州中央銀行)の政策の分岐だ。ECBは早ければ7月にも利下げ開始が見込まれる一方、金融市場では英中銀の利下げは2026年10〜12月期の後半まで織り込まれていない。利下げ見通しの差が広がることで、EUR/GBP(ユーロ/ポンド)の上値は重くなりやすい。
このようにファンダメンタルズ(景気・物価・金利などの基礎要因)が明確な局面では、デリバティブ(先物やオプションなどの金融派生商品)取引では、EUR/GBPのインプライド・ボラティリティ(オプション価格から逆算される将来の変動率見通し)が急騰した場面で「売り」を検討する余地がある。両中銀の政策運営が読みやすい場合、激しい乱高下よりも、じり安の動きになりやすい。こうした環境では、ボラティリティ低下の恩恵を受けやすい戦略、たとえばポンドのロング(買い持ち)に対してカバード・コール(保有資産を担保にコールを売り、プレミアム収入を得る手法)を組み合わせる方法が相対的に選好される。
さらなる下落に備えるなら、GBPコール(満期までに一定価格でポンドを買える権利)やEURプット(満期までに一定価格でユーロを売れる権利)を買うことで、ユーロ安の進行から直接的に利益を狙える。よりリスクを限定するなら、EUR/GBPでプット・スプレッド(異なる行使価格のプットを同時に売買し、損益とコストを一定範囲に抑える手法)を組むのも有効だ。狙う下落幅を明確にしつつ、最大損失と初期コストを抑えられる。